堕落
私『こんな部屋あったんだ。』
私は岸谷に案内された隠し部屋にいた。壁には時計が飾られている。
私『テレビって観ていいの?』
岸谷『もう監禁は解かれたんだぞ?お前は自由だ。』
私『・・・外に出てもいいの?』
岸谷『ああ。職務質問されたら終わりかもしれないけどな。』
ピッ
私はテレビをつけた。それと同時に岸谷は部屋の外へ出ていった。
私『あ、これ家の近所だ・・・。』
テレビをつけると、たまたまニュース番組をやっていた。
私『・・・あれ!?麻里と公子!?』
麻里と公子が私のアパートの前で取材を受けていた。私はなぜか怖くなって、チャンネルを回した。見つかりたくないと思ってしまっている。
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記者『本当に、そこに行方不明になった・・・えー、白瀬色葉さんがいたんですか?』
公子『・・・。』
麻里『本当だって、信じてくれないなら信じてくれないでいいけど、警察が犯人を取り押さえる決定的な瞬間撮れないよ?』
記者『その警察が動くのはいつでしょうか?』
麻里『わからないよ。でも、あの建物付近で張り込んでたほうがいいよ。』
記者『わからないって・・・信憑性はないんですよね?』
麻里『あー面倒くさい。とりあえず伝えたからね。』
麻里は公子のバイクの後ろに跨った。
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プチッ
私はテレビを消した。
私『はぁー・・・。』
ガチャ・・・。
外に出ると岸谷が煙草を吸っていた。本当にタバコかはわからないけど。
岸谷『どうした?』
私『夕飯作らないといけないでしょ?』
岸谷『なんか、俺の女みたいだな。』
私『・・・私と瞳さんって似てる?』
岸谷『さぁ。』
岸谷はおどけて見せた。昨日、瞳さんを殺し、人見を銃で負傷させた人間がおどけてる。恐怖心はなかった。私も共犯者なのだから。
私『はい。』
私は料理をテーブルに置いた。
岸谷『俺な、この店捨てて、また別の場所でバー開こうと思ってんだよ。』
私『バーって言う名の大麻直売所でしょ?』
岸谷『10年間も隔離状態だった瞳はともかく、あのヤンキーを撃っちまったから、そろそろ警察も勘づく頃だからな。』
私『逃亡するの?』
岸谷『俺は金が全てだ。刑務所に入っちまったら、10年は出られなくなる。せっかく金稼ぎのノウハウを持ってるのに勿体無いだろ。』
私『そういえば、そうやって稼いだ金はどこにあるの?』
岸谷『それは秘密だ。瞳も知らなかった。』
私『瞳さんも知らなかったの?・・・なんだろう、女の性かな。10年もここにいた、瞳さんが知らなかったことを知りたい。』
岸谷『言っとくけど、俺は女に興味はないからな。だからと言ってゲイでもない。俺の中で優先順位が低くなってるんだよ。ついてくるだけになっても構わないなら、ついてこいよ。』
私『・・・どうせ、このまま行ったら、中途半端に堕ちるだけだもの。こうなったら、とことん堕ちてやる。』
岸谷『瞳みたいにお荷物になんなよ。』
その夜は何かあるんじゃないかって思ってた。でも、何もなかった。・・・もっと頑張ろう。




