病院
プルルルル・・・。
ガチャ。
母『はい、ああ、久美子どうだった?』
久美子『マズイかも・・・。』
母『え?』
久美子は母に電話に出たのは、かつての同僚で、その同僚から色葉の情報を聞き出そうとしたら、叫び声が聞こえて、電話が切れてしまったと伝えた。
久美子『警察は動いてるの?』
母『・・・うん、新聞やニュースを見る限り続報はないけれど・・・。』
久美子『警察にさっきの話、伝えたほうがいいよ。』
母『でも、今外に出られないの・・・少し顔を出しただけでフラッシュの嵐よ。』
久美子『都合がいいじゃない!!』
母『どういうこと?』
久美子『記者がたくさんいるんでしょ?その人たちに伝えるのよ!!』
母『信じてくれる?』
久美子『テレビカメラもあるかもしれないじゃない!!視聴率のために流してくれるわよ!!』
母『わかった、考えてみる。』
ガチャ。
母は悩んだ。自分の言葉を警察が鵜呑みにしてくれるのか、自分の言葉を記者が歪曲して伝えないか、自分の言葉をテレビで流してくれるのか。母は頭を抱えた。
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病室にて。
ガチャ!!
公子『人見くん!!大丈夫!?』
公子は麻里から連絡を受けて、病室に駆け込んだ。
人見『大丈夫だよ。骨も折れてないし、急所も外れてる。心配してくれてるのか?退院後どうだ?』
麻里『・・・。』
コンコンコン・・・。
人見『痛い!!痛い!!痛い!!』
公子『心配はしてるけど、交通事故なんでしょ?全身打撲ではなくて、脚と肩から大量出血って、なんで他の場所は無傷なの?』
人見『脚はドアに挟んだんだよ。』
公子『バイクの単独事故なのに?それにバイクなら麻里も後ろに乗せてたんじゃないの?』
人見『ぐぅ・・・。』
麻里『柳田、ちょっと来て。』
麻里は公子を外に連れ出して、昨日の出来事を話した。
公子『撃たれちゃったの・・・。』
麻里『口外したらどうなるかって、脅されたんだけど、そんなのにいちいち怯えてても、意味ないじゃん。でも、一応口外しないでね。』
公子『バンドのメンバーは知ってるの?』
麻里『知らないよ。』
公子『・・・色葉には会えたの?』
麻里『白瀬は・・・。』
麻里は言葉を濁した。
公子『教えてよ!?会えたの!?会えなかったの!?』
麻里『ごめん、わからない・・・。なんて言えばいいのかわからない・・・。』
麻里はそう言い病室へと帰っていった。公子は色葉の母が住むアパートへと向かった。
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記者『あ、取材受けてくれない?』
公子『・・・。』
ガチャ!!
母『あ、公子ちゃん。外どうなってる?』
公子『おばさん・・・。色葉の居場所はやっぱり、あそこだったよ。』
母『あそこ・・・【玉宮】ね、確実な証拠はあったの?』
公子『人見くんが撃たれちゃった。』
母『撃たれたって・・・。』
公子『誘拐犯に撃たれて、今病院にいます。』
母『じゃあ・・・もう、色葉は・・・。』
公子『それが・・・色葉のことを聞いたら言葉を濁されちゃって・・・生死はわからないんです・・・。』
公子は俯きがちだった。母は少し沈黙して、こう言った。
母『私が行動しないとね。私はあの娘の母親なんだもの。』
公子『行動?』
母は玄関のドアを開けた。大量のフラッシュが焚かれる。母は叫んだ。
母『テレビのカメラはどこですか!!』
記者『テレビのカメラ?』
数人のカメラマンが近づいてきた。
母『娘は・・・色葉は・・・。』
母は突然倒れこんだ。色葉が誘拐されてからのストレスとカメラのフラッシュに耐えきれなくなってしまい、極限状態に達したのだろう。
公子『おばさん!!』
カシャ!!カシャ!!カシャ!!
公子『撮らないで!!誰でもいいから救急車を呼んで!!大人だったらわかるでしょ!!』
カメラのフラッシュが一斉に鳴り止んだ。数分後、救急車が来た。母が担架に乗せられるとき、またカメラのフラッシュが焚かれた。
記者『ねぇ、君。』
1人の記者が公子を呼び止めた。
公子『なんですか?』
記者『あのお母さんが、なんて言おうとしてたかわかるかい?些細なことでも記事にしたいんだよ。』
公子『色葉が助かったら、教えてあげる。』
公子は病院へ向かおうとしたが、学校帰りの美知と鉢合わせた。
公子『ああ、美知ちゃん。おばさんがまた倒れちゃったから病院に行くんだけど、一緒に行く?』
美知『私、留守番してる。』
美知は家に入っていった。
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麻里『じゃあ、私帰るね。』
ガチャ・・・。
麻里『あ、柳田。帰ったんじゃなかったの?』
公子『実はおばさんがストレスで倒れちゃって・・・。』
麻里『そう・・・。』
公子『多分、カメラのフラッシュにやられちゃったんだと思う。』
麻里『そのカメラのフラッシュが苦手だから、おばさん篭ってたんじゃないの?』
公子『おばさん、カメラの前で色葉が囚われている、あの場所のことを話そうとしたの。』
麻里『おばさんにも話したんだ。』
公子『うん・・・。』
麻里『私が取材受けてこようか?』
公子『え?』
麻里『あの建物に入った人間で健在なのは、私だけなんだから。バイクの後ろに乗せてよ。』
公子『今から行くの?』
麻里『いつでも行けるよ。』




