痛み
麻里『・・・。』
麻里は人面岩の前に人見を寝かせた。
麻里『血を止めないと・・・。』
人見の肩と脹脛は血で染まっていた。麻里は自分のベルトを人見の肩に巻きつけた。
麻里『脚が・・・。』
人見『・・・俺のベルト・・・。』
麻里『あっ・・・。』
麻里は人見のベルトで人見の脹脛にそれを巻きつけた。
麻里『ちょっとホテルに電話があるかもしれないから、私、ホテルに行ってくる。』
麻里はホテル【ラインストーン】へ向かった。電話はホテルを入ってすぐの場所にあった。
麻里『・・・佐村?迎えにきて・・・人見が・・・こ、交通事故にあったの。』
佐村『交通事故?場所はどこだ?』
麻里は佐村に場所を伝えた。
佐村『わかった。お前はどうするんだ?』
麻里『鈴木さんの車で来て。人見のバイクもあるから。』
ガチャ・・・。
麻里は人見の待つ人面岩まで戻った。
麻里『人見!!佐村と鈴木さんが迎えに来てくれるって!!』
人見『ありがとう・・・。』
麻里は人見の腕を自分の肩に回した。
人見『ごめんな・・・俺、重いだろ?』
麻里『おんぶしてるわけじゃないから、大丈夫よ。』
そうは言いながらも、正直、辛かった。でも、人見の方が辛いはずだ。
人見『どこに迎えに来るんだ?』
麻里『あの道路沿い。バイクを止めたところだよ。』
麻里は前を指差した。
麻里『駄菓子屋・・・小学生に見られたらマズイかも・・・。』
人見『体を小さくしていれば大丈夫だろう?』
麻里『大丈夫かな?』
15分後、何事もなく佐村たちが迎えに来た。
佐村『早く乗れ・・・って!?二人とも血まみれじゃねぇか!?』
佐村は車から飛び出してきた。
麻里『佐村、人見をお願い。』
佐村『お前も血・・・。』
麻里『これは人見に肩を貸したときについちゃっただけよ。』
佐村が、ホッとしたような表情をした。私は車に乗り込んだ。
私『ごめんね、鈴木さん。愛車を汚しちゃって・・・。』
鈴木『・・・お前らが無事ならいいんだ。バンドに必要なメンバーだからな。』
鈴木さんは、静かな優しさを見せた。
麻里『病院に直行して!!』
鈴木『ああ。』
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私は中庭にいた。気持ちを落ち着かせたかったんだ。瞳さんには長居しちゃダメって叱られたりしたっけ。その瞳さんは、もういないんだ。私が冷たい体になった瞳さんを袋に詰めて、岸谷がその袋をどこかに捨てに行った。そろそろ帰ってくるはすだ。私は中庭にいる。気持ちを落ち着かせなければならないからだ。
ガチャ・・・。
ほら、岸谷が帰ってきた。私は冴えてる。
岸谷『上出来だ。これで借金はチャラだ。』
岸谷は私の頭を撫でた。
私『でも・・・。』
岸谷『外に出られないよな。死体遺棄の手伝いをしたんだからな。おまけに今は恍惚になれる草の虜だ。』
私『瞳さんは、なんで殺されたの?』
岸谷『知りたいか?』
私『・・・うん。』
岸谷『昔、ここで勤務していた奴から電話がかかってきたんだよ。そいつに瞳がお前のことを話し始めたから殺した。』
私『それだけで・・・?』
岸谷はそれだけで瞳さんを殺したの・・・。ということは私のせいで、瞳さんは殺されたの・・・。私は頭が混乱していた。中庭にいるせいもあるだろうけど、太陽がやけに眩しい。
私『・・・その、昔の従業員さんって誰なの・・・?』
岸谷『誰って、お前に言ってもわからないだろ?』
私『・・・わかるかもしれない・・・。』
岸谷『矢田久美子だ。』




