不幸
ブロロロロ・・・
麻里『・・・。』
人見『おい、締めつけんなよ!!』
麻里『・・・。』
公子『人見くん!!早いよ!!私、まだ免許12月に取ったばかりなんだから!!』
人見『ごめん。おい、締めつけんなって。』
麻里『・・・佐村と別れようかな。』
人見『お前な、去年から何回それ言ってんだよ。それに佐村と別れたら、俺たちのバンド活動はどうなんだよ。』
麻里『ボーカルなんか、私より上手い人は山ほどいるよ。』
公子『ちょっとケンカしないでよ。色葉を探さなきゃいけないんだから。』
公子は人見のバイクを追い越した。
人見『・・・。』
麻里『商店街行こうか。』
3人は白瀬の居場所の手がかりを探るために商店街へと向かった。でも、何も情報を得られなかった。
公子『ダメだね・・・。』
人見『やっぱり、もうちょっと絞って調査したほうがいいんじゃないのか?行き当たりばったりじゃ、な?』
人見は麻里をちらっと見た。
麻里『イトさんのところ行ってみる?』
人見『俺の言ったこと聞いていたか?行き当たりばったりは・・・。』
麻里『聞いてたよ。だからイトさんのところに行くの。あ、イトさんの駄菓子屋の周りを調査するの。』
公子『なんで?この前行ったばかりじゃない。』
麻里『あの時はイトさんに、ある意味縛られてたじゃない。明日はそっち方面を探そう。』
人見『あと9日か・・・今日は俺んとこ泊まるか?2人とも。』
公子『いや、私は・・・色々あるから。』
麻里『私は何にもないけど、嫌。でも、晩飯は奢ってよ。柳田もお腹空いてるでしょ?』
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瞳『料理上手いのね!!私、そういう才能ないから尊敬しちゃうのよ!!』
私『褒めないでよ。お母さんがだらしないから、こうなっただけだし。』
私は借金を減らすために働いただけだ。岸谷が言うには、これで5000円を差し引いてくれるらしい。朝昼晩で15,000円だけど・・・気晴らし程度にやってるだけ。それに食事を自分のペースで食べることができるということも魅力的だった。でも、はやくお客さんが来てくれないと、1ヶ月じゃ帰ることができないかもしれない。
私『瞳さんって、ここ10年間が抜け落ちてるんだよね?』
瞳『ここはテレビもないからね。お客さんとの話で世間の変化を知ることが多かったの。』
私『へぇ・・・逃げ出そうとは思わなかったの?そんな生活息苦しいでしょ。』
瞳『そうでもないのよ。私の場合、実物を知らないで、お客さんのお話だけしか聞いていないから夢が膨らむのよ。』
瞳さんは少女に戻ったように、目をキラキラさせていた。
私『色々話してたら眠たくなっちゃった。』
私はそう言い、あの薄暗い部屋に向かおうとした。すると瞳さんが私を引き止めた。
瞳『あの部屋に戻らなくていいわよ。』
私『え?』
瞳『実はね、あの薄暗い部屋で手錠をかけたのも、色葉ちゃんを怖がらせるためだったの。そしたらね、意外に色葉ちゃん素直で怖がる素振りを見せないから、岸谷が許してくれたのよ。』
私『鍵持ち係っていう話は?最初の日に首筋がチクッとしたのは?』
瞳『ごめんね。全部、私がやったの。ここだけの話、岸谷の指示で。』
瞳さんは色々告白し始めた。
私『あ、もういいよ・・・』
私は眠たかった。はやく眠って、明日になって欲しかった。お客さんを待っているんだ。お金が欲しいだけかもしれない。大金持ちになりたいわけじゃない。借金を返さなくちゃならない。なんで私が・・・。不幸だから・・・。




