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第7話 宣戦布告!


ー荻野目邸ー


2:20


しんと静まり返った寝室……


ではなかった。


布団を蹴っ飛ばして大イビキで寝ているボッサン。


電話のベルが鳴る。

しかしイビキにかき消される。

丁度イビキが止まった時にベルが鳴る。


「ん~?電話か~?……zzz」


一瞬起きるがまた夢の中へ。

ベルは鳴り続ける。


「ん~」


手を伸ばして受話器を取るボッサン。


「もしもし…… ん ………… ん?…… 病院?…… 三神田? …… ん ……………………なに~!ユオが病院を抜け出した~?」


ボッサンは飛び起きた。


「あのバカ!どこ行きやがった!傷口が開いちまうぞ!」


ボッサンは受話器を壁に叩き着けた!






ー新宿歌舞伎町・ホテル『ボン』ー


ユオと姫川エリカは、追っ手から逃れる為に連れ込みホテルに入った。


部屋に入ると、エリカはベッドに腰かけた。

ユオは椅子に座りながら聞いた。


「君を追い回してる奴らって何者なの?」


エリカは周りをキョロキョロ見ながら言った。


「あいつら?白龍会の連中よ」


「白龍会?それってヤクザ?」


「そうよ。そんな事よりあんたねぇ、こんな所に連れ込んで変な事しようと思ってんじゃないでしようね!」


エリカが怒鳴る。


「なんだろな~、どんだけ信用ないんだろ。

隠れるには絶好の場所だけどな~。

取り敢えず~、僕はここでゲームでもやってるから~、シャワーでも浴びて来れば?」


ユオは、テレビの下のPS3用のソフトを選びながら言った。


「それってエッチな事する前の決まり文句じゃない!騙されないわよ!」


エリカは腕組みをしてソッポを向いた。

ユオは渋々立ち上がり、ジャケットをめくり上げて言った。


「こんな体じゃエッチも出来ないっしょ」


ユオの腹には包帯が巻かれていて、血がにじんでいた。


「ど~したの?その傷。…… ひょっとしてあの時刺されたの?」


エリカは立ち上がって、ユオの包帯を見ながら言った。


「まぁ大した事ないよ。麻酔が切れて来たせいか、ちょっと痛むけど」


ユオは腹を擦りながら苦笑いして言った。


「分かったわ。じゃあシャワー浴びて来るけど、覗かないでよね!」


そう言ってエリカはバスルームに入って言った。


「さて、みんゴルでもやるか」


ユオはPS3の電源を入れた。








ー神倉組事務所ー


翌朝 9:30


神倉親分ラッキーを乗せた防弾仕様のベントレーは、事務所の前に音も無く止まった。


側近の須津が足早に降りてドアを開ける。

神倉親分がゆっくりと車から降り立つ。

事務所の入り口までの通路の両脇に、約30人の黒尽くめの男たちが立ち並び、一斉に頭を下げ挨拶をする。


「おはようございます!」


関東一のヤクザ組織の親分ともなると、デスクワークもこなさねばならず、1日1回は事務所に顔を出して事務処理をするのである。


両脇の頭を下げている男たちの間を歩きながら、神倉親分は須津に言った。


「おいスズ。今日は少ねぇな」


須津は神倉親分の斜め後ろで言った。


「へい。昨日から何だか騒がしく、半分ほど出払ってやす」


神倉親分が事務所に入って椅子に座ると、スカジャンを着たリーゼントの青年がお茶を持って来た。


「お前、新顔だな。名前は?」


神倉親分がリーゼントの青年に言った。


「はい!一馬といいます!」


青年は直立不動で言った。

神倉親分はお茶を一口飲んで青年に言った。


「お前、歳いくつだ?」


「はい!15歳になりました!」


「15にしちゃあ、お茶の入れ方上手いよ」


「ありがとうございます!」


青年は深々と頭を下げた。

神倉親分は青年に微笑んだ。それから顔を険しくして須津に聞いた。


「スズ、昨日から騒がしいって何なんだ?」


須津は神倉親分の横に来て言った。


「へい。昨日は見知らぬチンピラどもがうちのシマを走り回ってやして。何でも若い女を探してるとかで」


「何処の組のもんだ?」


「『白龍会』って言う組のもんらしいんすよ」


「白龍会?聞いた事ねぇな」


「そうなんすよ。どうやら新しく立ち上げた組らしいんすよ。

それと、最近出回ってるドラックは、そいつらがばら巻いてるってもっぱらの噂なんすよ」


神倉親分と須津が話している所に、漏守が来て言った。


「あのー、取り込み中の所すいません」


「何だ?モグモグ、じゃなくてモリモリ」


「あのー、親分に会いたいって人が来てるんスけど、どうします?ぶっ殺しますか?」


漏守は刀でぶった斬るポーズをしながら言った。


「何て奴だ?」


「なんでも『爆乳界のクミちゃん』っていうふざけた奴っスよ」


「『爆乳界のクミちゃん』?モリモリ、ひょっとして『白龍会の組長』の間違いじゃねぇか?」


「あー!多分それっスね」


「モリモリ~!たのむよ~!よし連れて来い!」


漏守がドアを開けると、白のスーツ、白のアフロヘアーでサングラスを掛けた男が入って来た。


「どうも♪白龍会の組長のタカです。よろしく」


鷹は神倉親分の前まで行くと、名刺をデスクに置いた。

神倉親分は、名刺には目もくれず鷹に言った。


「土足で人の家上がり込んで、随分と走り回ってくれたじゃねぇか!人の家上がる時は、主人に挨拶するって~のが筋ってもんじゃねぇのか?」


鷹は上衣の内ポケットに手を入れる。

途端に周りは身構える。


「何もしやしないさ。タバコを出すだけだから」


鷹はタバコを出すと、 1本くわえて火を着けて深く吸い込んで吐き出した。


「挨拶する暇がなかったんで、勝手に上がらせて貰ったよ。

ちなみにうちの兵隊は、血の気が多い奴らばかりで何を仕出かすか判らないんでね。忠告がてら挨拶に来たって訳さ。まぁ挨拶に来てやっただけでも有りがたく思いな」


「何だテメエ!調子に乗ってんじゃねぇぞ!」


須津が飛び出すのを神倉親分が手で制した。


「ほほぅ。いい度胸してんじゃねぇか。この俺に喧嘩を売ろうってんだな!」


鷹はデスクに両手をついて言った。


「別に喧嘩を売っちゃあいないさ。ただ、うちの兵隊が何かやらかしても責任は持てねえって話よ」


神倉親分も立ち上がって、デスクに両手を着いて言った。


「じゃあその兵隊をぶっ殺しても構わねえって事だな!」


2人は睨み合い火花を散らす!


「後で吼えずらかくなよ!」


鷹は灰皿でタバコを揉み消して部屋を出て行った。

神倉親分は椅子に座り、指で須津を呼んだ。


「スズ、あいつらが探してる女の事が知りたい。それと何故探してるかもだ」


「へい!」


須津は組員を召集して指示を出す。


「気に入らねぇ」


腕組みをする神倉親分の脳裏には、嫌な予感がよぎっていた……












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