会話
「………ぅ」
期待していた暇潰しの方法がなくなった
この世界の娯楽で期待できるものはあるだろうか?
……魔術が、生活にすら浸透していない世界では無理か
「……こ……は?」
いっそう、勉強でもするか
魔術の仕組み、歴史、語学……
後は、畑を作るのもいいかもしれない
チートなら、洞窟も広げられるだろう
「おれは……」
問題は勉強方法だ
人を呼ぶ気にはならない
なら、書物か
植物の種にしても本にしても町にいかないといけない
フラグの香りしかしないので、町へは行きたくない
さて、どうするか
「……ほうたい……おまえが?」
「あぁ、起きていたのか」
考え始めると周りが見えなくなるのは悪い癖だ
改善する気もないが
「手当てをしたのは確かに私だ
動けるか?いや、動けないわけが無いんだが」
「あっ、あぁ……痛いところは無さそうだ」
「それはそうだろう、痛覚を作った覚えはないからな。」
勝手に追加された可能性はあるか
その辺りは実験してみないと分からないか
「つく……はぁ?」
「事態が飲み込めていないのか?
しかたない、簡潔な質問なら受け付けよう」
そういうと、赤毛は目を丸くした後
なにかをかんがえこんで
「…俺はどうなったんだ?」
確かに簡潔な質問であるが
…此方が簡潔な返答ですむ質問、という意味だったんだが
まぁ、いい
「お前は死んだ、死体が目の前にあったので実験した
結果として、お前は生き返ったが人間ではない……いや、人間ではあるか?」
アダムも人間ではあるか
「少々、特殊な体質の人間になったが正しいか」
「…とりあえず、治療ありがとさん?」
「礼はいい」
思考が追い付いてないだけかもしれないが
此処で礼が出てくる奴も珍しい
もっとも、こんな事態に陥った人間は初めて見るが
「そうかぁ……ここどこなんだ?
川の下流にこんな洞窟あったか?」
「?
川が湖に繋がっているのか、一度地下に潜っているだろうな……」
「地下……?」
「あぁ…此処は山の中腹にある洞窟だ
山の名前は知らないが」
「此処に住んでるのか?」
心配そうな表情で、私を上から下まで見る
まぁ、この姿は年相応な娘だからな
「あぁ、その予定だ。
此処にはまだ来たばかりだがな」
「きた……?
なら、見てないのかもしれないがやめた方がいいぞ?
此処には龍が住んでるかもしれないからな」
それが私だ
一瞬言おうか悩むが、すぐに結論が出た
「それは、私だ」
「………は?」
「その、龍は、私だ」
驚愕に目を見開く姿を見て、悪戯が成功した時のような
柔らかな、喜びを感じる
表情が、怯えへ移行することは無かったので
以外といい拾い物をしたと思う




