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灰の龍は退屈が嫌い  作者: 白色野菜
龍、初めました
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チート

自分の中にある何かが手を伝い漏れ出していく感覚

心地よい疲れと引き換えに行使された魔法は、足元に大きな魔法陣を描いた

白く光るその陣は緻密で精確で厳かなものだった

陣に何が書かれているか、私には読めないがその陣が死体に何らかの作用を及ぼしているのは感じた


ぼんやりと眺めていると少しずつ陣の色が薄くなっていく

どうやら、魔力は供給し続けなければいけないらしい

両手に力をこめ魔力を死体へと注いでいく


何時間、そうしていただろうか

額の汗が顎から滑り落ちるほどの疲労を感じた頃、魔力の配給を続けているにも関わらず

陣が薄く消えていった


身体の力をゆっくりと抜き、地面へとへたり込む

汗が目に入り邪魔だ


死体は・・・失礼、元死体の彼は静かに呼吸を始めていた

どうやら成功はしたらしい


張り詰めていた糸が切れ大きな虚脱感に包まれつつも

私は達成感に浸ることは無かった






あたりまえだ、決して破ってはいけない禁忌の魔術があんなその場しのぎの物と呪文無し程度のイメージで

どうにかなるはずが無い

つまりは私の実力ではなく、何かからの介入があったと見て間違い無いだろう

案の定、私の魔力をもって行使された魔術は私の知らないものだった

私の願いや目的に応じて自動的に魔術が選別、選択、作成され、実行される仕組みなのかもしれない


これで私は何の苦労もせずにイメージ通りの魔術を使うことが出来るわけだ

しかも、代償である魔力はほぼ無限

この世界に住む人々の魔力を全て足したものと=なのだから、これをチートと言わずして何と言おう



なんて人を馬鹿にしてるチート

このレベルになると最早ただの呪いだ


願いや望みがあっけなく叶うならそれはもう願いや望みではない

思うだけで全てが与えられても、それは少なくとも私にとっては天国ではなく地獄だ



私はこれからこの地獄の中を何年も生きていくのか

あぁ、想像するだけでも欝だ

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