天然と天然
「人間……のため？」
「人間と言う種を世界に残すための私への対抗策の一つがお前だ。
今は未熟だが学習すれば人よりも早く成長する上にその力は次代へ受け継がれる………どの程度努力するかにもよるが何時か必ず私を倒せるようにはなるだろうな。」
「ちょ、ちょっ…ちょっとまつにゃ？！次代に引き継ぎ？！どこのバカの仕業にゃ！そんなことしたら人の器に入りきらないほどの力になるにゃ！先に待つのは破滅しかないなんておろかにゃ！」
「……まぁ、ヒトとして欠けた存在にはなりかねないか。だが、役目さえ果たせれば良いのだろうな……種としては。」
「……なんて、残酷にゃ…………どうにか、どうにかできないのかにゃ！そんなの呪いとかわらないにゃ！」
「無理だろうな。」
「そ、そんにゃ………。」
…………なんだかすっごく盛り上がってますけど僕置いてきぼりです。
話が半分ぐらいわからないです………えっと、凄く遠い未来で破裂して死ぬんですか？僕。マッチョな人にやられちゃうんですか？
そして、白猫さんはどうしてそんなに大袈裟なんでしょうか？
龍さんが凄く楽しそうです。いえ、表情は全然変わってないんですが雰囲気が……？
「とりあえず、いますぐどうにかなるわけじゃないんですよね？」
「あぁ。」
「ならその話は置いといて……話を本筋に戻しませんか？
僕は一体なんで龍さんのことを襲ったんですか？」
「…………私がお前の敵だからだ。」
「……？よく知らない相手を嫌うほど僕、バカじゃないです。それに龍さんのこと結構好きですよ？」
「……………………。」
龍さん黙って首を傾けます。
僕もつられて首を傾けます。
「……今、お前の中にもう一つ魂が入っている。」
「えっ、町までお祓い行かなきゃダメですか？」
「幽霊がくっついてる訳じゃないから教会に行っても無駄だ。で、その魂は私のことが大嫌いで私を物凄く殺したがっている………だから、お前が眠ったり意識を失うとその魂がお前の体を乗っ取って私に攻撃を仕掛けるんだ。」
「……なんかヤですそれ。起きたら血塗れとかないですよね？」
「ない。無意識程度にやられるほどやわではない。」
「むい、しき？それがもう一つ魂の名前ですか？変わった名前ですね。」
「そうだな。」
「困った子なんですね、むいさん。」
「そうだな。」
「でも、龍さんは大丈夫なんですよね？」
「そうだな。」
「僕もむいさんと仲良くなれますかね？」
「なれるんじゃないか？」
「……ルドルフが天然なのにゃ………こんな子だったかにゃ？」
