龍は使命を話す
「………へ?!」
びっくりして上半身を跳ね起こしました。
鈍く痛む頭以外特に異常はなさそうなんですがそんなことを気にしている場合でもなく。
「でたらめを言うにゃっ!!そんな神託降ってないにゃっ!」
呆けた僕が何かを言う前に白猫と呼ばれた幼女が、龍?さんに食ってかかります。
正直その言葉も混乱しすぎて、ただただ頭の中を通り抜けていく感じなんですが。
「神託の話などしてないだろ…?」
「いいにゃ?勇者って言うのは神に使命を送られそれを果たすために祝福を与えられた者を言うにゃ……だからルドルフは勇者じゃないにゃっ!!」
「その定義だと私も勇者か?」
「…………龍は違うにゃ、神獣もどきにゃ。」
「今のところ使命を聞いてすらいないからもどきか?神に仕えるものとして注意しなくていいのか?」
「……………。」
どこか皮肉げな龍の言葉に白猫は黙ってうつむいてしまいます。
さっき以上に尻尾がだれて見えるのは僕の気のせいですか?
「…使命って何か聞いてもいいですか?」
「いいぞ。どちらにせよ、お前のことを説明するのに必要だからな。」
そういって龍は視線をこちらに向けます。
「まず一つ最終的な目的はこの世界を救うことだ。」
「世界を……?」
「……この世界は停滞しかかってる。何を持ってあいつらが停滞となすのか分からないが長い間平和すぎたのか、技術が進化しなかったのか……あるいは魔術師の減少で魔力の流れそのものがにごりつあるのかもな。」
「停滞…すると何か悪いんですか?」
「停滞すると世界は閉じる……理が定まり神の干渉を受け付けなくなるんだ。
多くの理が魔力で補われてる世界は神が時折魔力を補充したり奪ったりしてバランスをとっている。
閉じると魔力の流れを整備するものが居なくなるので魔王だの厄介な生き物が馬鹿みたいに生まれ……やがて、理すら維持出来なくなり世界ごと歪んで無に消えるな。」
まぁ、消滅自体は何千年か先の話になるだろうが。と、龍は呟き続きます。
「……じゃぁ、あなたは停滞を阻止するために来たんですか?」
「まぁ、な。だが、阻止するための手段というのがそこの白猫が沈黙するような強引なものでな。
……ようは世界をまっさらにしてまた作り直そうっていうノアなあれだ。」
「……………のあ?まっさらって……え?」
「ようは私に動植物、魂を持つすべてを全滅されろというのが私に与えられた使命だ。ノアのような救済処置も無いらしい、全てを滅せよなどどれだけの労力がいると思っているのか。」
「………………………。」
「そのための力は与えられてはいるようだがな……あぁ、私を殺しても無駄だぞ?停滞は止まらない上に私はこの世界にとって完全な異物だからな。下手に殺されると何が起こるかわからん。
まぁ、私が生きていても少年が死ぬまでは余裕で持つ。孫の代あたりで異常が見られ始めるんじゃないか?」
「で、でも、使命を果たす気は無いんですよね?」
「今の所はな。」
……いまのところ。
なんて、恐ろしい響きを持つ言葉なんでしょう。
「………それが、どこをどうやったらルドルフの話になるにゃ?」
いつの間にか復活していた白猫さんが僕の隣で正座しながら話を聞いています。
……そういえば、彼女。僕の名前を知っていますがどちらさまなんでしょう?
「まぁ、とりあえず私が人類を滅ぼす力を持った……イレギュラーだというのが重要なんだ。そこから少年の話になるんだ。」
「……にゃ?」
「言っただろう?彼は人間の為の勇者だと。」




