王都
三人称、違和感しかないので一人称に戻していきます。
内容はほとんど変わらない予定。
すべて直したらこの前書きは消します(3/31)
「……ここは、随分と大きな町なんだな。」
「そりゃ、王都だしなぁ。この国で一番大きい町なんじゃないか?」
中途半端にぼかして伝えつつ、王都の中通りを歩く。
リョートは相変わらず俺の頭の上。最近定位置になりつつある。
動物が順位を示す行動なのか?何とかと煙は高いとこが好きというやつかもしれないけどさ。
すれ違う人がたまに視線を向けるのは若干気になるが、何せここは王都。
もっと目立つ格好をした人間は多くいる。
今すれ違った、黒のシルクハットに金の…太陽モチーフかあれ?の仮面をつけたやつとか。
「ところで……どこに向かっているんだ?」
「ん?言ってなかったっけか?……言ってないか。支部に顔出しと報告だな。王都の支部は苦手なんだけどな。」
ふらり、ふらりと器用に人を避けながら歩いていく。
この道だと次は右か。大通りは馬車が多いんだよなぁ……。
「なら、行かなくてもいいのではないか?」
「…………だったら、楽なんだけどな。」
正直良い噂を聞かない駄目支部なんぞ行きたくないんだけどさぁ…。
あーゆうタイプの方が貴族の印象は良いから放置してあんだっけ。
俺みたいに報告いくやつのことも考えてくれとは心から思う。
「……あれは何だ?!香ばしいが僅かに甘い匂いがするぞ!」
リョートの声に香ばしい匂いの元を見る。
屋台だな、串焼きの……てかあの看板。
「あぁ…?……………………おぃ、あれ焼き鳥だぞ。」
「さぁ、我に捧げるがいい!」
「……共食いか?」
「何を言う、鷹は鳥を食うだろう?」
「お前……鳩だろ?!」
「鷹だ……っ!!」
「………………。」
「………………。」
リョートは頭の上だから、にらみ合いにはなってないんだけどさ。
………しかたねぇなぁ。
「…………買ってやるから、支部で何があっても大人しくしてろよ?」
「その程度、お安いご用だっ!!」
なんとなく、不安だ。
「なんだ、これは。」
「物食いながらよく普通に話せるな……串、喉に刺すなよ?」
「そんなヘマは踏まん。……で、なんだ。ここは。」
リュートが見上げているのは赤茶の煉瓦を組み合わせた三階建ての建物だ。
大きさは中堅貴族の屋敷ぐらい。
まぁ、大体500人の人間が不自由なく過ごせる建物を考えてくれりゃぁ良いんじゃないか?
「なにって、支部。」
「……先ほどから思っていたが、支部とは一体何の支部なんだ?」
「…………そうか、お前はロゴ見ても分かんないよな……。」
「ロゴ?」
「看板のことだな、ほら入り口の上に絵があるだろ?」
指さした先の真新しい白い木の板には、やけに首が短く間延びした胴体を持つ二足歩行の小動物的な何かが黒でかいてある。
相変わらず、変なロゴだよな。
「なんだ、ペンギンか。」
「よく知ってんな。あれが俺が所属する店のマーク。」
「ほう、なかなか良いセンスではないか。」
……いい、センス?
「…………………………まぁ、(五歳未満の)子供には人気だな。で、店の名前はケープ宅急便。」
「宅急便?」
「そうそう、配達商館なんだよな。」
安全安心最速のケープ宅急便。
手紙から町に出た息子への仕送り戦場から戦場への密書まで。
御用がある方は近くの窓口までお気軽にどうぞ。
まぁ、配達物以外も取り扱ってんだけどさ。