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灰の龍は退屈が嫌い  作者: 白色野菜
龍、初めました
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神鳥

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ありがとうございます


ランキングなんて見えない

落下までの間に羽のみ広げられるといい

そんな思考と共に踏み出した一歩は、確かに空を掻いて

崩れた姿勢は宙に放りだされずに首を絞めるという結果をもたらすに止まった


後ろ首の服を捕まれ、乱暴に洞窟に引き戻されたせいでバランスが取れず尻餅をつく

気道が絞まったのか咳が止まらない

呼吸は必要としないくせに、急所の要素は果たすらしい


「返事も聞かずに、どこへ行く気だ。龍の娘」

黙れ


反射的に言おうとしたが、出てきたのはやはり咳だった

呼び方が龍の娘だと、まるで私が龍の子供のようではないか

この世界の龍は今、私しか居ないというのに


わき腹が痛み出した頃、ようやく呼吸も落ち着き

涙で霞んでいた視界を拭う


見上げる位置に居たのは目つきの悪い男だ

髪はミスリル、瞳は青

周りに鳥が居ないところを見ると、こいつが先ほどの鳥らしい

野郎だったのか


「何か用か」

睨み上げ、吐き捨てるように言う

見下げられているのが嫌で立ち上がる

そのまま、先ほどまで寝ていた苔の密集地に足を踏み入れる

明るい


「人の巣に踏み込んでおいて、その態度か」

「出て行こうとしたのに、止めたのはお前だ。招かれた身で何を遠慮する必要がある

 客に対する態度がなっていないのはそちらだろう?」

「はっ、何を馬鹿げたことを」

どこの貴族の会話だ

距離をとりたいのに、鳥はついて来るというか詰め寄ってくる


「…用がないなら、早く出て行きたいんだが」

海底に行きたい


「用ならある、お前に使命について説明する」

「あぁ、神の使命?」

「そうだ」

とても、偉そうに大袈裟に頷かれる


「それなら、知っている。説明など必要ない」

「大まかな流れだけだろう?手段を説明する必要がある

 今、お前がやるべき事だな」

「必要無い、知っている分かっている」

ため息混じりに投げやりに返答をする

説明など、聞き流すだけなのでするだけ無駄だ


「なら、なぜ狩に行かない?」

今の時間は夜のようだ

空の月は一つだけ、片方は新月なのだろうか


「今は選り好みをする時期では無い

 無論、知識を蓄えた貴族が最も良いがその貴族に近づくためにもまずは平民だろう」

空を飛びたい

元々あまり上手くは無かったが、水泳は好きだった

水を進むよりも抵抗は無いが、空気を切って進むのもまた心地良い


「聞いているのか?!」

あっ、赤毛


頭だけを入り口から覗かせて、こちらを見ている

崖を上ってきたのか

まぁ、疲れ知らずではあるから不可能ではないか


手を振ってこちらに来るなと伝えるが、何故か上半身を覗かせる

登ってどうする


「耳には入っている」

鳥へ返答しつつ、赤毛を眺める

鳥は入り口へ背を向けているからか、赤毛に気づかない

おかげで私の視界には二人とも入っているんだが


「脳に入れろっ!」

足元の苔に霜が降りる

私の息が白くなり

肌が気温の変化を伝える


怒ると寒くなるのか

また、テンプレな


「碌な話で無いのが分かっているのに、どうして記憶する必要がある」

言った瞬間、胸倉を掴まれる

また、息苦しい

赤毛が視界に入らない


距離が近いからか、相手の怒りが瞳を通じて伝わってきて

わずらわしい


「お前はっ、この世界を」

続きは聞かずにすんだ

鳥の手から力が抜け私に倒れこんでくる前に、後ろから引かれたのか私から遠のく


「大丈夫か?!」

大丈夫だから、鳥を踏むな赤毛(おひとよし)

羽毛が汚れたら、布団を作るのが大変だろう?

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