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灰の龍は退屈が嫌い  作者: 白色野菜
龍、初めました
11/54

投身

ランキングなんて、幻覚だと信じている


お気に入り件数200件突破

ありがとうございます


誤字脱字報告、感想、批評などいただければ幸いです



騒がしい人間がいなくなると

洞窟の奥の闇が此方に迫ってきた気がした

無論、気のせいだが


体感時間は長かったが、実際に過ぎた時間は僅かだろう

それなのに、体は休みを欲していた

とても、とても、久しぶりに人と関わったからだろうか?

それとも、初めて魔術を使った影響だろうか?


そんな思考も、徐々に微睡みに侵される

視線を巡らせ、苔が密集している、場所で横になる

想像したよりも、柔らかな、感触

前世と、同じ、青い草の香りを、感じつつ、ゆっくりと瞼を………











意識が覚める

外気を感じ、掛け布団を探して手を動かす

動かしながら、今の状況を思いだし手を止めようと思う

脳の命令が未だ目覚めぬ体に届くまでの僅かな間に

指先が羽毛の感触を伝えた


幸いなことにそれを掴みにかかるという行動は防げた

瞼を開き、視線を自分が触れたものに向ける


鳥だった

羽毛なのだから当たり前だ


白い鳥だ

いや、白ではなく白銀

ただ、光の加減で見える色は灰色ではなく青だ

ミスリル色がもっとも、正しいだろうか?


羽も所々青が混じっている

翼を広げた姿はさぞ、美しいだろう


大きさもすごい

下手をしたら、龍の私よりも大きいのではないだろうか

私が触れたのは彼女(もしくは、彼)の胸元に生えたふんわりした羽のようだ


彼女は、私を見下ろす

その瞳は青だ、澄みきった冬の空のような青

私と目線が絡まる


彼女は、私を警戒してはいないようだ

此処は恐らく、彼女の寝床なのだろう

こんな好条件な洞窟、先住民がいない方がおかしい

今まで出会わなかったのは私が湖で気が向いた時に寝ていたからか


私は彼女をおどろかさないよう、ゆっくりと彼女から手を離しそのままの速度で立ち上がる


「住みかを盗るつもりはない、すまなかった。

一日、置いていただき感謝する」

私は彼女へ、一礼するとこの洞窟を去ろうと行動に移す


赤毛のように飛び降りるには、私には度胸が足りない

飛ぶのは目立つ……

かといって、他の方法を探すほど

ここで時間を過ごす訳にはいかないだろう


仕方ないので、私は空を見上げながら

外へ一歩踏み出した


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