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17話「世界最強のおじいちゃん?」


俺の周りに(ただよ)う空気は、()一時間前とは比べ物にならない。

カグヤと一緒にお風呂に入っている時も、今のように心臓の鼓動が速かった。

身体の状態だけで言えば本当に(ほとん)ど変わらない。

ただ、環境があまりにも変わりすぎただけ。

気を抜くことは許されず、一度の(まばた)きすらも高天原(こうてんげん)の前では致命的になる。


「_____ふぅ........ふぅ.........」

意識を目の前に(たたず)む武士にのみ向ける。

脳細胞を全て活性化させて、極限の集中状態、所謂(いわゆる)ゾーンと呼ばれるものだろう。それを人為的に発生させることにした。

俺が、地球に住んでいる時に身に着けた特殊技能の一つだ。

何度か経験したゾーンを自分なりに分析して、その時にどれほどの心拍数だったのか、どのような意識だったのかを特定することで、人為的にゾーンを起こせるようになった。

勿論、エネルギーの消費が馬鹿にならないのは言うまでもない。


呼吸を一定に保ち、今の身体と日本刀の重さを分析して自然に脱力も行う。

「_______右」

ギリギリ視認することができた高天原の足の動きから推測して、僅かにではあるが、先程よりも余裕を持って刃を受けれた。

刃の刀身がぶつかると同時に、凄まじい衝撃が日本刀を通して伝わってくるが、それを上手く身体全体に()がし、特定部位のダメージを極限まで減らす。


「...............」

距離を取りながら、高天原を観察してみる。

驚いたような素振(そぶ)りを少しだけ見せたものの、それは1秒にも満たない刹那の時間だった。手に持っている日本刀に一度だけ目を向けたあと、再び構えの体勢をとった。

数分前まで聞こえていた生物達の鳴き声も、高天原の圧の前には黙るしかなかったため、聞こえてくる音は葉っぱ同士がガサガサと(かす)める音だけだ。


「____相変わらず......動きが速すぎて動作の模倣(もほう)が出来そうにないが......どうせ、この肉体では模倣しようにも再現は無理か。やはり......早急(さっきゅう)に肉体を整える必要があるな。」

今の含めると、17回目の攻防を俺達は行なった。

その攻防の間に、高天原の足や腰の動きを視認して、動作の再現したかったが、瞬きの速度で移動されるため不可能だった。

しかし、今ゾーンに入ることで僅かにではあるがその動きを視認出来た。

勝てる確率が1%ほど上がっただろうか。


..........いや、今の俺では高天原に勝つのは絶対に不可能。

それが結論だろうか。


「アゼルが入れば......いや、それでもかなり厳しいか。」


この動きが高天原の限界であればよかった。

俺はゾーンに入ってしまったため、これ以上の本気は事実上存在しない。

だが、高天原は違う。

このような凄まじい動作ですらも、こいつにとっては呼吸と同じだった。

つまるところ、

こいつは俺を相手に、一ミリも()()()()()()()()()


「もう結果はわかったはずだ。俺ではお前に勝てない。もう戦う必要は皆無(かいむ)じゃないのか?」

(ごと)きの物差しでは、高天原の全てを測ることは不可能。

実際はこれの何倍強いのだろうか。

......直感ではあるが、これの10倍以上は確定している。10倍だと仮定しても、今の俺の肉体、魔力操作では逆立ちしても勝てない。

だからこそ、高天原とは対極的に俺はもう刀を構えなかった。


「...........(なげ)かわしい........根性が足りぬ.......」

そんな俺の言葉に呆れたのか、高天原は構えゆっくりと解いた。

漂う覇気は、リビングで最初に見た時のような穏やかなものになったため、あまりのギャップ具合に頭がバグりそうだった。


「......いや、それ以前の問題だと俺は思うぞ......」

もはや根性以前の問題なのは、誰の目から見ても明白。

どれくらい無理かと例えると、運動習慣がない一般人が、どこから飛んでくるかもわからないライフル弾を避け続けるくらいには不可能なことだ。

それくらい高天原の攻撃は速いし、即死級。

もはや反撃の『は』の字も出てこない。


「..........鍛える必要があるのう........まずは.....軽く素振り1000万回程度かのう.......」

おじいちゃんこと、高天原は夜空へと視線を向けながら、言葉を発した。


「......ふざけてんのか?仮に1日でやるとしても、1秒で約116回。それを24時間続ける必要があるんだぞ......それはもう人間じゃない。ただの物理法則のバクだ。」

年齢で言えば確実に上であろうが、そう強く文句を言ってやりたくなった。

この世界のどこに1秒で約116回も日本刀を素振り出来るやつがいるんだ。

いるなら今、紹介してもらいたいものだ。


「........1日なら.....余裕じゃ......わしのような老体でも.....1日なら億は行ける..........お主は若い、.......1000万回程度は軽く......行けるじゃろうに......。」


「仮に1億だと仮定しても、秒速約1157回以上の素振りが出来んのかよ......本当におじいちゃんか?」

もはや意味不明すぎて理解が出来ない。自分の中で長い年月を経て構築された物理学の知見が一切通用しない。その領域に到達するよりも先に、数学の未解決問題を解決する方が(はる)かに早く終われるそうだな。


「........もう時間じゃのう......そろそろ戻るとするかのぅ.....」

高天原は夜の空を見ながら、静かに呟く。

俺も高天原同様に、夜の空へと視線を向けてみる。

今夜は天気が悪い。月は叢雲(むらくも)に隠れていて、その姿を確認出来なかった。これこそ嘆かわしい事象だろうに。


そんなことを思っていると、

高天原は、どういう理屈かは不明だが手に持っていた日本刀を、どこかに仕舞ったあと、それとは違う刀を立て掛けていた、木の側にゆっくりと歩いていった。


「......この絵面だけ切り取ると......本当にただのおじいちゃんなんだけどな......」

今の歩いている速度で言えば地球の70代くらいのおじいちゃん、おばあちゃんと遜色(そんしょく)ない速度だ。

そんな事実を目の前で見せられると、もはや一周回って笑けてきそうだった。


俺は先程一回だけだが視認することが出来た、高天原の踏み込む動作を鮮明に思い出しながら、足に魔力を(まと)わせたあと、()()()()()()()()()()()()()()()()


ガァァァァン!!という甲高い音が静寂の森の中に、再び響き渡った。


「_____まぁ、流石に無理か。」

高天原はどこかに仕舞っていた(はず)の日本刀を、いつの間にか右手に持っており、何の焦りもなく俺の刃を受け止めいてた。もしかすると全て計算の内だったのかも知れないな。


「.......これ返しておく。俺が持っていても邪魔にしかならないしな。」

高天原と近い距離になったため、そのまま右手に持っていた日本刀を手渡すことにした。

おじいちゃんのように空間に収納?するような能力があれば別だったが、現状の俺にはそのような力はないからな。

夜の間であれば軽く持てるため問題はないだろうが、朝の間は別だ。

黎明(ヘリオス・)の審判(セレスティアル)』が発動している時に、5kgの日本刀など持てるはずもない。

最悪の場合、腕の筋繊維が千切(ちぎ)れる可能性がある。


「.........良い、動きじゃた。.......流石は若い者よのう......素振り2000万回....でも、良さそうじゃのう.....」

俺から手渡された日本刀を丁寧に受け取り、どこかに仕舞った。

本当に......どうなっているのかだけでも教えてもらいたいものだ。

マジシャンとしても普通に活躍できそうだしな......。


「......それはやめてくれ。高天原が言わんとしている、やらんとしていることも理解している。だが、俺は合理的に行く。それが一番の近道だと理解しているからな。」

限界を超えることの大切を俺は知っている。

強くなるには、今の自分にとってギリギリの領域に足を踏み入れる続けるしか方法はない。

だが、過度に上のラインを超えようとしても今度は身体が壊れるだけだ。

そんな非合理的なことを俺はしない。

俺はもう、成長というものを自分の手の平の上で動かせる人間だ。


「........反抗心も.....若いものの特権.......じゃのう....」

否定されたものの、高天原の態度はどこか嬉しそうなものだった。



   *




「_____流石に......疲れたな。」

高天原との戦闘(?)を終えて、今は家に向かって帰宅している道中だ。

軽めの運動をしようと思っていた分、(みょう)に疲れている気がするのは気のせいだろうか。

高天原との戦闘は、時間だけで言えば5分ほどしかなかったが、その密度は桁違いに高く、縁側の時の密度が大気としたら、戦闘時の時は中性子星くらいだ。

これほどまでに高い密度を経験した瞬間は、人生でも数回程度しかない。

だが......その分、かなりの成長にはなっただろう。

高天原の実力が、この世界でどれほどのものなのかは知らないが、

悪魔の最上位個体『皇帝(アーク)』......らしいアゼルよりも直感ではあるが、同等かそれ以上の力だと俺は感じた。

それほどの強者と戦えたということは、これから先のことを考える必ずプラスに働くだろう。

それだけでなく、この世界の最上位達の強さを身を以て体感したことで、ヘタに行動しても死ぬだけということも十分に理解することが出来たからだ。

ひとまずは、アゼルとまともに戦えるくらいにしないとな。


「_____それにしても......高天原は、魔力を一切使っていなくてあの速度だったな。素の肉体が極限まで高いのも確定だが、何らかの技術を使って移動している可能性が高い。それも......習得出来るのであればしたいところか。」

数分前の攻防を鮮明に思い出しながら、そんなことを考える。

完全な再現は無理かも知れないが、それっぽいことは理論上出来るかも知れない。何せこの世界には魔法や魔力という便利な力があるしな......。


「異世界に来たばかりだからこそ、当然だろうが......やりたいことが多いな。」

一度......タスク整理をしてもいい頃合いだ。

やるべきこととしては、肉体の強化、魔力操作を無意識レベルで行えるようになること、『月の支配者(ツクヨミ)』の権能の確認、文字の読み書き、世界の知識の学習、当たりは最優先事項だろう。

時間はかかるだろうが、基礎中の基礎の部分だ。ここを(おろそ)かにしては応用の部分の時に絶対に(つまず)くことになる、丁寧かつ素早く行なうべきか。


「そして......カグヤとの関係についても、早くどうにかしないとな。」

今のカグヤは、兄と再会出来たことで喜んでいるが、時間が経てばその感情も薄れていき、最終的に残るのは違和感だけだろう。

それが残り続ける限り、ある意味では家族とは呼べそうにない。

家族とは本来、心の安らぎである必要があるしな。


「..........っと、少し歩きすぎたな。......走るか。」

思考整理を続けたいところだが、

いつまでも歩いているわけにもいかない。

このまま歩き続ければ、20分後に家に帰るというカグヤとの約束を破ってしまう。

そうなってしまった場合、心配をかけさせるかもしれない。

カグヤからすれば兄が帰ってきたばかりだしな。

時間というものに対して敏感になっているだろうし、考え事をしている場合ではなさそうだ。




   *




「......やはり......違和感があるのが(ぬぐ)えないな......」

目の前にあるのは、家。普通......よりも少しだけ大きな家。

まぁ、家と言っても自分の家であり、自分の家ではないという曖昧なものだ。

家というのは(おり)

家というのは家族と暮らす安息の地。

そんな思考が身体の奥底から同時に湧いてくるため、少しだけ気持ち悪い。


憑依(ひょうい)転生とは......嫌なものだな。」

自分の中で、感情や思考の乖離(かいり)頻繁(ひんぱん)に発生するうえ、転生という言葉通り世界についても一切知らない状態だ。

......不条理でしかない。

もう世界のシステムごと焼き払ってやろうか?

そう思いたくなるのも無理はないだろう。


「だが......不思議と満たされている気持ちもどこかはあるな。......心の奥底では......ずっと願っていたことなのだろうか......。」

今のアゼルやカグヤがいる世界。

ただ閉鎖的に過ごしていた世界。

どちらがいいかと言われれば間違いなく前者だ。

まぁ.......俺の場合はかなり特殊な人間なのも理由だろうか。

普通なら、家族から俺のようなことを受けているような人間は少ないだろうし、何よりも、こんなにも危険が漂う世界に生きたいと誰が思うのだろうか。

世界は全て自分の理想通りには動かない。

力にはそれ相応の対価もいる。

それが世界の真理だ。

どこの世界であろうとも、自分の理想通りに行く世界など存在しない。


「......とりあえず、中に入るか。ここでぐうたらしていてもカグヤを心配させるだけだ。考え事くらい眠る前に行えばいい。」

というわけで、(わず)かに躊躇(ためら)うような気持ちを抱きながらも、ドアノブを右手で握り、扉を開けることにした。


「____わっ!?」


「......えっ?」


扉を開けたんだ。ガチャッと。

カグヤが『おかえり、お兄ちゃん!待ってたよ!!』みたいな感じで、抱きつきながら、出迎えてくれたりするのかなぁ......とか思春期男子の(ごと)く妄想しながら。

そして、その妄想は実現した。

確かにカグヤは居てくれた。

待ってくれていた。

しかし......タイミングが最悪だった。

カグヤがドアノブを触るタイミング(多分、心配で外まで確認しに行こうと考えたんだろうな。)と、

俺がドアノブに触るタイミングが絶妙(ぜつみょう)に噛み合ってしまったため、カグヤからすれば、急に手の支え部分が無くなったようなものではないだろうか。

そのため、こちらに倒れ込むような体勢になっていった。


一瞬の出来事に思考がフリーズしてしまい、完全に脱力状態だった俺には、倒れ込んでくるカグヤを支えるようなことは出来ず、俺が下に、カグヤが上の体勢のままドミノ倒しのようになってしまった。


「...........っ」

地面に倒れる同時にドン!と背中に強い衝撃が走った。

しかし『月天(ルミナス・)の摂理(セレスティアル)』で肉体が強化されていたお陰で、そこまで痛みはなかった。骨が折れているようなこともないだろうし、本当に()(がた)い権能だ。


「____カグヤ、大丈夫か?」

首を少し動かして、俺の体に馬乗りの体勢になっているカグヤに問いかける。

アゼルとは違う匂い、柔らかさは俺の理性を一瞬で溶かしていったのは言うまでもなく、心臓が速く鼓動しているだろう。

お願いだから、心臓付近に頭を添わせる体勢だけがやめてほしいものだ......。

兄としての尊厳やプライドがズタズタにされている感覚だった。


「うん.....大丈夫......なんだけどぉ.....」

地面にぶつけた時の衝撃で、頭を俺の体にぶつけたのだろうな、ぶつけたらしい部分が少し赤みを帯びていた。

痛そうにおでこの部分を抑えている。

......ちょっと可愛い、と思ってしまうのは游の感情なのか、ユウの感情なのか、わからない。


「そうか、それならよかった。というわけで......どいてもらえると助かる。」

相手が他人だったら適当に横に放り投げているが、相手はカグヤだ。

雑な扱いは出来ない。

本音を言えば......この体勢を悪くないなぁ、と思っている。

とても柔らかい感触だし。名残惜しいと思うのは、当然の摂理(せつり)だろう。

しかし俺は兄だ。ここは建前でもそう言っておかねばならない。


「そうしたいんだけどぉ......その......お兄ちゃん......右手.....離してもらえないかな......?」

若干、過呼吸気味(ぎみ)になりながらカグヤはそう喋った。

どこか艶冶(えんや)な雰囲気を醸し出していて、エロスを感じるのは気のせいだろうか。


「うん?......右手?」

離す?

カグヤの身体を支えているつもりだったんだが、邪魔だったのか。

カグヤの言葉を聞いてすぐに判断を下したのだが、よくよく右手に意識を向けてみると、妙に柔らかい感触だった。

アゼルの双丘を触った時に近いだろうか?


「_______あっ。...........悪い.........」

右手をカグヤの()()から離しながら謝罪する。

恥ずかしさのあまり視線を合わせられず、夜空へと逸らした。

名残惜しいなぁ...と思ったのはここだけの秘密にしておこう。


「「...........」」


互いに見つめ合う時間になった。

カグヤの表情からはどんな思考をしているのか判断することは出来なかった。


「.......お兄ちゃんのエッチ....../////」

カグヤは、(ほほ)をほんのりと赤らめながら少し膨らませ、ジト目でこちらを見てくる。

その表情は過去一番(なま)めかしく、俺の脊髄(せきずい)に寸分の狂いもなく鮮明に刻み込まれた。

女子が見せる表情の中でも一番可愛いものではないだろうか?


「そ......その......なんだ、悪気は一切ないんだ。ゼウス、アフラ・マズダー、ラー、オーディン、シヴァに誓う......。」

若干(ども)りながらも、そう謝罪(?)することにした。

本当に悪気はなかった。何なら心配をかけさせていないだろうかと思ったくらいだしな。


「よくわからないけど......お兄ちゃんに、悪気がないのは、十分にわかったよ。」

頬は赤らめたままだが、いつもの表情に戻ってくれた。

ふぅ......カグヤの双丘、アゼルよりも大きかった気がする。

馬乗りの体勢ということも(あい)まって、もはやあれにしか感じない。


「お兄ちゃん......」


「......カグヤ......」


なぜか二人して再度見つめ合う時間になった。

カグヤの瞳に見つめられていると、身体から力が抜けていく。

身体の主導権を握られたような感覚だ。

......何かいけない雰囲気が漂っているのは気のせいだろうか。


「お兄ちゃん......」

カグヤが少しだけ顔を近づけてくる。

瞳は俺を逃がそうとはせず、漂う香りは鼻孔を(くすぐ)り脳の理性を溶かしていく。

周囲の音は何一つとして聞こえず、目に映るのはカグヤと.......()()()だけだった。


「ふふ、兄弟そろって仲がいいわねー。ご飯が出来たからすぐに戻ってね、あと外でイチャイチャしちゃ駄目(だめ)よ?ちゃんと家の中でやるのよ〜。」

そう言い終えるなり、母さんはリビングへといつもの足取りで戻っていった。


「「..............」」

二人して沈黙する。

空気は完全にぶち壊れて、意識は現実へと引き戻される。


「カグヤ......戻るか。」

俺は強引に身体を起こすことにした。

月天(ルミナス・)の摂理(セレスティアル)』が発動している夜の間であれば、朝のようにカグヤに肉体面で負けることは絶対にない。

元々体重が軽いこともあり、そこまで身体を起こすことに苦戦することはなかった。


「頭は......大丈夫そうか?」

今のカグヤにどのような声掛けをしようか迷った挙げ句、そう聞くことにした。

さっきも聞いたよね?とか言う言葉は一切俺の耳には入らないだろう。


「......うん、もう大丈夫だと思う......。」

カグヤは、右手で髪の毛の先をクルクルと(いじく)っている。

ふくれっ面をしていて、母さんに対して僅かにだが不満を抱いていそうだった。


「____そうだ。まだ少しだけ体調が優れていないんだ。......夕飯の時も世話になっていいか......?」

カグヤの機嫌を直すために、そうお願いをすることにした。

普通の兄弟ならこうもいかないかも知れないが、相手はカグヤだ。

大のブラコンであるカグヤなら願ったり叶ったり......のはず。

正直に言えば体調は(すこぶ)るいい。

だが、カグヤが不満そうにしているのは普通に嫌だしな。

嘘ではあるが、いい嘘を付くことを俺は選択した。


「......うん!!お兄ちゃんのお世話する!!!」

俺の想像通り効果覿面(てきめん)だった。ふくれっ面から一変して満面の笑みを浮かべている。


「お兄ちゃん、早く行こうよ!!」

カグヤは俺の身体をグイグイと引っ張ってくる。

頭の中にはもう、兄に対してお世話をしている自分のイメージしかないだろうな......。そう考えると、少しだけ愉快な気持ちになってきた。


「......あぁ、待たせるのも悪いしな。」

俺は、パジャマに付着していた土を手で払ってから、家の中に入ることにした。




どうもです、蒼月夜空です。

お仕事、学業などなどお疲れ様です。

高天源→高天原です....。間違えました...。すみませぬ......。

間違いをこれからも犯すかもしれませんが....その時は、頑張ってるな〜って思ってくださると嬉しいです。

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