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絆のクラフトマスター ~兄妹で挑む救世譚、鍛冶師の【武器スキル創生】で最凶の魔王を討つ!!~  作者: 羽羽樹 壱理


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師を越える【天使偶像の白弓】――②


 ◇



 お師匠様の勘が珍しく外れたことが発覚したのは、少しの日を置いた先日であった。


【ランベレス領域】に、再び【オブレーガの大地】の悪夢が現れるという【幻獣遭遇ディザスター】が発生した。


転位陣ワープマーカー】の不具合バグ……? この短い期間で、歴史上二度目の? あり得なくはないが、考えづらいだろう。


 強力な存在の出現を察知し、いの一番に駆け付けた討伐者セイバーがお師匠様でなければ、大変な被害がもたらされていたことだろう。


 アルネア大陸の歴史上、最悪の幻獣遭遇ディザスター



 浮遊大陸から出現した幻獣アビシアンは、【竜の究極(バハムート)】だった。



 悪夢の中の悪夢。


 最強のドラゴンはお師匠様が身に纏った衣服を、一薙ひとなぎ、裂いてみせた。


 ……先陣を切って赴いたのがクラリスさんでなかったのは、幸運だっただろう。

 どうなっていたか分からなかった。


 何か、変化が起きている。


 長い歴史の中で一度もなかった、何かが……。


兄貴アニキ、ちょっとだけペース上げよっか。修行のほうも――武器アビスハウル制作依頼のほうも!」


「そうだね――。頑張ろうか」


幻獣対策協会セイバーギルド】もにわかにざわつき始めた。それにともない、武器アビスハウル誂造ちょうぞうの重要も爆発的に増え、ボクたちもコルトハーツさんのように面識のある【討伐者セイバー】から多く頼られる日々がしばらく続いた。


「この調子でこちらに浮遊大陸の幻獣アビシアンを送ってこられたら、ちょっと困っちゃうねェ」


 このたびの事象じしょうは、本当に大きな意味をボクたちへもたらした。


「私があの大地へ再びおもむくわけには、いかなくなるかもしれない」


 今後に関わる重大。


「なんにせよ、クラリスの解析待ちだね。しばらくは私が修行の指揮を取ろう」


 そして――――。――なんとか、お師匠様の試練を生きてこなしてみせたその時、お師匠様はおもむろに、おっしゃったのだ。



「私の弟子たち、ついに私と仕合しあいだよ」



 ついに、ここまで来た――……。


 ボクとモニカは不安に震えるでもなく、顔を曇らせるでもなく、ただただ「ついにここまで来たねぇ」と、顔を見合わせて感慨深く思い馳せたものだった。


兄貴アニキ。私たちの目標は、あの日から、ずっと変わらず【オブレーガの大地】を攻略して【魔王】を討つことだったじゃん? でもいつの間にか、お師匠様をこうして超えることもまた、同じくらい強く思いいだいた目標になっていた気がする。そこには使命も雪辱せつじょくもないのに……なんだか不思議だよね」


「そうだね、その不思議はきっと、ボクたちがえた幸運だったように思うよ」


「んー……幸運というには、ずいぶんと苦難に片寄った道筋だったけど……」


「本当の幸運とはそういうものかもしれないよ。――……それにしても苦難に片寄っていたとは、思うけれど」


「フフっ! 兄貴アニキ、絶対に、お師匠様へ私たちの確かな成長を示そう……!」


「うん。試練として挑む以上に……あの人へ、ボクたちのざまを――ことごとく、示したい」


 世界のざまが変わろうとも、ボクたちの視線の先、見つめていた未来は揺るがない。


 だが日進月歩を踏み締めて目指したその領域の片端へと、ついに足を踏み入れたという実感は、紛れもなく目指した未来の一つであった。


 この結果如何(いかん)で、未来の意味が大きく変わる。


 ボクたち兄妹の、呼吸の証。

 日進月歩の足跡、存在の証明。


 生きてきた時間のじつ結晶けっしょう


【リョウガ鍛錬所】で鍛え上げた武器を、ボクたちは握り締めた。




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