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絆のクラフトマスター ~兄妹で挑む救世譚、鍛冶師の【武器スキル創生】で最凶の魔王を討つ!!~  作者: 羽羽樹 壱理


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討伐を真実とする彼《か》の威《い》の薙刀――①

魔女協会ウィッチサークル】が世を支配していた旧時代における世の中は、それは酷いものであったという。


 卑下ひげと階級意識に満ちた世の中。とにかく嫌な感じに支配的であった背景が、先人のつづった記録に散見される。


 世をべる【魔女協会ウィッチサークル】は魔女ウィッチ以外を見下し、魔女ウィッチの九割以上が女性であることから性別による尊卑そんぴも激しい。さらに、【魔女協会ウィッチサークル】の内部ですら、下級の魔女ウィッチはるかに卑下ひげされていた――そんなさまだったらしい。


『神は人の上に魔女ウィッチつくったとまで考えている』とは【商業協定会コマーシャルコンコード】の代表がつづったとされる有名な一文だけれど、そのような世の中だったために、反旗はんきひるがえす“戦略”として【魔法具】という技術革新がまたた普及ふきゅうした、というのが歴史における一般的見解だ。【術式回路】を開発したのは、当時のリトルウィッチたちであったという。


 さて、そのような歴史的背景はあるけれど、今はそんな“堅苦しさ”みたいなものとウィッチは無縁である。


魔女協会ウィッチサークル】が崩壊したのをキッカケに、なぜか「魔法を行使できる男性が世に急増した」ということも一因いちいんして、旧体制は完全に過去となったから。

 今はウィッチを【魔女】とは書き表さない。


 新たな世界で、ウィッチは日常に溶け込んでいった。


 魔女が世界をった時代はもう昔、けれど――……。

宣告せんこくの日】を迎えたことで、再び、《個人戦力》のかなめとしてウィッチに世間の注目が集まった。


 それが現代。


 ボクたちが生きる時代。


 そう、もしかしたら、時代の大変遷だいへんせんむかえたことで、新たに【ウィッチ】主導の世の中が、これから生まれて()()()()()()()()()()


 ……………()()の言う通り、最強の超越者――お師匠様さえあらわれていなければ、あるいは。



「エーデルワイス――あいつさえ現れていなければぁアアアアアア!!!!」



 ――今回は、そんな()()からうけたまわった、とある討伐依頼のお話。



 ◇



「モニカ、朝だよ」


 共に暮らし始めた頃は『モニカの部屋』と記されたプレートが下げられていた部屋扉を、ノックする。


「朝食を用意してあるよ。そろそろ起きる時間だ」


 他の時間であれば「ノックしたなら入っていーよ」とサッパリ言うけれど、朝ばかりは部屋に入ると怒られる。寝起きの顔を見られたくないのだという。


 さて、いつもなら「ありがとう兄貴アニキ、今行くよ~……」といった返事があるのだけれど、今日は様子が違った。


「――……ぎっ!? …………ぐっ、兄貴アニキ、ちょっと待ってて……」


「――モニカ、どうした?」


「……全身筋肉痛。こんな身体からだがギシギシになるのなんて、久々だよ……。…………兄貴アニキゴメン、ちょっと起こすの手伝ってくれる?」


 部屋に入ると、モニカは身体からだに根の張った疲労の顔を浮かべて、ベッドの上に倒れ込んでいた。洋紙ようしについたしわのような疲労のあと――……。


「ごめーん、情けないけど、マトモに動けない……」


 無理もない。


 一昨日いっさくじつから――【に触れる翼竜スカイドラゴン】との討伐激戦で負った傷と疲労(ダメージ)えぬまま、お師匠様直々(じきじき)の指導が始まったのだから。


 ノアナの村に駐在する、名高い【癒術医療師ヒーラー】の先生に重大な負傷はいやしていただいたとはいえ、【ドラゴン】との激戦を終えた即日に修行が開始されるとは流石さすがお師匠様だな――――……なんて、ボクたちはぬるま湯のような考え方で、お師匠様のスケールを捉えてしまった。


 翌日。


 ボクたち二人は、昨日さくじつ熾烈しれつ極まりない指導は、激戦を終えたあとであることをお師匠様なりにキチンと考慮こうりょした、流しの指導内容であったことを知った。


 あ――。このお人は、今までも本当に一応、手心てごころは加えてくださったんだな。


 そんなお心を今更に知れた、決して目覚めてはいけない脳の部位が無理矢理覚醒していくような修行内容だった。


 ボクもさすがに、今日は身体からだの調子がとてもにぶい……。


「…………あの人との背中との差は、こんなにも隔たれていた。なんてさぁ――今更に痛感しちゃったな……」


 トーストサンドをみながら、モニカはしょんぼり顔で弱音をらした。


 けれど。


「――でも、まあ……離れて、隔たれていたなら、そこへ向かって、追い越すつもりで歩き出すだけだね」


 清々《すがすが》しくサッパリ、一時いっときだけで気持ちを切り替えると、モニカはトーストサンドを両手で持ちながら、表情をゆんわりとやわらげた笑みを浮かべた。



「だって、私たちは生きてる」



 フッと。

 軽やかな笑みの息が漏れ出た。


 温かく熱い、の炎のようにうねる力を胸底むなぞこに覚えながら、ボクもそのに頷いた。


兄貴アニキ、このトーストサンド、美味しい。フフ、料理の腕も上げたね~」


「それはよかった。今度のも上手く作れるよう、頑張ろう」


 さあ、今日も一日が始まる。


【オブレーガの大地】へと一歩ずつ歩み、そしてその先を見据えるボクらの旅路たびじが、今日も。




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