一通目|直人からシャミムへ(翻訳経由))
登場人物
•光村 直人:25歳。東京都内で6年間引きこもり生活を続ける青年。唯一の接点は、週1回の訪問支援スタッフと時折触れるネット掲示板。ある日「世界の子どもと手紙交換プロジェクト」を紹介され、半信半疑で応募する。
•シャミム・ハッサン(Shamim Hassan):14歳。バングラデシュ・クタパロンキャンプに暮らすロヒンギャ難民の少年。字の読み書きは独学。妹と母と3人暮らし。趣味は壊れたラジオの分解と再組み立て
こんにちは。僕は日本の東京に住んでいます。
正確には、「住んでいる」というよりも「閉じこもっている」と言ったほうが合っているかもしれません。
僕は25歳です。けれど、高校を出てからほとんど外に出たことがありません。
外の音は聞こえるけど、それが自分とは無関係なものにしか感じられない日々が、ずっと続いています。
なぜ手紙を書こうと思ったのか、自分でもよく分かりません。
でも、あなたの国では、文字を書くことも難しいことがあると聞きました。
だったら、あなたの「言葉にならなかったこと」を、もしあれば、僕に少しだけ分けてくれませんか。
あなたの一日が、どんな風に始まって、どんな風に終わるのか、教えてもらえたら嬉しいです。
こちらは、朝に雨が降って、今は少しだけ晴れています。
名前だけでも教えてくれたら、それで十分です。
――直人より




