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隣人

こちらの作品は、カクヨム様に掲載中です。

 わたしの名前は、水川みずかわ モカ。

 

 ちょっと…いや、かなりぽっちゃりな小学六年生。

 

 

 毎日学校から寄り道もせず、真っ先にお家に直行するの。

 

 

 そしてたくさんのお菓子を食べてお昼寝をするのが日課なの。

 ガサガサと大きなおやつ箱をムチムチの手で漁って、お目当ての袋を一気にビリリと破いて、もぐもぐムシャムシャ。

 

 そしてお腹いっぱいになると…

 

 あ〜最高と、フカフカの枕とフカフカのお布団にゴロンと転がる。

 

 

 最高すぎるでしょ!

 

 

 そんな幸せざんまいなわたしの部屋の下から、幼馴染の優斗ゆうとと母の声が聞こえてきた。

 

 

「それじゃ、お邪魔しまーす」

 と。

 

 …

 

 お邪魔虫がやってくる。

 

 わたしのせっかくの、のんびりタイムを邪魔しようって気ね。

 

 

「モカー、入るよー。」

 と当たり前のように話しかけてきた。

 

「はいらないよー。」

 と返事するも、

「またぁ、開けるよ〜。いいねー?」

 と気を遣いながらそっと少しずつゆっくりドアを開ける優斗。

 

「侵入者だ」

 冷たくわたしがいうと優斗は、

 

「もうさー、そんな猫みたいに毎日ゴロゴロしてたらカラダに悪いよ」

 と呆れ顔で笑った。

 

 

 …

 いちいち部屋に入るのに、そんなにわたしに気つかってゆっくりドアを開けたり、愛想笑いしてくる優斗。

 そしてわたしに太るよ、とは言わない優斗。

 

 

 学校では、デブってよくクラスの男子にバカにされるんだけど、優斗はわたしの容姿をバカにすることはない。

 

 

 

「優斗…なにしにきたの?」

 と冷たい視線を浴びせながら冷たい声で言うと、優斗はにっこり微笑んで

「プリント。学校の机に置きっぱなしだから届けてあげてって先生がさ。」

 と、そっとテーブルに置いてくれた。

 

 

 …

 

 優斗は、無駄に優しい。

 

 

「どうもー」

 と心無い返事をすると優斗は、にっこりして

「じゃあ、また明日」

 と癒しの笑顔を振りまいて去っていった。

 

 

 …

 

 キライ。

 

 優斗のあの笑顔がどうしてもキライ。

 

 

 優斗はクラスでもあんな感じでいい人だから、とてもモテる。

 

 わたしには、理解不能人間だわ。

 

 

 そんないつも笑顔な優斗をみていると、疲れる。

 

 心が痩せていく。

 

 わたしじゃ、無理。

 

 あんな笑顔振りまいてさ…なんの特になるんだろう。

 

 わかんなーい。

 

 

 

 わたしは、そのまま考えるのをやめて眠りについた。

 

 

 目が覚めた頃には、辺りは真っ暗になっていた。

 

 いつも通りの日常。

 

 ムックリ起き上がり夜ご飯を食べる。

 

 そしてお風呂に入って、またアイスやジュースを摂取する。

 

 

 そしたら、また眠くなる。

 

 

 ずーっと冬眠しててもいいんだけどな。

 

 

 あーあ。

 明日も学校とかめんどくさい。

 

 二階にバタバタと駆け上がり、正面の家のあかりをカーテンでシャットアウトした。

 

 あのお宅の部屋は、夜遅くまで電気がつけっぱなしなの。

 

 

 実は、優斗の部屋なんだけど…毎日遅くまで勉強しているみたい。

 

 わたしなんか、宿題すらやらないのにさ。

 

 

 なんで優斗は、そんなに頑張るんだろう。

 

 

 …

 

 

 優斗って、ほんとバカみたい。

 

 絶対人生つまらないだろうなぁとあわれんだ。

 

 

 …

 

 

 でも…ほんとは…

 

 

 ううん。

 考えない。

 

 

 人は人‼︎

 

 

 さ、ねよっと。

 

 

 

 こんな感じで毎日が繰り返される。

 

 そして毎朝、優斗と登校班で学校へいく。

 

 

 …

 

 

 やだなぁ。

 正直…毎朝憂鬱。

 

 だって、優斗ってばさ…勉強で寝不足なくせに、いっつもキラキラを纏っているかのように爽やかなんだもん。

 

 わたしなんて、たくさん寝て食べての幸せざんまいなのに…なのに全然キラキラしていないの。

 

 

 そんな人と、毎日一緒に並んで歩くなんて…もうなにかの罰ゲームでしかないでしょ…

 

 

 昔は、いつも一緒で楽しかったけどさ、今は…ヤダヤダ…ほんっとにヤダ。

 

 

 でもね…

 

 そんなイヤイヤな生活がやっと終わります。

 

 

 

 

 

 そう、わたし達は中学生になったのです。

 

 

 優斗は、違う中学に行くのかなと思っていたんだけど、どうやら…受験しなかったみたい。

 

 

 中学も一緒か…。

 

 

 でもさ、一緒に登校しなくていいんだって思うと少し気が楽になった。

 

 

 

 中学生ともなると、ほとんど優斗との接点もなくなった。

 

 

 というか…もう別世界の人みたいに優斗は、なっていた。

 

 

 スポーツもできて頭も良くて愛想もいいんだもんね。

 

 モテモテだよね。

 そりゃそうなりますって。

 

 

 でも、そんなことわたしには関係なーい。

 

 

 続く。

 

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