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23 水神、能力検査をする

能力とかあまり深く考えないで読んでいただければ幸いです。

「まず、あたしが試しにかざしてみるわね」


ヒューバートはクリスタルの上に手をかざした。

すると、クリスタルが赤く光りだし、二つの文字が浮かび上がった。


その文字を読むと、『炎』と『Sランク』と書かれていた。


「あれ? ランクってここに表示されるの? 僕のときはなかったはずなのに」

「それは、ランクが分かった時点で能力検査を二回やるとランクが表示されるようになってるのよ」

「へぇ、Sランクかぁ」

「あんたは何ランクなのよ」

「僕? Aランクだよ」

「はぁ? あんたがAランクですって? 何をしたらAランクにいくのよ」


アクディーヌにとって話の分からない話をする二人に首を傾げる。

受付嬢のブルーナを見ると、話が終わるまで待てと言うように首を横に振った。


(このお二方、話を脱線させる天才なのでは?)


能力検査をするために、面倒くさそうな冒険者ギルドに入ったというのにここまで来るのにだいぶ時間が掛かった。

ユウェシルがいれば、さっさと能力検査を済まそうとするはずに違いない。


「指定された魔物を倒しただけだけど?」

「あの強化魔法がかけられたウサギを倒したわけ!? そんな体で?」

「だからそうだって言ってるじゃん」

「いったい、最近の子どもはどうなっているのよ……」


ヒューバートはギルの言葉に対して、ため息をついた。

すると、受付嬢が申し訳程度に咳払いをした。

それに気が付いたヒューバートは「あら、いけない!」と言って赤く輝き続けるクリスタルに目を向けて口を開いた。


「こほんっ。話が脱線したけど、このクリスタルに手をかざすと自分の能力が色と文字として浮かび上がるの。あたしの場合は『炎』ね。知っていると思うけど、この世界には五つの魔法が存在するの」


そう言ってヒューバートは、分かりやすいように説明を続けた。


彼が言うには、この世界には『炎』『風』『花』『氷』そして、『水』が存在する。

このことに関しては、神であるため知らないことはないがヒューバートはアクディーヌのために詳しく説明してくれた。

色に関しては、炎は赤、風は緑、花は桃色、氷は白、水は水色だという。


炎の場合、力の証となり仲間を組む際に最も求められる能力なのだそうだ。

次に風は自然を操る証として、野宿をする冒険者や長旅をする冒険者に好まれる能力だという。


(炎は分かりますが、自然を操ることができるなんて物凄く便利な能力ですね。ウィンちゃんが自然を操っているところをあまり見たことがなかったので新鮮です)


そして、花の場合は癒しの証としてこれも冒険者に求められる能力だそう。


確かに、フェリクスは料理や服を作るせいかよく怪我をして自分で治療することが多い。

そもそも、天界の住民は怪我をしてもすぐに治ってしまうので治療する必要がないのだ。

フェリクスは、きっと彼なりのこだわりがあるのだろう。


そして、氷は守りの証として敵の攻撃から守る盾として使われることが多いのだそうだ。


それ以外にも、食材を保存するために使われたり暑い日には大活躍するそうだが、炎も水も日常生活において最も活躍するものではないだろうか。


最後に水は、天候を操る証として周囲の天候を自由に操ることができるという、これもこれで便利な能力なのだという。


それ以外に、水を様々な力に変化させることができ、時には武器に。

時には盾としても活用することができるのだそうだ。

このことに関しては、アクディーヌ自身も同じように水を変化させて活用しているため不思議なことではなかった。


そして、ランクに関してだが、この世界には、力の差によって5つのランクに分けられる。

それは、冒険者だけに限らず、あらゆる職業において共通だ。

ランクは『S』『A』『B』『C』『D』の順に高い順から低い順に分かれており、Dランクが初心者の多いランクだそうだ。

そこからBランクまでは『下級者』と呼ばれ、初心者から次第に経験を積み、少しずつ実力を上げていく者たちが分類される。


Aランクに上がる者は、『中級者』として認められ、貴族から依頼を受けることができるようになるそうだ。

この段階になると、一般市民からも尊敬されるようになり、名声を得ることが多くなるのだとか。

しかし、Aランクですら多くの者にとっては険しい道のりであり、到達できる者は限られていた。


そして、Sランクは『上級者』という位置付けになる。

Sランクに到達する者は非常に稀で、その数はごくわずかしか存在しないそう。

彼らはギルドマスターや皇族直属の騎士、王族の護衛として活動することが多く、その力は桁違いだと言われている。

Sランクは、貴族だけでなく皇族からも依頼を受け、時には勇者と共に戦うこともある。

しかし、何百年も前から、勇者や大きな戦いがなくなったため、Sランクの冒険者が戦場で活躍する機会は減り、彼らは通常、特定の役職に就くことが一般的になっていた。

ヒューバート以外の他のギルドマスターもその一部ということだろう。


それでも、Sランクになるための道は決して容易ではない。

どれだけ努力しようと、誰もが辿り着けるものではないのだ。

たとえ試験を受けても、その試験自体が過酷で、合格者はほとんどいないのだそう。

Sランクに達するのは、天賦の才を持った者、あるいは何か特別な運命を背負った者に限られていた。


ヒューバートは、Sランクという上級者だが冒険者ギルドの後継者としてギルドマスターの跡を継いだのだという。


「あらまぁ、魔法って色々な使い方があるのですね。それにランクも」

「そうなのよ。最近では、日常生活で多く活用されててね、戦闘面なんか強い魔物と戦わない限りは、ほとんど魔法なんか使わないの」

「そういえば、ギルは魔法を使わずスコップで戦ってましたよね」

「うん! 僕は一応、花の能力を持ってるんだけどあいにく、自分の傷しか治せなくてほとんど使ってないんだ。もし自分以外に使えたら主人を治せたかもしれないのに」


予想通り、どうやら彼は花の能力を持っていた。


そうとなれば、フィンレーの持病を緩和させる程度には癒せたはずだと思ったが、まさか自分自身でしか治すことができないとは何とも不思議なものだ。

もしかしたら、生まれつき手にする魔力の量が人それぞれ違うのかもしれない。

そう思えば、納得がいく。


「あんたの能力、不思議ね。確かに自分自身しか治せないなら意味もないものね」

「ま、僕には魔法は向かなかったってことだよ。そんなことより、スイの能力検査をやらないと」

「あらそうだったわ。本当に話が脱線しちゃうわね。スイ、手をかざしてくれる?」

「あ、はい!」


アクディーヌは急なことに驚いたが、すぐさま手をかざした。

だが、光ることもなく反応することはなかった。


「………あれ、何も起きないけど」

「おかしいわね。スイ、もしかしたら認識できていないのかもしれないから、直接触ってみてくれるかしら」

「分かりました」


クリスタルに直接触れてはみるが、反応することはなかった。


(なんとでもなるとは思っていましたけど、これってけっこうまずいのでは?)


アクディーヌ自身、元大精霊であり水神であるのにも関わらず、このクリスタルが反応しないのはどういうことだろうか。

『水』と出てもおかしくはないはずだ。

いくら神だからといって反応しないことはないだろう。

不思議に思いつつも、内心困惑しながら彼らの反応を待つことにした。


「……こんなのありえないわ。歴代から使われているクリスタルなのに反応を示さないなんて。スイ、あんたって……」


ヒューバートが何かを言いかけたその時、ギルドの扉が勢いよく開かれた。

そこには慌てた様子のユウェシルが立っていた。


「もうどうにでもなれ、です」


アクディーヌは、諦めたかのように遠い目をして呟いた。

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