⑤
5話目。
変な空気になった会場。
コホンと咳を一つ。
「…これでわかった?あんた達の言うイジメなんてものは何もなかった、ミランダさんの嘘…でもあんたはそれを見抜くどころか恋するが故に何も調査しないで、アリシア様を糾弾した。そしてアリシア様や他の、"ミランダさんを悪く言う"貴族達に権力を使って黙らせた。あんたや、あんた達の振る舞い全てを知った陛下は貴族会議で貴方の継承権を最下位に決定した…事実上の廃嫡にしたの。」
「そっ、そんなっ…」
「…そう…そして、嫌だ嫌だと拒んでも…他の候補者に碌なのがいないとか、実績があるんだから決まりだろとか、今までかかった費用返すなら許可するとか…あのクソ親父っ!!!!!!継承権放棄するには少し実績がいるとか言うから!!!頑張ったのにっ!!!!」
タァンと扇子で床を殴る私。拳?痛いからイヤ。
「私に上に立つ資格なんてないって!私が女王なんかになったら側妃に殺されるだけだって!何回も!言ってんのに!!だから臣下になってバカを支えるって約束したし、そのことで側妃と一派黙らせてたのに!!!週三の暗殺が倍になる所だったっての!!あのクソ親父!!!!!」
「え、週三…???」
「ひめ様ー、扇子壊れちゃいますー」
「ブフッ…ヒィヒィ…だ、駄目だ…俺ちょっと外の空気吸ってくる…」
突然のカミングアウトに狼狽する義弟
叩きつけられた扇子を心配するメイド
お腹抱えながらヨロヨロと出る執事
「…楽しそうだなぁ可愛いなぁ」
「…ふがふが(…コレ見てそれ言えるとか頭おかしいんじゃない?)」
「えへへ…愛してるからね」
いつのまにか私の側にいたお付きの…ええいめんどくさい、婚約者!(同盟国の王子)
そしてその発言を聞いて正気に戻った、というかドン引きしてるアバズレ。
何で会話成立してんのよ。
そして恥ずかしいから、あ、愛してるとかしれっと言わないでほしいのだが…
私の心配を一切していない、私のお付き共を無視して今までの事を端的に思い出す。
クソ親父と(口約束ではあったけれど)継承権放棄する為の実績作りを約束したし、臣下にならなくても市井に降ればいいと思っていたし、何だったらフェル(婚約者の愛称)の国で過ごそうと計画してた。
だから側妃達に私が王位を望んでいない事。義弟が王になる時に障害にならないように怠惰な"ぐーたら姫"で通していたのに、こんな形でボロが出るとは…
帝国云々も、ちょっとクーデターの情報渡したらそっちにかかりきりになったようだし。というかどこの国も一枚岩じゃないからねぇ…今の皇帝が膿出せるようにって、交渉したら何故か求婚されたのは笑い話である。同い年だけど、アレは戦友の勧誘だよ。
まぁ、それも全部無駄になった…訳ではないが私にとっては無駄足ふまされたようなもんだからね!
それもこれも、ハニトラに引っかかった義弟のせいなんだけどね!結局はここに行きつくわよね!