④
4話目。もうちょい続きます
ご指摘があったので一部改稿しました。
絶句する会場
朗らかな笑みを浮かべるメイドのイリア
プルプルと震え笑いを堪える執事
襟首掴まれて揺さぶられたせいで気絶寸前の義弟
後退りしようと身動きした瞬間、騎士達に捕えられた義弟の元婚約者の令嬢とその家族
びたんびたんと元気よく跳ねていたが段々と大人しくなり呆然とする取り巻き共と、その様子を見て頭を抱える取り巻きの親達
こんなのおとめげーむじゃないとか、わたしはひろいんなのよと叫ぶアバズレ…あれ、猿轡どうした?よく見ると、頬に擦れた跡が。ガッツがあるわね
イリアも気づいて、より強固に猿轡をしていた。あのロープどこから出したんだろうか?
正にカオス。私が作った状況だけど、そうとしか言えない。
ハッと正気に戻った義弟が反論する。
「ま、待て…待ってくれ、義姉上…アリシアはミランダを虐めた!証拠もある!」
優秀なメイドからすっと出された水を飲み、一息入れて義弟の反論を潰す。
「その証拠とやら…もしかしてボロボロになった教科書とかドレスのこと?一体それのどこに他人が関わったっていうの?特徴的な刃物を使ったり加害者の体液がついていて、刃物を特定したり加害者と照合した結果一致したならまだしも、何も調べないでボロボロになった物だけ出して糾弾しても意味がないの。んなこともわかんねぇの?」
ぐっとほぞを噛む義弟は尚も反論する。
「しょ、証言も!アリシアに虐められたと泣きながら僕に訴えたんだ!」
「…ミランダさんだけ、でしょ?そんな事言ってるの。貴方たち以外の学校の全生徒先生に確認したけど、誰1人その場を目撃していないわ。つまり狂言ね。それと…あんたは忘れているようだから思い出させてあげるわ」
ここで大きく深呼吸。
義弟の少しよれた襟首を再び掴み、顔を近づけて告げる。
「…私たち王族には影が2人必ずつくの。それがこの国のルール。そしてその王族に婚約者がいた場合には、そちらにも1人婚約者と同性の影がつく。その影は交代制でね、1人と言っても実質影全体が王族とその婚約者を守り見張るわ。その影達は王族というだけの私たちが買収とかどうこう出来る存在じゃないの…あくまでクソ親父の、国王陛下ひいては国の為だけの存在」
思い出してきたのか、"初めて聞いた"のか段々と顔を青ざめる義弟。
「…学校へ行く前に、陛下は仰っていたじゃない『我ら王族はいついかなる時も視られていると思え』って。影は守ると同時に見張るの。次期国王に、国の為の王族に相応しいかどうか。自分達が身を削って守るに相応しいかどうか」
「で、でも…それと何の関係が」
「影は全てミランダさんの狂言で、貴方が提出しようとしていた証拠も彼女によって捏造されたものだと報告してきたわ。もちろん言い逃れようのない確かな証拠映像と一緒にね」
私がそう言うとタイミングよく薄暗くなる会場
あいつらっ…なんてタイミングの良いっ…みたいな表情をしている優秀なメイド
2回目のクソ親父発言に堪えきれなくなったのか、とうとう崩れ落ちた執事
そんな二人を見ながら困ったように微笑むお付きその2
…なんで私の周りにはこんなんしかいないの?
そして流れる証拠映像。
場所は学校の寮のミランダさんの部屋。
彼女が恍惚な表情を浮かべてハサミを掲げる。
ジョキジョキ ビリビリ
『うふふっ…これでアレックス様はわたしをより一層信じてくださるわぁっ!あの女を蹴落として、私は王妃になるのよ…そうしたら逆ハーエンド!イケメンはみぃんなわたしが愛してあげるわぁ!』
薄暗い部屋で自分の教科書やらドレスやらを切り裂く少女
愛らしい少女の狂気的な笑顔から溢れる不気味な笑い声と欲望
私と義弟含めて静まる会場
こんなthe・狂気みたいな映像、初めて見たんだが?え、こんなのもあるの?
私が見たのってもっと夢見心地な顔をして、ぎゃくはーとかおとめげーむとかわたしはひろいんとか言って、虐めてこないアリシアさんに怒って、自分で切り刻めばいっか的なことを全部口に出してる映像だったんだが???
それはそれで怖かったんだが????
え、なんでこれ出した?????