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3話目



シーンと静まってるのは愚弟たち。用紙を見て呆然と突っ立ってる義弟と、義弟を避けるように身を捩って用紙を食い入るように見るアバズレと取り巻き。



「…なっ、何をっ…そんな、馬鹿なっ僕は王太子でグフッ「そのてめぇが馬鹿やらかしたから、事実上の廃嫡になったんだろうがぁっ!!!!!」


用紙をグシャッと握り込んでそのまま右アッパー。

王子は舌を噛んだ。


継承権第十位とはなっているが、王族の子供や陛下の兄弟姉妹が沢山いるわけではないので、第十位とは隠語で"生涯飼い殺し"の事を指すそうだ。


その事を知らされた時の私の絶望感。そしてやらかしてくれやがった義弟への怒り、その他諸々が爆発して私は今ここにいる。




「何でこんなアバズレに引っかかるのよっ!!こんな、見え見えのハニートラップ!卒業パーティっていう祝いの場にオッパイ強調しまくった下品すぎる場違いな、しかも全く似合わないドレス着てるアバズレに!!!」


「なっ!?これはアレックス様に!」


「うっさい六股女!!」


「「「「(え、六!?)」」」」


「な、なんでそれを」


「こっちは何もかも全部知ってるっての!さっきから何回も言ってんだろ!?愚弟、宰相候補筆頭、騎士団長子息、商会長子息、既婚者、先生…毎日毎日男を取っ替え引っ換え!自宅に誘う時もあれば相手宅で!!確かに調査して報告せよって命令したけれども!なんで他人の性生活なんて聞かなきゃいけないのよ!?」


会場の空気は一変、私に向かって同情の視線。


顎の痛みを抑える義弟の襟首に手を伸ばし、ガクガクと揺さぶる私。


「勉強嫌いなてめぇが戴冠しても不自然と思われないように、根回しいっぱいして!第一王女の私が将来自由に動き回る為に費用も工面して!時たま来る野心しかないババア(第二王妃)の嫌がらせや暗殺者を撃退して!!最後の仕上げに他国との同盟も使ってクソ親父に継承権突き返そうと頑張ってたのに!!」


国王陛下をクソ親父と言ったとき、執事は軽く噴き出した。



「耄碌した権力欲しかないジジイ共にバカの婚約者を頼んだはいいけど、背後に帝国いるし!!仕事ぶりは真面目だし、人柄も特に問題ないからって簡単な調査しかしないで!帝国の影がチラついたからって他の仕事してる私に余計な仕事増やして!!金とイケメンにしか興味ないアバズレをバカ王子にけしかけて、アバズレには何もしていない貴族の娘を冤罪騒ぎで婚約破棄叩きつけて国外追放させて、帝国の縁戚の貴族を虚仮にしたことで帝国怒らせて戦争て!!」


ゼーハーゼーハー


なんか口走っちゃいけないことも言った気がするが、連日の仕事疲れと聞きたくもない愚弟達の爛れた生活報告による疲労と帝国との戦争回避による徹夜明けでヤケクソ感が半端なく、変にテンションが高かった。


後悔はしてない。反省も特にない。うだうだ言うやつは黙らせればいい。




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