スライムの夕陽は綺麗か
スラりんとの友情を深める回です!
俺は今、川で泳いでいた。
なぜだって?
なんだかパターン化してきた気がするが、
今回はちゃんと理由がある。
スキル獲得の為だ。
「こんな感じか?スラりん」
俺は念話で話しかけ、川の中を浮き沈みしている。
「うんうん、そんな感じだよ」
そう言うスラりん。
「次はちょとだけ泳いでみようかスーラ」
「オーケー」
ーーーこうなったのは数十分前、
スラりんの一言がきっかけだ。
「ねぇ、気になってたんだけどなんで君は話せるの?」
「ふふふ、それはだな」
「それは?」
「レベルアップして、スキルを手に入れたからだ!」
「レベルアップしたの?!どうやって??」
「冒険者を倒したんだよ、くしゃみ君をな」
俺は詳しくその状況を教える。
「へぇー、そんな事があったんだ。すごいね、レベルアップしてスキルを手に入れたなんて!」
スラりんがあまりにも褒めるのでかなり照れる。
悪い気はしないので止めないが。
むしろもっと褒めて!
おっと本音がでてしまった。
俺はスラりんに聞いてみる。
「スラりんは何かスキル持ってる?」
「ふふふ、それはねー…」
「それは?」
「水泳ってスキルを持ってるんだよー」
「おぉー、すごいじゃないか!」
俺は水泳ってなんのスキル?と思いつつもリアクションする。スライムって泳げるもんなのか?
「どうやったんだ?」
「うん、それはね、僕が最初に水に入った時にね…」
今度はスラりんが説明してくれる。
スラりんが最初に水に入ったのは、冒険者に追われていた時だそうだ。それまではまったく川に入ろうとは思わなかったらしい。俺も木に登ろうと思ったのは隠れないといけなくなったからだ。
話を戻すと、スラりんは冒険者から必死に逃げていたら
川に落ちたのだそうだ。
スライムの身長では草が茂っていただけで川が見えなくなる。その時は焦っていたので、川の水音にも気付かず、そのまま落ちたと少し恥ずかしそうに話してくれた。
その冒険者はスラりんがまさか川に入っているとも思わず、川を飛び越え向こう側へと走っていた。
スラりんはこうして窮地を抜けたのだ。
その時に川に流されないように必死もがいていたら、
水泳というスキルを獲得したらしい。
スキルとは修練などでも獲得できるらしい。
確かに俺も草食ってたらなんかスキル獲得したなぁ。
まぁ、そんなわけで俺はスキル獲得の為頑張って泳いでいる。いや実際かなり頑張っていると思う。小川とはいえ川の流れのある中泳いでいるのだ。油断するとすぐ流される。
〜スキル「水泳」を獲得しました。
どうやら獲得したらしい。
俺は陸で指導していた、スラりんを見る。
スラりんは草を食べている
俺の食事スキルを獲得した時の事を教えたのだ。
なんだか美味しそうに食べている。
「スラりん、草おいしい?」
「全然!味のしなくなったガムを食べてるみたいだよ。」
「ガムを食べた事があるのか…?」
「何か言った?」
「いやなんでもない」
ガムという単語が出た。なぜかは知らないが
なぜかそれの事はわかる。
スラりんも実際は食べた事は無いだろう。
不思議な事もあるもんだ。
しかし、スラりんは口では美味しくないというが、美味しそうに食べているのだ。
これはあれか?隣の芝は美味しく見えるって奴?
いや青くみえるんだっけ?
まぁ良いか。俺は一旦ここまで考えてから思考を放棄した。
俺は河岸をよじ登り川から上がった。
涼しい風が気持ちいい。もう、すっかり日が落ちて夕方だ。スライムの身体が夕陽に染まっている。
「僕も食事スキルを手に入れたよ」
「そうか、よかったな」
「わぁ、綺麗だね。」
夕陽を見てスラりんは言う。
「そうだな」
夕陽なんてここ最近すっかり見ていなかった。
こんなに綺麗だったけ?
いや、これは二人で見ているからかもしれないな。
たそがれる二匹のスライム、
スライムの青を塗り替えるような夕陽に少し見惚れる
その太陽も今日の仕事は終わりなのか、帰ってしまった。
一気に辺りが暗くなった。
スラりんが沈黙を破る
「どうする?」
「俺は一旦帰るかな、お気に入りの木があるんだ」
「そっか、僕も川の中で寝るんだ。じゃあまたね、」
スラりんは川の中で寝るのか、流されないのか?
いや水泳スキルは極めるとそういうことまでできるのかもしれない。
「じゃあな、また明日!」
俺は名残惜しくもその場合を去った。
ーーースラりんが見えなくなった。
俺はお気に入りの木へと向かっている。
そんな時だった。
「た、たすけてぇっー!」
スラりんの悲鳴だ。
やはり、フラグは危険だった。
俺は全速力で悲鳴の聞こえた方へ走った。
スライムでも夕陽は綺麗だと思うようですね。
さて、フラグ回収に移ります。
やはりフラグは危険ですね。
スキル説明です。
水泳:泳ぐことができる。
以上です。いや、異常です ではありません。
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