俺の初コンタクト
初コンタクトです。
もちろん
なんか目悪くなったな
コンタクトレンズつけよう、
という話ではありません。
まずスライム目無いし。
俺は魔法を使ってみることにした。
と思ったけれど、今日はもうやめておこう。
もう夕方だ。暗くなれば魔法の効果を確認する事が出来ないだろう。
俺はやはり近くの木にずりずり登る。
出来るだけ高めの所で寝ることにする。
石をぶつけられて起きるのもう勘弁だ。
登っていくと、バルバードという鳥の魔物の巣があった。
もう使われていない様なのでそこを使わせてもらおう。
俺の身体はすっぽりと巣に収まる。
思ったより疲れていたのか、俺はすぐに寝付いた。
ーー次の日の昼下がり、
俺は遂に魔法を使ってみることにした。
ん?「なんで昼下がりなんだ、午前中はどうした?」だって?
スライムにも色々あるのだ
午前中は色々忙しかった。
まぁその事は後々話そう。
って事で魔法いってみよう!
俺は木に向かって水魔法を念じてみる。
はぁっ!
すると小さな幾何学模様の円が現れ、そこから水の玉が
木に向かって放出された。
バシャっ!
木が濡れた。
………えっ?
木が濡れた
…………はっ?
木が濡れた
いやいやもういいって三回で十分だ。
ほんっと一人でなにしてんだか、
それにしてもショックだ。
俺はもっとこう、水刃とかそういう感じの水の刃をイメージしていたのに。
それでバッシュって木を切りたかったのに…
気を取り直してもう一回だ。
もっと強く水の刃をイメージせねば…
ーーー俺が頑張った結果…………
なんと何にも変わりませんでしたー。
あれから何度も打ってみたが幾何学模様の円、
魔法陣が出てそこから水が出るというだけのものだった。
木をただビショビショにしただけだ。
途中から何故か打てなくなったのでやめたのだった。
もしかしたらこれは飲み水を作り出すための魔法かもしれない…
いや俺、水飲まねーし!
全く意味の無い魔法だ。
期待して損した。
次は念話だ、念話。
これこそ期待できるというものだよ!
…いやフラグは危険だ。俺は学んだのだ。
そこそこの期待にしておこう。
というわけで俺はスライムを探しはじめた。
ポヨンポヨン歩いていると、
さっそく発見した
念話の使い方がよくわからないが
とりあえず話しかけてみる。
「こんにちは、ぼくは悪いスライムじゃないよ。」
どうだ、完璧な挨拶だろう。
しかしスライムの反応がない
「…」
いやこれは反応がない訳ではなく、意思がなさそうだ。
確かに俺も生まれた時の事は覚えていない、
覚えているのは物心がついた時からだ。
きっとそれまでは自我はなかったのだろう。
よく生き延びられたものだ。
流石俺だな。
「あばよっ!」
俺はそのスライムにそう言い去った。
チョロチョロチョロ、
水の流れる音が聞こえる。
俺は音の聞こえる方へと向かった。
そこには小川があった。
幅2〜3メートル程の川だ。
俺は水辺を覗き込んだ。綺麗な水なのだか、
なにか水中に異質な物がいる。
俺はそれと目があった。
スライムだ。
俺はあの挨拶も忘れて思わず言った。
「そこで、なにしてんの?」
そういうと、スライムは
「……?!」
なんか驚いた様子で川から出てくる。
俺はとりあえず挨拶する。
「やぁ、こんにちは、俺は悪いスライムじゃないよ」
ふふふまたもや完璧な挨拶だ。
川から上がったスライムも
「こ、こんにちは。ぼ、僕も悪いスライムじゃないです。」
そう挨拶してくる。
おぉ!初コンタクトだ。
初めての会話のキャッチボールができた。
俺はもし目があったら感激で涙していた所だろう。
さっそく自己紹介して、なんとしてでも仲良くならねば。
「俺はスライムのスーラ、よろしくな」
「僕はスライムのスラりんだよ、よろしくね」
「スラりん?」
「変かな?自分で考えたんだけど」
「いやいや変じゃないよ、いい名前じゃないか」
「あ、ありがとう」
俺は会話のキャッチボールが出来る事に
内心、とっても感動していた。ほんと目がなくてよかった。あったら間違いなく泣きながら話しているだろう。
今まで俺はボールを投げるのですらできなかったのだ。
これは俺にとっては小さな一歩だか、スライムにとっては大きな一歩である。
なんか、テンション上がって変な名言、いや迷言を言ってしまう程だ。
俺はスラりんに問いかける。
「スラりんは誰かと話した事ある?」
まずはスライムの常識を確認しなければそう思っての質問だ。もしかしたら、俺が一人はぶられている可能性だってある。
「ないよ」
良かったハブらていた訳ではなさそうだ。
俺はもう一つ質問する。
「スラりん、ぶっちゃけ転生した事がある?」
「きみもあるの?僕は半年前に一回」
俺は共通の話題があって喜んだ。
やっぱり共通の話題があった方が話は盛り上がる。
俺は早速話を広げる。
「なんで殺やられたんだ?」
「水の中で隠れてたらね、」
「あれ隠れてたんだ…」
「なにかいった?」
「イヤなんでもない続けて」
「うん、それで水の中に隠れてたらね…」
スラりんが話すには
水の中で今みたいに隠れていたら、金髪のレイピア女勇者がやってきて魔核を一突き、それでスラりんは亡くなったのだ。
まさか同じ勇者にやられているとは、
夢にも思わなかった。俺は転生の時の話をした。
あのニコッと天使だ。
「あそこの天使酷いよなぁ」
「えっ?別に酷くはなかったよ」
「えっ?」
しばし、二匹のスライムは沈黙する。
どういう事だ?スライムはみなニコッとされて通り過ぎるのではないのだろうか。俺はきいてみる
「あのさ、スラりん」
「なに?」
「その天使は男?女?どっちだ?」
「若い男の人だったよ?」
…はっ?…なんだって!天使はあの娘だけではないのか?
俺は恐る恐る問いかけた。
「そ、それでさ話はした?」
「したよ」
…俺はさっきとは別の意味で泣き出しそうだ。
「どんな?」
「えっとね、それは…」
スラりんが言うには…
俺と同じように天へ昇っていったスラりんは霧がかった空間に行ったそうだ。そこには美男子な天使がいて、
なにやら色々と説明を受けたようだ。
俺は途中から話を聞くに聞けなくなった。
衝撃の事実だ。話題を広げようとしたら衝撃の事実が発覚してしまった。
「そ、それでね。僕は半年間生き延びたらゴブリン、コボルト、バルバード、スライムに転生できるんだって」
「そ、そうか…何になるのかもう決めたのか?」
「コボルトかな?一番魔物っぽくない。」
確かにコボルトは一番魔物っぽくない魔物だ。
ゴブリンは明らかに魔物だし、バルバードは羽根が四枚もある鳥なので普通の動物ではなく魔物だとわかる。
一方でコボルトはほとんど犬だ。
若干、狼の混ざった様な犬でカッコいい。
俺もせめて、コボルトに生まれたかった。
「そ、そうか…ん?半年?それってまさか今日?」
「うん!そうなんだよ、今日生き延びられたら次はコボルトだって!」
嬉しそうに話してくれるスラりん。
でも、それはフラグではないだろうか。大丈夫だろうか…
心配になったがまぁ回収すると決まった訳ではないか、
大丈夫だろう。
「だからね、本当に君に会えて嬉しかったんだよ。スライムの内にスーラとスライム同士で話せて。」
「そう言われるとなんか嬉しいな」
俺は照れる。スライムの体が気のせいか火照ってきた。
「あの、お願いがあるんだけど…」
スラりんが申し訳なさそうに言う。
「スラりんのお願いならなんでも聞くよ!」
ここまで言われたんだ。どんな願いでも聞こう。
「と、と…」
「と?」
「友達になってくれないかな?」
「友達?」
「だ、ダメかな…」
なんか泣き出しそうな感じだ。
俺の答えは決まっている。
「ダメだ。」
「えぇっ、そんなぁ…」
「俺達は親友だ!」
そう言って瞬間ぱぁっと顔を輝かすスラりん、
スライムなのに表情が目にみえるようだ。
「ありがとう!」
「いいってことよ」
俺も、なんだか照れ臭い。
ついに俺には友達、いや親友が出来てしまったようだ。
遂に仲間ができそうな感じです。
スライムのスーラが好きなものは
木の上、
草を食べる事、
そして、ポイント評価です。
ステータス
名前 スーラ 種族スライム
レベル8
生命力8
魔力10
攻撃力6
防御力8
敏捷 8
スキル
睡眠:寝る事ができる。
食事:食べる事ができる。
水魔法:水を発生させる。
念話:魔素の波で会話する。音は介在しない。
スキルも結構増えてきました。
本人は知らない事ですが、
水魔法は、水を発生させるだけの魔法です。
結構重要なもので
これが無いと全ての水魔法は使えません。
水魔法を使う資格みたいなものです。
前の話でもステータスは載っています。
大事なので二度と書きました。