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番外編 勇者のサンドイッチ

スラりんと会った日のお昼のお話です。

番外編を書いてみたかったんです。

これは俺がまだウォータスライムで水魔法と念話を使おうとしていた日の事だ。


俺は二度寝につぐ二度寝で、起きたのは太陽が真上を通り過ぎる前だった。ほどよい木漏れ日と涼しくて心地良い風がちょうどいい。二度寝三度寝したくなるが、今日ははじめての魔法と会話の予定があるのだ。

俺はなんとか頭をふって(スライムの頭がどこなのかわからないが)

そうして起きたのだ。


ふあぁーよく寝た…寝すぎたな…

午前ほぼ潰れちゃったわ…


水魔法はやく使いたいな、

水の刃になるのだろうか、水の矢かな?

洪水とか起こせちゃうんじゃ…


俺は水魔法に思いを馳せつつ木から降りようとして固まる。


あの勇者だ、金髪で美人の…

俺を殺した奴だ。

しかしその勇者はこちらには気づいてはいなかった。

バルバードの巣で見えなかったのだろう。

バルバードに感謝せねばな。

じっと枝の間から様子を伺う。


レイピアは一応もっているが、籠のバスケットがある。

それから勇者はサンドイッチを取り出した。

なぜ俺がサンドイッチという単語を知っていたのかはわからないがもしかしたら覚えてないほど小さい頃に冒険者とかが食べているのを見たのかもしれない。


うわぁ美味しそうに食べるなぁ

そのサンドイッチは軽く焼かれた食パンにベーコンとレタスにトマト、タルタルソースが挟まれている。

またもやなぜ、ベーコンやレタスなどを知っているのかわからないが俺はそれを知っていた。

金髪美少女勇者は

もぐもぐと数回咀嚼してから味を味わって飲み込む。

そして水筒からいい香りのする紅茶をごくっと上品に飲む。ここまでサンドイッチと紅茶の香りがする。


ギュルルる…


鳴らないはずの俺の腹が鳴った気がした。


勇者は満足してねむくなったのだろうか、こくっこくっと船を漕ぎだした。

勇者だしやっぱり疲れているのだろう

すぐにスースー寝息をたて始める。


俺はその様子を見ているとすっかり自分を殺した奴だという事を忘れそうになる。

それほどまでに綺麗で可愛かったのだ。

俺は全く仕返しをするつもりにはならなかった。


しかしここで俺はあることを思う。


サンドイッチ食べたい…


俺は草しか食べた事は無かったがサンドイッチならどうなのだろうか、ぜひ試したい。

だが、それには大きな壁が立ち塞がっている。いや下で寝ているな。

まだあのバスケットの中にはサンドイッチが残っているはず…

なんとか一個だけでも頂いて食べたい。


なんだか知らないが不可能なミッションをクリアしようとする感じの音楽が頭の中に流れてくる

タッタッタッタラーっ、タッタッタッタラーッ

タラッタータラッタータラ、


俺はドキドキしながら足を忍ばせて…足ないけど。静かに木を降りていく。

そしてバスケットに近づくと


「スライム…」


勇者がそんな事を言うので俺はびくん!となってバスケットの中に入る


「むにゃむにゃ…」


すっごく驚いた。寝言だったようだ。俺はバスケットの蓋を頭で押し上げて見るがスースー寝ている。俺は一つのサンドイッチを手に取り(見た感じはスライムにサンドイッチがくっついているだけだ。)

俺はそのまま木に登る。

そしてなんとかバルバードの巣にたどり着いた。

若干盗んだ事に罪悪感はあるが

隙だらけなのに殺さないのだ

それで勘弁してほしい。


勇者は一際大きな、一漕ぎをして目を覚ます。


「んっ…すっかり寝ていたわ…ん?なんかサンドイッチ減ってる?疲れてるのかな?」


バスケットの中身を見てそんな事を言ったので

俺は体が硬直する。

が疲れていると勘違いしたようだ。

ほっと胸をなでおろす俺、胸どこかわかんないけど。


勇者は立ち上がり帰っていった。

俺はサンドイッチを食べる

もぐっもぐっではなく…べちゃぬちゃと音をさせてジュワーと消化する。そして味の感想を一言


やっぱわかんねぇぇーーーー!


サンドイッチでもスライムは美味しいと感じないようだ。

でもなんだか元気にはなった気がするので良しとしよう。


さて水魔法だ

どんか魔法なんだろうなぁー

とても楽しみだ。


数十分後、俺は水魔法に大きなショックを受ける事になる事をまだ知らない…

楽しんでいただけたでしょうか

次も出来るだけ早く投稿できるように頑張ります!

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