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リバース・ジョーカー  作者: ぱんどら
第四章 黒き嘲笑の真実

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憤怒すらも凍らせて

 千咲への怒りを吠え、凍てつく氷の翼を顕現させた璃空。


 「その怒り、素晴らしい! ……だが、この俺を前にして、他人への怒りを覚えるなぞ、許されると思うのか!!」


 その姿を前にイラは、怒りを露わにする。

 同時に、彼が天霊であることを示すように、身体に刻まれた火傷の跡が赤く燃え上がる。


 「──」


 その瞬間、璃空はイラの視界から消え失せる。


 「何……?」


 一体、どこに消えたのか。


 「──氷雷斬華」


 その答えは、イラの背後から聞こえてきた。

 振り向きざまに攻撃しようとするイラだったが、璃空の方を向こうとした瞬間、雷撃が身体を駆け抜け、肩から腰にかけて切り裂かれていることに気が付く。


 「ぐぁっ!? ば、バカな……」


 セブンスの能力者は、誰もが厄介な能力を持っていた。

 だが、能力を発動される前に終わらせてしまえば、何の問題もない。

 それ故に、璃空はこの一撃で勝負を決めるつもりだった。

 目にも止まらぬ速さで確実に致命傷を与えた。

 ──はずだった。


 「ちっ……。そんな簡単にはいかないよな」


 璃空は、一撃で殺しきれなかったことに舌打ちをしながら、一瞬で距離を取る。


 「あぁ……いてぇ。いてぇ、いてぇ、いてぇえええなぁぁぁぁ!!」


 血に濡れたイラの激昂は、空気を震わせ、氷の宮殿にひびを入れる。

 先ほどよりも霊力が上昇していることを感じ取った璃空は、すぐに攻撃が来ることを予見し、次の一手を打つ。


 「ははぁ!!」


 そして、璃空の予想通り、イラは地面を砕きながら、一瞬で璃空の前に詰め寄る。

 全速力の移動とその速度を乗せた拳を璃空に向けて放つ。

 攻撃が来ると予見していても、避けられなければ意味がない。

 璃空が反応するよりも早く、イラの拳が打ち出した空気が璃空の内部を破壊する。


 「怒龍弾解ドラグイル・ドーン!!」


 身動きが取れない璃空の身体に、拳が直撃し、璃空の身体は完全に破壊される。


 「璃空……!?」


 「そんな……鳴神さん……!」


 璃空の身体が血飛沫と共に、胴体が千切れ飛ぶ。

 その光景に、鏡夜と玲那が信じられないと叫び声を上げる。


 「大丈夫。よく見なよ」


 しかし、戦闘を冷静に観察していた沙織は、静かに呟く。

 沙織の言葉を聞き、鏡夜と玲那は璃空の千切れた身体をよく見つめる。

 血飛沫に混ざり、微かに白い冷気が漂っていた。

 二人がそのことに気が付いた瞬間、璃空の身体が氷の欠片になって砕け散る。

 そして、氷の中に閉じ込められていた雷撃が、イラの身体を貫く。


 「がぁ!!」


 雷光の中に紛れ、イラの死角に璃空が姿を現す。


 「纏雷氷狼てんらいひょうろう


 放たれた雷光を纏う氷狼。

 確実に急所を狙った一撃だったが、先ほどよりも霊力の出力が数段上がったイラは、間一髪のところでその一撃をかわす。

 だが、無傷とはいかず、彼の左腕が氷狼に食い千切られる。

 雷撃が全身を駆け抜け、傷口が凍りつく。

 それと同時に、イラの霊力が上昇する。


 「傷を負うと霊力が上昇するのか。シンプル故に、強力な能力だな」


 ここまでの戦闘を見ていれば、イラの能力には察しが付く。

 傷を負うことをトリガーに、霊力が上昇する能力。

 恐らく、霊力の上限値は、息絶える数秒前に最大値となるだろう。


 「──だったら、一撃で消し飛ばしてやる」


 であれば、そんな暇も与えずに一撃で葬ってしまえばいい。

 璃空は、霊力を集中させ、決着の一撃を準備する。


 「ああ、そうだろうと思ったぜ……!」


 対するイラも璃空の狙いには気が付いていた。

 彼と対峙した相手が取る戦略としては当然のものだった。

 そして、そういう単純な考えで向かってくる敵を、イラは何千と葬ってきた。


 「そういう勝利を確信したような顔をしてる雑魚が一番ムカつくんだよ!!」


 イラは憤怒を叫びながら、自分の心臓を貫いた。

 このままではイラは死に至る。

 それはつまり、彼の能力による霊力上昇が最大値に達したことを意味している。


 「死ね! 怒龍弾解ドラグイル・ドーン!!」


 神霊にも届き得る霊力で行われる身体強化。

 璃空が瞬きすると同時に、イラの姿が消滅する。

 恐らく、次の瞬間には彼の拳が璃空に直撃する。

 それほどまでに、今のイラの力は脅威だった。

 ──だから、璃空は最初から真っ向から戦う気なんてなかった。

 遅れて地面が砕け散り、イラの移動によって発生した衝撃が、建物を砕く。

 だが、その拳が璃空に届くことはなかった。


 「な、に……」


 イラの全身は凍りつき、指一本動かせない状態になっていた。


 「悪いな。お前みたいなやつと正面からやり合う気なんてねえよ」


 そう言いながら、璃空は雷撃を放ち、凍りついたイラを粉微塵に消し飛ばした。

 轟音の後に訪れる静寂。

 イラを撃破し、その場にいた全員が、戦いが終わったと思った。


 「──敵の本拠地で油断か?」


 その意識の隙間に、それは現れた。


 「は?」


 それに気が付いた瞬間、璃空の身体が吹き飛ばされ、氷壁に叩きつけられる。

 一瞬の間に起きた出来事に、鏡夜達は言葉を失っていた。


 「データ収集にはイラで十分かと思ったが、流石に荷が重かったな」


 突如現れた人物は、ため息をつくと同時に放った冷気で、建物の損傷を瞬時に修復する。


 「──鳴神、千咲!!」


 圧倒的な能力行使と共に現れた鳴神千咲。

 璃空は怒りを滲ませながら、身体を起こす。


 「はぁ……仕方ない。私が直接計測してやる。来い、欠陥品」


 「上等だ、クソ野郎!!」


 面倒そうな千咲の声に怒りが頂点に達した璃空は、壁を全力で蹴り、彼女の懐に潜り込む。


 「死ね……!」


 そして、璃空の怒りと共に弾けた眩い雷光が、氷の宮殿を包み込んだ。

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