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リバース・ジョーカー  作者: 遥華 彼方
第3章 赤夜の夢と天霊都市
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天霊都市最終戦Ⅲ

 天霊都市での戦いが終わりに向かう中、状況が膠着した戦場が一つ。


 「ははははは!! 甘音璃々!! やっぱりお前は、最高の女だぜ!!」


 天霊都市に響き渡る、悪意に満ちた高笑い。

 それを斬り伏せるがごとく、甘音は刀を振り抜く。

 彼女の一撃で、四神穿螺が立っていた建物は、粉々に粉砕される。

 宙に放り出された四神に目掛けて、空気を刃に変えて放つ。


 「おっと、そいつは無駄だぜ」


 しかし、その攻撃は四神に触れることなく消滅した。

 そのまま彼は、地面へと着地するや否や飛び上がり、甘音に向けて、〇力を纏わせた拳を振るう。

 彼の一撃に空気が押し出され、巨大な霊力と空気の塊が、彼女に襲い掛かる。

 風に巻き上げられた瓦礫が弾丸のように降り注ぐ中、彼女は刀の一振りで霊力の塊を切り捨てた。

 そして切り捨てると同時に、刃に乗せた能力で、大量の水へと変換し、街に放流する。

 燃え盛る炎に触れた水は一瞬で蒸発し、二人の戦場は白い蒸気に包まれた。


 「おいおい。白けた真似すんじゃねえよ。もっと血肉湧き踊る戦いを続けようぜぇ!!」


 「そんなの一人で、ご自由にどうぞ? 私には、私の戦い方があるの……!」


 姿を消した甘音が指を鳴らした瞬間、四神を包んでいた蒸気が、一瞬で炎へと変換された。


 「がああああああ!!」


 四神は、どういう能力かは知らないが、甘音が放つ能力による攻撃の悉くを無効化した。

 その仕掛けを暴くために、逃げ場のない全方位からの集中業火と言う手段を選んだ。

 全身を焼かれ、炎の中で蠢く四神。

 その様子は、苦しそうではあるものの、命の危機を感じている様子ではなかった。


 「あああああああああああああああああああははははははははははははは!!! 何を、しても、無駄だぁ……!」


 焼死体寸前の四神が、血反吐を撒き散らしながら、甘音を睨みつける。


 「俺は、お前の行いの、悉くを、否定する……!! 『存在否定キリング・オール』!!」


 彼の身体から迸る歪んだ霊力が、炎をかき消し、黒く焦げ付いた彼の身体を元通りに戻していく。


 「そういうことね。能力の無効なんて生半可なものじゃない。あなたは、あなたの望んだものを否定できる。例えば、自分の死とか、ね」


 「ははは! 俺も、お前の能力が理解出来たぜ。変換能力、それも高度な変換だ。だが、同時に変換できるのは一つだけみたいだな」


 「まあ、流石にばれるか」


 短い攻防の間に、互いの能力を暴きあった二人。


 「当然の結果だろ。そして、お前が俺に勝てないのも明らかになったわけだ」


 そして同時に、四神は自分の勝利を確信した。


 「何故なら──」


 「っ──!」


 「お前の変化を、俺が否定しちまえば、成す術がねえもんなぁ!!」


 一瞬で視界から消え、霊力を纏った拳を死角から放たれた甘音は、隣の建物へと叩きつけられそうになる。

 彼女は、建物に向けて刃を突き立て、身体がめり込む寸前にゴムへと変換させ、そのまま四神の元へと滑空する。


 「そうやって言う割には、やらないのね。もしかして、大きな能力行使のせいで、反動でも来てるのか、なっ!!」


 そして、やり返すように懐に滑り込み、彼の胴体を切り裂こうとする。


 「ちっ!」


 膨大な霊力による身体強化で、無理矢理反応することで、どうにかその一撃を防ぐ四神。

 しかし、甘音の能力によって生じる二撃目、腕に纏っていた霊力が雷撃へと変換され、彼の身体を貫く。


 「がぁっ!!」


 「さっきの話、図星だったみたいね。あなたの能力は、万物を否定することで、それをなかったことに出来る。でも、大きな事象を否定したら、ある程度の時間は能力が使用できなくなる」


 そのために四神は、能力を工夫して使っていたのだろう。

 彼の能力は、使い方次第では、相手の存在すらも抹消しうる可能性を秘めたものである。

 それ故に、制限が多く付き纏う、非常に扱いにくい能力でもあるのだと、彼女は推測した。


 「あぁ……。その辺の雑魚なら、これぐらいでどうにかなるんだがな。お前ほどの強力な異能者、それも俺と相性の悪いやつともなれば、やりづらくてしょうがねえ」


 そう言いながら笑う四神から、何かまだ隠している気配を感じ取る甘音。

 最大最悪の天霊集団の長が、これで終わるはずがない。

 何か隠していない方が不自然だと、彼女は四神に対して、絶大な負の信頼を抱いていた。


 「──まあ、やりづらいってだけで、お前らごとき雑魚が、俺に勝てる道理はねえんだけどな」


 その予感は的中する。

 四神の放つ霊力の質が、どす黒く禍々しいものへと変化していく。

 彼の霊力に耐え切れないと叫ぶように、世界そのものが悲鳴を上げるように、空間が軋み始める。


 「さあ、天を仰げ! 喝采を上げろ! 長きに渡る空白の玉座に、真なる神が戻ったぞ!!」


 歪み、捻じ曲がる世界の中心に佇む彼の背後には、黒き四枚の羽根と十字架が浮かび上がる。


 「──我が名は、四神穿螺。“神霊”四神穿螺だ」


 そして、世界の悲鳴を否定する様に、天霊を超えし存在。

 歴史の闇に葬られた禁忌の存在、神霊が降臨するのだった。

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