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リバース・ジョーカー  作者: 遥華 彼方
第3章 赤夜の夢と天霊都市
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黒と獣の円舞曲

 鏡夜が展開した結界の外。

 睨み合うのは、最悪の天霊、ブラックアリス。

 そして、天霊狩りのエキスパートであるOrpheus第零部隊所属の明星輝夜と篠宮沙織。

 一歩も動かず、相手の出方を探る二人の周りを、何者かに支配された天霊たちが蠢く。

 徐々に徐々に、彼らはその距離を詰めていく。

 一歩、また一歩と天霊たちが近づいてくるが、三人は微動だにしない。

 ただひたすらに、その時を待ち続けた。

 そして、彼らの凶刃が振り下ろされた瞬間、三人は近づいてきた天霊を殺し、同時に動き出す。

 ブラックアリスは手に持っていた銃の引き金を引き、天霊の頭を撃ち抜く。

 沙織は、炎を纏わせた霊装で、天霊たちを薙ぎ払う。

 その横で、輝夜が手に持っていた霊装を変化させる。

 刀は光と共に砕け散り、そこには奇怪な陣形が描かれる。

 それを見たブラックアリスは、その陣形の効果を即座に理解し、次の策を実行する。


 「さあ、反撃開始だ」


 そんなことはさせないと、輝夜が霊装を変化させ、陽炎纏いし弓へと変貌する。

 輝夜が、矢を放つのと同時、炎を纏った沙織が、目にも止まらぬ速さで、ブラックアリスに接近してくる。

 まるで、炎を纏った弾丸だなと考えながら、ブラックアリスは指を鳴らす。


 「っ!! また……!!」


 輝夜が放った矢が全弾撃ち落とされた音共に、沙織の前からブラックアリスの姿が消えた。


 「……やるな」


 その様子を見て、輝夜は自然とブラックアリスを褒めてしまっていた。

 輝夜が展開した陣は、陣内にいた者の身体能力と霊力量を、一定時間の間、限界以上に引き上げるものだった。

 それを理解していたブラックアリスは、沙織の手の届く範囲に入るような避け方をしなかった。

 もし、そんなことをしていれば、沙織に致命的な一撃を与えられていただろう。

 全くもって厄介な敵であることを再認識した二人は、輝夜と沙織は、神経を研ぎ澄まし、彼女の攻撃に備える。

 吹き荒れる風の結界の後ろから、指の鳴る音が聞こえる。

 二人の集中力は限界を超え、辺りの音は何一つ聞こえなくなった。


 「──!!」


 「──っ!!!」


 その瞬間、輝夜の背後からブラックアリスが斬りかかり、沙織の元に弾丸のように何かが突っ込でくる。

 それを二人は反射的に防いだ。


 「え……」


 そして、沙織は驚愕する。

 彼女の元に飛び込んできたのは、見たことはないが、情報としては知っている少年、香里杏沙だった。


 「やばい状況になったら呼ぶとは言ってたけどよぉ……どんな状況だよ、これ?」


 「こいつ……玲那と灯魔の情報にあった……!」


 そこにいたのは、かつて、ブラックアリスと共に、玲那と灯魔の前に現れたと報告にあった少年だった。


 「見ての通り、最高に面白い状況よ」


 「はははっ!! だろうなぁ!!」


 遠く離れたブラックアリスの答えに、杏沙は楽しそうに笑って答える。


 「さあ、杏沙。この街での戦いが終わるまで、全力で暴れなさい」


 「──じゃあ、遠慮なく!!」


 彼女の言葉に応じ、杏沙は黒い翼が生えた醜い腕を全力で振るう。


 「あ」


 その拳の速度は、強化された沙織の動体視力でも追いきれず、本能的に生み出した炎の壁を突き破り、沙織は地面を転がる。


 「沙織──っ!」


 「余所見なんてさせてあげないわよ?」


 「……する気もないさ。こちらも、全力を出させてもらう」


 同時に、ブラックアリスと輝夜の、誰も手出しができない戦いも幕を開けた。


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