最悪の結末
燃え盛る炎の中。
醜い翼を生やした少女が絶叫する。
血に染まった右腕を振り下ろし、眼下に立つ若き英雄、明星輝夜に赤き剣を振り下ろす。
しかし、彼はその一撃を、手に持った剣を振るうことで粉砕する。
その様子を、傷だらけで倒れていた鳴神璃空は、何もできず見つめていた。
狂ったように攻撃を繰り出す少女。
だが、その攻撃が一撃たりとも届くことはなかった。
彼女の放つ憎悪、憤怒、絶望。ありとあらゆる激情を、正面を打ち砕いていく。
その姿は、まさしく英雄と呼ばれるにふさわしい輝きだった。
だが、璃空にとって、それは無慈悲な輝き。
自分の無力さを、何も変わっていないことを思い知らされる非情な宣告。
璃空は、唇を強く噛みながら、立ち上がる。
たとえ、何もできなかったとしても、彼女の笑顔を守るという約束を守るために、こんなところで寝ている場合ではなかった。
「──」
痛みに顔を歪めながら立ち上がった璃空が見たものは、そんな決意を打ち砕く、非情な現実だった。
荒れ狂う少女の心臓を、輝夜の剣が貫いていた。
紅い翼は溶け、少女は血を吐き出し、膝をつく。
「あ……ぁぁあ……てめええええ!!!!!」
その瞬間、璃空は怒りに突き動かされ、異常な速度で駆け出した。
能力の負担に耐え切れず、全身から血が噴き出し、筋繊維が千切れていくが、そんな痛みで、璃空の足は止まらなかった。
それ以上の怒りが、璃空の身体を動かしていた。
今までの戦いとは比べ物にならない速度で輝夜に迫り、乱暴に剣を振り下ろす。
「──あ?」
しかし、それが輝夜に届くことはなかった。
振るった剣は空を切り、璃空の身体は地面に向かって倒れていく。
その最中、璃空の目に映ったのは、置き去りにされる自分の下半身だった。
地面に落ちた璃空の身体を、鮮血が赤く染めていく。
「……本当に残念だわ、鳴神」
薄れゆく意識の中。
璃空の耳に聞こえたのは、悲しそうな篠宮沙織の声だった。
それを最後に、璃空の意識は暗闇に沈んでいく。
お待たせしました!第三章、開幕です!!




