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とうとう魔王までゼロから始めることになった  作者: 神羅神楽
第一章 魔王城の奇天烈な精鋭たち
8/10

絶対に笑ってはいけないピクニック編~添い寝をしよう~

一応シュヴァルツは現代日本の文化に理由あって精通していてそれをジャックに教えているという裏設定。

その日の夜。

俺は風呂から上がって白いローブ服を着て、寝室でワイングラスを傾けた。魔王のたしなみ、異世界ものの特権、この世界では未成年は酒を飲んではいけないという法律などないのである。

「入ります」

蝶番ちょうつがい式のドアを開けてエヴァドニがランジェリー姿で入って来た。ガーターベルトがエロい。はちきれんばかりの爆乳がランジェリーの上に盛られていて、俺は勃起した。

エヴァドニは俺の横にちょこんと座り、身体を寄せた。

「アイジ様……」

「エヴァドニよ」

俺はローブを脱ぎ捨て……。

「コイツをどう思う?」

「すごく……」


そういう訳で貞操帯生活がこの夜から始まった。貞操帯を外さない代わりにエヴァドニには拷問部屋でエレミヤとジャックによる30分くすぐりの刑を週一回夜にすることにした。「あっへっへっへっへうへへへへえへへえへへぇ」とか言いながら笑うから見てて退屈しなかった。


そしてそんな感じで魔王生活を始めて一週間。俺は食卓でシュヴァルツの料理を平らげると、

「さて、お前らに選ばせてやる。明日ピクニックに行くか。それとも死ぬか」

「なんで死ぬ前提なのですか!?」

「わー! 僕行きたいなぁ。アイジってホントいいこと思いつくよねー!」

「……むにゃむにゃ」

何故この悪名高い悪鬼羅刹の魔王の精鋭たちとピクニックに行くのか。

川柳で説明しよう。


退屈で

することないから

バーミヤン


「退屈って、私と一緒に魔王城広くて回りきれないから飽きないなと思っているからじゃないウボォ」

俺はエヴァドニに皿を投げてぶつけた。だから言っただろ、独白を読むなと。辞世の句にちょうどいいと思ってたのに。

「辞世の句アガァ」

俺はエヴァドニにグラスを投げてぶつけた。学習能力ないのはわかった。あんまキレさすと頭アルシンドにしちゃうよ?

「とりあえずピクニックに行きたいので皆さんで明日の朝までに行先とルートを決めてください。俺はおやつの上限額を一晩かけて考えます」

「アホですかアイジ様は!」

「ところでエレミヤ」

「あい」

「今夜添い寝はいかが?」

「もちろん、あたくしは構いません」


そしてエヴァドニとひと悶着あったが、今日一日だけ三人で一緒に寝ることになった。

大きな寝室に入り、燭台の蝋燭を何本か消した。俺とエヴァドニとエレミヤは大きなベッドに身を寄せ合った。至極愉悦だった。ざまーみろ日本中の高校生共。絶世の美女(エレミヤはそこまで美人でもないけど)二人に挟まれて添い寝……。

「アイジアイジ」

ドアの隙間から光が漏れる。逆光で影になっているのは、まぎれもなく大魔女ジャック・オ・ランタンだった。

「そのね、シュヴァルツがなんか一方的に怖い話してくるから獄炎魔法使って黙らせちゃった。ねぇ、卵を電子レンジに入れると爆発するって本当……? そもそも電子レンジがなんなのかよくわかんないんだけど……?」

だんだんジャックが痛い子になっている。しかし俺はシュヴァルツは意図的にどんな話をしたのかはさておくとして怖い話をすることで俺にハーレムを提供させたのだろう。さすがおでん執事。おでん執事というのは数秒前に決めた渾名あだな

「……おいでジャック、あたくしが隙間開けるから……」

もぞもぞとエレミヤが動き、パジャマ姿のジャックが間に入る。

暫く沈黙が流れた。

「エヴァドニってさ、ヒエラルキーで言ったら俺の次の消しゴムの次のシャーペンの芯の次に位高いのに、なんでみんなに様とかつけてんの? おでん執事は別だけど」

「なんでそんなに我々の立場低いんですか!? それにおでん執事って……」

「あ、そうか、おでんになりたくないもんな」

「意味が分かりません! ……まぁ、腰が低いのは察してください……」

確かに、エヴァドニの過去はメンヘラ並みに闇が深いのであった。

「アイジ、何故アイジはあたくしになびいたのですか」

「さーな、昔付き合ってた彼女が似てたからかもしれねぇ。そいつ1.5階から落ちて死んだけど」

「1.5階ってなんですか!?」

「あいつあれほどE缶持ってけって言ったのに……」

「ひどすぎない!? でもアイジ、モテたんだね」

「現にお前も俺に惚れてんだろ?」

「ちょっぷぁrrrrrオレァァァ!?」

凄い変な感じに発狂したので俺は寝たふりをした。


そして次回、激動のピクニック回っ……!


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