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悪役転生(仮)  作者: うる
6/11

万事解決

終わりじゃないよ。






コンコン

「お嬢様、仕立て屋が来ました。」


「はーい。いまいくね。」


なんか早くない?たしかに明日までに用意するって言ってたけど、まだ半刻もたってないよ。




ん〜?!

なんでお父様とお母様がいるの?

え、やっぱり無駄遣いだからダメって言われるのかな…


「シーファ!やっと来たのね!」


「シーファ、どの生地がいいかい?やっぱりこの淡いブルーの生地かな。」


「いいえ、ここはあえての黒に決まっていますわ。」


「旦那様、奥様。私共は清楚に柔らかな白を推します。」


『…』


そんな無言で訴えられても、私が愛しくてたまらないようなその態度に圧倒されて何も考えられないのですが。


「し、シーファ?どうしたんだい、この生地は気に入らないのか?なら別の仕立て屋を呼ぶかい?」


もしかして、

「…わたし()のことがすきなの?」



あっ…



『!?』


「愛してるに決まってるじゃないか。嫌われていると思っていたのかい?」


「私たちがあなたにどう接していいか悩んでいたせいね。ごめんなさい。愛しているわ、私たちの可愛い天使。」


「使用人一同も、お嬢様のことを愛しております。」


「ふぇ?!ゎぷ」


うみゃ〜!?なんで抱きつかれてるの?!

というか、嫌われてなかったの?!


「ふ、ふぇ…」


やばい、カラダに引っ張られて泣きそう。


「し、シーファどうしたんだい、どこか痛いのか?」


「う゛れ゛し゛く゛て゛ぇ゛」


「可愛いこと言ってくれるのね。これからはもっとわかりやすくたっぷり愛を注ぐから心配しないでね。だからもっとワガママ言ってちょうだい?」


「…ひっく…うん…だいすき」


嬉しい。嬉しい、嬉しい!

私は親に愛されないのかと思ってた。わたしは愛されていたから、余計に寂しかった。


どうせだからもう少しワガママ言おうかな…


「あのね、ダメならべつにいいんだけどね、その、きょうはおとうさまとおかあさまといっしょにねたいなって」


『…』


「あぅ…ひっく…だ、だめならべつに…うぇ…いいの…」


「そうね!今日も明日も明後日も毎日いっしょに寝ましょう。」


「そうだな。毎日いっしょに寝よう。」


「ほんとに?うれしい!…でも、まいにちはいいかな…」


弟か妹、欲しいし、ね?



「そうか?残念だ。まあ、そろそろ生地を決めようか。」


「シーファ、どれがいい?」


「うーん。」


どうしようかな。やっぱり触り心地は大事だよね。この見た目ならどんなものでも似合うから、触り心地と直感で行こう。



「…これ!これがいいです!」


「お目が高いですね。こちらは東国から最近輸入されてきたばかりのもので、なんでも伸縮性が高いから運動着にとてもいいとか。」


「なるほど、目的からしてもピッタリだ。これにしよう。」


ふっふーん。ストレッチ素材のものを見つけてしまいました。それもわたしには手を伸ばしづらかったお高いやつみたいな布!

ひとめぼれしちゃった。


何はともあれ。家庭内のことは万事解決。

弟か妹ができる日も遠くは無さそうだし。


にしても、あんなに仲良しなのに愛がないと思ってたなんて、私の目は節穴なんだね(笑)








牛タン食べたいね。何にも関係ないけど。

3月っていう実感がわかない。ほんとに3月?


婚約のときに舌打ちしてたのは、せっかくシーファが来たのに書類がいっぱいでムカついたのと、婚約なんてさせたくないからです。


何にも考えてなかったとかじゃないよ。断じて。違うったら違う。そう。うん。ごめん。

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