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後日談


 ポチを胸に抱いた私は座布団の上に正座し、茶トラの猫と対峙する。


「にゃあ」


 私の顔を一瞥したチャトランが一声鳴いた。


「にゃあ」


 私も鳴く。

 一応、こんにちは、という意味を声に込めてみたけど、果たして伝わったのものか。

 いや、全然伝わってなかった。もしくは無視された。

 座布団の上に鎮座していたチャトランだったけど、億劫そうに立ち上がると一度伸びをし、お尻の穴を見せつけながらプリプリと歩き、窓辺の張り出し部分に飛び上がり、そのままそこに丸くなってしまったのだ。

 あーあ、嫌われちゃったかな? でも、チャトランってば結構すごい。


「先生~」

「ああん」


 台所でガチャガチャと音を立てながら、先生が面倒くさそうに返事する。

 チャトランの愛想のなさは主人似かもしれない。


「先生の猫、すごいねえ。ポチ見ても、怖がらないよ」

「あったりめーよ。みーちゃん、舐めんなよ。今年で十八歳だぞ」


 先生が咥え煙草しながら顔を覗かせる。


「えっ? すごーい。長生き!」


 猫も二十年も生きれば猫又になるっていうし、みーちゃんの落ち着きようを見ると、もう人間の言葉を喋れるかもしれない。



「私より年上なんだあ」


 みーちゃんに畏敬の念を感じつつ、先生が両手にコーヒーカップを持ってこちらに来るのを見て、私は自分が空腹なことを思い出した。途端に、お腹がグーッとなる。

 お腹を押さえて頬を赤らめる私を見て、先生が苦笑した。


「悪いな。せっかくの誕生日なのに、こんなもんしか出せなくて」

「いいよ! 押しかけたのは、こっちだもん」


 私は慌てて首を振る。

 みなさんがお察しのように、いま私は先生の家にいるのです。シオンや竹蔵・梅吉兄弟もいるよ。詳しい話はまた後で。

 シオンは私の膝の上で眠るポチを睨みつけ、竹蔵はにこにこしながらコーヒーを飲み、梅吉はみーちゃんが気になるのかちらちらと見ていた。

 ちなみに、先生が淹れてくれたのは、ちゃんと粉から引いたコーヒーで美味しかった。


「ピザでも頼むか?」


 先生が目を細めて、私の膝の上ですやすやと眠るポチを見る。


「しっかしまあ、ちっさくなったもんだな」

「可愛いでしょ~?」

「そうか? この世の苦しみを一身に背負ってるような顔で寝てるぞ」


 確かに、実際には何も考えてないのかもしれないけど、ポチは苦悶の表情で寝ている。

 鼻の頭に皴をよせ小さな牙を見せている姿は、飼い主の欲目無しでも可愛いと思うんだよね。


「……まあ、こうやって見れば、結構可愛いのは確かだな」


 ペット似で猫舌なのか先生がコーヒーをすすりながら、小さなポチを見て唸る。

 そうなのです。今、ポチは随分と小さくなっているのです。

 伸縮自在とは知らなかったよ。子犬サイズのポチはころころふわふわしてて、超可愛くって、ぬいぐるみみたいだ。


「琴、実はケーキがあるんだよ」


 竹蔵が笑顔で袋の中から箱を出す。


「えっ? 嘘!?」


 私が驚いていると、今度は梅吉が風呂敷に包まれた大きな重箱を出してきた。しかも、五段重ね!


「母さんが作ってくれた。お前にって」

「うっわあ~!?」


 私は目を輝かせる。わおっ。梅吉のお母さんって料理上手なんだよね。


「そして、これは僕ら二人から」


 そう言って最後に取り出したのは、胸に抱えきれないほど大きな花束。


「竹蔵も梅吉もありがとう! すっごい嬉しい!」


 私は、真っ白なかすみ草と赤い薔薇の花束に顔を寄せ、匂いをかぐ。

 二人共、やけに荷物が多いと思ったら、こんなもの用意してくれてたんだ。ううっ。本当に嬉しい。色々あったけど、最高の十六歳の誕生日だよ!

 去年なんか、シオンからの衝撃告白があるし、いきなりシオンの吸血鬼仲間の女友達達が現れたと思ったら拉致られたあげく、ゾンビだらけの孤島に置いてかれて、リアルバイオハザードするはめになったし、もう散々だったんだから。ああ、詳しい話はまた今度ね。

 私が感激してると、シオンがいつの間にか取り出したのか、手の平に小箱を乗せて恭しく差し出してきた。


「……琴子。僕からだ」


 えーっと、この流れは……。シオンの瞳に宿る熱を見て、私が若干引き気味になっていると、クスッと笑われた。


「大丈夫」


 シオンが眉尻を下げる。


「これを君の指にはめるのはまだ待つことにするよ」

「……シオン」


 私は箱とシオンの顔を見比べる。


「それまでは、君が持ってて」


 やわらかな口調と笑顔に誘われるように恐る恐る箱を受け取ると、私は胸の中から込み上げてくるなんとも言えない感情を抑えるように唇を噛み締め、それを見つめる。


「開けてごらん」


 ためらったけど、私は箱を開けて白銀色の輝きに小さく息を飲む。

 一粒の石がきらめく指輪はシンプルで、綺麗というよりは可愛らしい印象を与えた。宝石の事は私、全然わかんないけど、なんとなく値が張るものなんじゃないかなって思った。


「……ありがとう」


 私は顔を上げ、ちゃんとシオンの目を見てもう一度言う。


「ありがとう。シオン。嬉しい」


 私がこの指輪を指にはめる日が来るのかはまだ分からない。

 でも、今の私は胸の底から込み上げてくる感情のままに、シオンに抱きついてしまいたかった。シオンは私の心中を知ってか知らずか、にこっとする。


「お礼なんていいんだよ。これは、君のために特注で作らせたものなんだから」

「……ふがっ?」


 ようやく起きたポチがとろんとした目をして涎をたらす。

 何故なら、私が思わず膝の上で眠るポチを抱きかかえて赤面した顔に押し付けたから。

 だって、そうでもしないと、今度こそ本当にシオンに抱きついてしまいそうだったのだ。すると、大きな手が伸びてきて私を抱き寄せた。


「きゃあっ!?」

「……もうっ、我慢できない!」


 今まで、大人の余裕を見せつけて落ち着いてたシオンだったけど、もう限界が来たようだ。


「っん~!!?」


 ぽいっと、ポチを放り投げると、熱烈なキスをぶちかます。

 私はどんどん胸を叩いて抗議するけど、まるでそれが刺激剤のように、キスは深まるだけだった。


「おい、バカップル。俺の家でイチャツクつもりなら、今すぐ出て行け」


 高尾先生の絶対零度の声によって、ようやくシオンの顔が離されるけど、私を膝の上に乗せて離さない。

 私は恥ずかしくて、真っ赤になったまま顔を伏せるけど、目の端にポチがかじかじとシオンの足を齧り、梅吉が睨みつけているのが見えた。

 竹蔵は笑顔を崩さないまま、食卓の準備をしているけど、その心中は知らない方がいいかもしれない。


「てめえも、人の目を少しは気にしろ」

「ハッ。ただの僻みにしか聞こえないな」


 先生の言う事は間違ってないと思うんだけど、シオンは気にしない。


「僕は自分の気持ちに素直なだけだ」


 私を抱きしめたまま、首筋に、耳たぶにと、後ろから掠めるようなキスを落としていく。

 もう私はまっかかの、沸騰寸前だ。頭から湯気が出そう。


「だからって素直すぎだっつの」


 シオンの態度に、先生がしかめる。


「ほら、みんな用意が出来たよ。とりあえず、食べよう」


 竹蔵が場の空気を切り替えるように軽く手を叩いて、明るい声を出す。

 見れば、テーブルの上にはお重が綺麗に並んでいて、お皿やお箸、コップも用意されている。


「すみません。高尾さん、勝手に出させていただきました」

「いや、いいって。逆に悪いな」


 先生が頭をかく。


「ピザも頼んでおいたからね」

「わーい!!」


 私は両手をあげて歓声を上げる。

 竹蔵ってばさすが。周りがいくら騒ごうと、喚こうと、テキパキと働いて美味しい料理を作ったり、掃除しているお母さんそっくりだ。


「うまそうだな~」


 お重の中身を見て先生はすっかり機嫌をよくしたようで、ポチにからかうように話しかける。


「んで、お前はどうする? みーちゃんのカリカリならあるぞ」


 イヒヒっと笑う先生を見て、ポチがムッとする。


「そんなものは食わん!」


 言うが早いか人型姿になろうとするので、みんなで慌てて止めにはいる。


「いや~! ポチ、止めて!!」

「裸族も出て行け!」


 私は座布団で顔を隠し、先生は座布団を投げつける。


「せめて、下は隠して欲しいな」

「食事前に汚いものを見せるな。駄犬」


 竹蔵は黙々と食卓の用意を続け、シオンが顔をしかめる。


「この家に、お前に合うサイズの服はなさそうだから狼姿に戻れよ」 

「……ぐっ」


 みんなの非難と梅吉の冷静な忠告に、ポチが渋々ながら元に戻ったのでホッとする。

 子狼姿じゃなくて、大きな姿だったけど、裸族よりよっぽどいいもんね。

 でも、ポチはそのまま、みんなに背中を見せてふて寝してしまった。ありゃ、拗ねちゃったかな?


「ほら、ポチ。お肉もあるんだよ」


 私はから揚げを一つとって、ポチの鼻先に近づける。

 目をつぶっていたポチだけど匂いに釣られたのか、薄っすら目を開き、から揚げをチラリ見する。


「あーん」


 あーん、とポチが口を開けてくれたので、放り込んであげると実に美味しそうに食べるので、こちらまでなんだか嬉しくなる。


「もっとあるよ。食べる?」

「食べる」


 ポチがむくっと身を起こし、お行儀よく机に向かって座った。


「よっしゃ! 食おうぜ!」


 先生が両手を叩く。


「そんで、月森は誕生日おめでとう」

「わーい。ありがとうございます!」


 みんなも笑顔で後に続く。


「琴。おめでとう」

「おめでとう」


 竹蔵は全開の笑顔で、梅吉はちょっとはにかみながら。


「……琴子。十六歳の誕生日おめでとう」


 隣に座るシオンが私の手を取り、甲にキスを落とす。

 良かった、口じゃなくて。と思ったら、ポチにぺろりと口を舐められた。


「おめでとう」


 私はクスッと笑って、ポチの顎をくすぐる。


「ありがとう。ポチ」


 けれど、すぐにぐいっとシオンに私の顎をつかまれ、ごしごしとハンカチで口を拭かれた。

 もう痛いって! そんでもってキスしてこようと迫ってくるのを見て、私をシオンの口を両手で塞ぐ。


「大丈夫だから! 消毒はいりません!!」

「やったら、即追い出すぞ」


 先生が右手にお箸、左手に拳銃を持ちながら言う。って、いつの間に取り出したんだか。おっかないなあ。


「ほら、琴。食べな」


 竹蔵が、お皿に色々と取り分けたものを差し出してくれたので、これ幸いとお皿を受け取り、シオンから若干距離を置いて座りなおす。


「わあい。ありがとう!」


 先生とシオンの睨みあいは続いてるけど放置だ。

 だって、せっかくの十六歳の誕生日だもん。今はとりあえず楽しまなきゃね! 

 みーちゃんもようやく起きてきて私達のところに来ると、ふんふんと鼻を鳴らしながらご馳走が並ぶテーブルを覗き込む。

 梅吉がそれを見て、食べる手を止めてじっとみーちゃんの動きを追いかける。

 竹蔵がポチのためにも食事をお皿に取り分けてあげ、先生も拳銃はいったん置き、片手でみーちゃんを撫でながら竹蔵ママの料理に舌鼓を打つ。

 シオンも本当は食べなくても生きていけるんだけど一緒になって食べながら、時々私にあーんと食べさせてくれる。

 こんな楽しくて、嬉しい誕生日はじめてかもしれない。秘かに涙ぐんでしまったのは、みんなには内緒だよ。



 でも、私の幸せってそんな長く続かないんだよね。



 さて、ポチとの逃避行の後、私が逃げ込んだ先といえば、高尾先生の家だった。

 今までは、竹蔵の家だった訳だけど、求愛された身としてはなんとも気まずいし、悲しいことに泊めてくれるような友達もいないもんだから、他に行く当てがなかったのだ。

 まあ、すぐに見つけられちゃったんだけどね。それで怒ったシオンが、先生に殴る蹴るの暴力を働いたりして大変だったんだけど、その話はまた今度。

 最終的には、なんとか楽しい十六歳の誕生日を向かえられたとホッとしていたのに……。



「……ど、どうして? どうしてこんなことに?」



 茫然自失状態で涙ぐんでいるのは、私ではない。


「そんな……。あんまりだ」


 燃え盛る家を前にして、力尽きたようにへたり込む高尾先生の背中を私達は見守る。


「ど、どうする?」

「さすがに言葉のかけようがないね」


 こそこそと小声で相談するも、竹蔵は渋い顔で首を振る。


「……気の毒に」


 梅吉も同情一杯の表情で、先生の弱々しい背中を見つめる。


「別に家が一つなくなったところでどうでもいいじゃないか」


 シオンはいたってマイペース。


「その通りだ」


 ポチも同様。彼らは、やっぱり普通の人間の感覚とはものの捉えかたが違うんだろうな。


「人事だと思って、ふざけやがって! ちくしょう!」


 先生がパッと振り返って怒鳴りつけるも、その目には薄っすらと涙が。


 ごめんね、先生。私の不運に巻き込んじゃって……。


 私は申し訳ない気持ちいっぱいで、ますます火の手が強くなった先生の家を見つめる。

 先生の家は一見倉庫みたいな建物だけど、その内装は色々とこだわって作ってあった。

 職業柄、世間一般的にはヤバめなものも沢山置いてあったからだろうけど、スパイ映画に出てきそうな隠し部屋とかハイテク機器があったりして物珍しかったなあ。もう無くなっちゃったけど。

 何故なら、楽しい一時を過ごしていた私達の邪魔をするかのように、某国の諜報部員Xと彼に追われて逃げてきた悪の組織がカーチェイスの果て、先生の家につっこんできたのだ。

 女王陛下の諜報部員は、どこからともなく飛んできた仲間のヘリに悪人たちを乗せ、ブランド物のスーツを着こなした姿のまま華麗に去っていってしまったけど、後に残されたのは茫然とした私たちに、夜の街を照らすごとく巨大なキャンプファイヤーになってしまった先生の家だった。

 どうも、先生所蔵の弾薬とかに引火しちゃったみたい


「ぜ、全財産が……」


 今回は、先生にとっては不運だったね。私を匿ったばかりに、シオンに暴力もふるわれたし。  


「……みーちゃん」


 高尾先生の腕に抱かれて頬擦りされていたみーちゃんだったけど、いやーんと顔をしかめ、先生の腕から逃げ出してしまった。

 先生が弱々しい動きで追いかけようとするけど、それを無視して少し離れた場所に座りこみ、後ろ足で首の後ろを掻いた後、ぺろぺろと入念に毛づくろいをしだす。

 さすがは、みーちゃん。こんな時にもペースを崩さない。


「ねえ、シオン」


 私は先ほどから考えていた事を打ち明ける事にした。


「今日は私の誕生日だよね?」

「そうだよ」


 シオンが不思議そうに首を傾げて同意する。


「じゃ、お願い事叶えてくれる?」

「お願い事?」

「うん。ね? お願い」


 私が両手を握り合わせて上目遣いで見つめると、不可解な顔をしていたシオンが途端に相好を崩す。


「もちろんだとも! 何でも叶えてあげるよ! 何がいい?」


 ぎゅっと私を抱きしめ、甘い笑みで顔を覗き込んで来る。


「指輪はさっきあげたから……、ネックレス? それとも宝石? 服? ブランド物のバック? なんでもいいよ。君のためならなんでも用意してあげる。盗み出してでもね」


 それこそ、強盗でもして私の欲しい物を用意してくれそうな勢いだ。

 そういえば、近世ヨーロッパ時代の一時期、名の知れた怪盗をやってた事もあったとか言ってたな。詳しい話はまた今度。


「うん、あのねえ」


 甘い声を出しておねだりする私は大分シオンの扱いに慣れてきたのかもしれない。

 出来れば、慣れたくなかったけど、今は背に腹を変えられない。



「私達の家に、先生の部屋も用意してあげて」



 今まで、緩みっぱなしだったシオンの顔が素に戻る。


「……は?」

「だって、私のせいで家が燃えちゃったんだよ。その前には、シオンに殴られてるし」

「それは自業自得だ! 君と一緒に一つ屋根の下にいたんだぞ!」

「別にいやらしい事は何もしてないよ! すぐシオンたちが来たし、ポチも一緒だったし」

「ポチを君に付かせる事だってギリギリの処置だ! なんだっって、これ以上他の男を家にいれなきゃいけないんだ!?」

「でも、ポチの部屋は用意してくれたんでしょ?」


 私が家に帰る条件に、ポチの部屋を用意してくるよう交渉していたのだ


「ああ、用意したとも! ポチって名札をつけた犬小屋を庭にね!!」

「なぬ!?」


 ポチがぐわっと牙をむく。


「ふざけるな! 何故、この俺が犬小屋なんかに!!」

「ピッタリじゃないか!? ははっ。貴様ごときには犬小屋で十分だとも!」

「なにい!?」


 ぎゃーぎゃー罵りあう一人と一匹を尻目に、私が先生(みーちゃん込み)同居計画を一人練っていると、とんとんと肩を竹蔵に指で叩かれた。


「竹蔵?」

「僕らの家に部屋を用意するよ」


 竹蔵がにっこり笑う。……なんだろう? なんか怖い。


「うちなら他にも部屋が余ってるし」


 梅吉もむっつりした顔をしている。


「そうそう。わざわざ、琴の家に同居する事ないよ」


 火の粉を散らし音を立てて壊れる家を前にして、とうとう声を出して男泣きをはじめた先生の背中を見つめる二人の眼差しは先程とはうって変わって厳しい。

 ど、どうしたの? 二人共?


「琴。いつもなら僕の家に来るのに、どうしてまた彼の家へ?」


 竹蔵は涼しげな顔で笑ってるけど、目が笑ってない。


「……本当に何もなかったのか?」


 梅吉は怖い顔して腕組していて、すごい威圧感。


「え~っと……」


 二人揃ってじりっと迫られるので、私は一歩下がるけど、それを埋めるようにまたじりっと詰められれた。

 後ろでは、シオンとポチの争いがヒートアップする一方だ。二人共冷静になったら、竹蔵たちと同じ疑問が湧くのかな?

 私は心の中で先生に手を合わせる。

 どうやら、今回一番不運だったのは、私じゃなくて先生みたいだったねって。……って思ったんだけど、それはどうも違ったみたい。

 その夜遅く家に帰った私は、案の定冷静になったシオンとポチから問い詰められたの。

 あげくに、シオンに明け方近くまで、たっぷりお仕置きされたのだ。



 お仕置きの内容はって? 



 その話はまた今度。



 ううん。恥ずかしいから絶対話さないんだからね!



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