記憶の始まり
【シン】
「それにしても人が多いんだなぁ、進みたくてもなかなか進めないや」
人混みの中で歩いていると街中にある大きなモニターに映像が映し出された
ーー緊急速報
【神聖日本帝国親衛隊 隊長 陽光照人】
「私は“八代目 風谷明人”天皇陛下の代理を務める、神聖日本帝国親衛隊 隊長 “陽光照人”である。天皇陛下の勅令を只今より発表致す」
【シン】
「ん?なんだあれは?」
【人々】
「あれは……?陽光照人殿だ!」
【陽光照人】
「天皇陛下はこれより、他国との戦争に備えて徴兵令を下した。十三歳からの男女は直ちに徴兵と課し神聖日本帝国軍基地、皇族軍基地での訓練及び派遣の任に就いてもらう」
【人々】
「なんだって?女性まで戦いに加える気か!?」
【照人】
「また、この国は一時的に鎖国国家とし、異国人についてはすぐに帰還していただく。もし異国人が紛れ込んでいた場合、いかなる理由があろうとも拘束するものとする」
【シン】
「異国人って……僕じゃないか!」
【人々】
「長年平和を築いてきた日本が、どうして戦争なんてするのかしら?」
【人々】
「そうは言っても帝国の中では平和が続いていた方だからな……。帝国である以上は従わなければいけないだろう」
【照人】
「先祖代々受け継がれてきた天皇陛下の為に一丸となって皆結託するように心掛けるようお願い致す」
【シン】
「どうする……記憶の欠片を取り戻さないといけないのにここから出ないといけないだなんて」
【照人】
「関東圏の方々においては神聖日本帝国軍 大将 “佐渡仁介” から伝令が下るまで待機するようにお願いする。それでは私は失礼致す」
プシュンッ
映像は消えた
【人々】
「いきなり徴兵って言われてもなぁ……?ど素人の兵を集めて戦争なんてさせる気かよ?」
【シン】
「だいぶ騒がしくなってきたなぁ、とにかく別の記憶の欠片を探しに行くしかないか」
そうこう考えているうちに先ほどのモニターが再び映し出された
【神聖日本帝国軍 大将 佐渡仁介】
「はい関東圏の方々注目、神聖日本帝国軍 大将“佐渡仁介”だ。先程陽光照人殿がお伝えした通りこの国は軍隊の兵力を高める必要がある為、我が国では徴兵制度を設けることとなった」
【人々】
「嫌だ!徴兵になんかなってたまるかよ!」
【仁介】
「尚、この制度に不服がある場合でも天皇陛下の勅令である為、背くことがないようにお願いする。明日以降から関東圏の指揮は私が持つこととなった。明日、神聖日本帝国軍を派遣し迎えを用意する。各家庭の保護者は把握の程をお願いする」
【シン】
「徴兵制度か……怖い制度だ」
【仁介】
「それでは私の方からは以上だ、連絡がある場合には追って伝えていく、失礼」
プシュンッ
【人々】
「明日から俺たち軍隊に加入しなきゃいけないのか……嫌だな」
【シン】
「やっぱり、僕は一旦この国から出た方が良さそうだ」
【???】
「待ちなさい、そこの少年」
【シン】
「ん?あなたは?」
【お爺さん】
「私の元に来なさい、詳しくはそこで話す」
【シン】
「よくわからないけど……わかりました」
シンは見知らぬお爺さんの後について行った