追放と
最後視点が変わります。
またもや少しシリアス回です。
家から追い出されたのです!
なんと、去年の9歳の誕生日の時にした振る舞い (私は覚えていないけど)が『将来の王妃として相応しくない』として、今年の誕生日に婚約破棄された。!でも、いろんな人たちの前で破棄されたのはイヤでしたねえ。
それに怒ったプライドだけはたっかーいうちの親に、家どころか国から追い出されたのですよ?
妹は一緒に親が追い出しました。
でも、なぜか妹のことをあの親が心配していました。近くにいなかったからあまりわからないけど。
妹は、
「やっとあそこから出られた…!お姉ちゃんありがとう」と言っていました。可愛いです。とても可愛い。
コン吉は、称号のリサイクルで、いらない魔法やスキルを整理しておきました。今はこんな感じ。
コン吉 (♂)
種族 スライム・フォルク
HP 5,000/5,000
MP 無限
属性 炎・風・時空・無・回復・光
運値 5
適性 全て
進化 第二段階
未テイム・テイム可能
スキル
食べる
溶かす
吸収
分裂
練成
人化
狐火
祭り
リバース
第二段階になって、尻尾が一本増えました。可愛い。もふもふ。
ちなみに、今はこの国の端っこにいます。ここは噂だと治安のそこまでよく無い国です。しかも今いる場所はザ、森です。しかも午後7:30です。
とりあえず宿を探さなくてはいけないので、魔力感知で一番近くの人がいる場所を探すと、ここから10km先でした。
10kmは妹にはきついと思ったので、ゲートを通過して、あっちのいえに行こうと思います。
「ねえソイモ。今から泊まるところに転移するけどいい?」
「いいよ。あと、お姉ちゃんにプレゼント!」
そう言って、黒い腕輪?をくれた。嬉しくてすぐにつけた。
「ありがとう!んじゃ、行くね。…ゲート通過」
「とーちゃく。」
今考えると、ゲートを通過するのは初めてだった。でも、魔力が結構取られた感じ。疲れる。
ゲートって、魔力を取らないんじゃなかったっけ?家の周りに張った結界のせいかなぁ。それとも、30って魔力の少なさのせいかな…
「お姉ちゃん、ここどこ…?」
「私の家。」
「お姉ちゃんの家なの?じゃあ安心だね。」
「うん。なか、入ろっか。」
どうせならここを拠点にしたほうがいいかもしれない。
「んじゃ、部屋行こっ」
「うん。」
トン トン トン トン
「ソイモの部屋あげるよ。奥から2番目のとこつかってね。おやすみ。」
じゃあ寝ますか。
「起きて。お姉ちゃん。」
ユラギが起こしにきた。鍵をかけていたと思ったんだけどねえ。
「お姉ちゃん、私についてきて。」
「ソイモ…?」
不思議に思いながらも、ついて行った。
そして、リビングまでくるとソイモが急に叫んだ。
「吸収!」
その途端、何かが抜き取られた感じがして、床に倒れこんだ。そんな私を見て、ソイモがニヤリと笑った。
「あーあ、本当お姉ちゃんって馬鹿だよねえ。」
何を言っているのか分からなかった。
「私が理由もなくいじめられてると思ってたの?曲がりなりにも公爵家の令嬢で王子の婚約者なのに1人で外に出られると思っていたの?まあ後ろからつけさせた公爵家の暗者を巻いてたみたいだけど。
でも、運良くお姉ちゃんがライズって人の姿をパクって土地買ってるとこは見つけたんだ。あれだけ稼ぐのがどれだけ難しいかわかってるの?あの土地、安く買えたと思わなかった?あなたは泳がされていたの。」
頭を殴られたような感じがした。
「な…で…ソイモ…」
『なんで』って言いたかったけど、声にならなかった。信じられなかった。信じたくなかった。
「ソイモって呼ばないで。そんな変な名前。私はカレンっていうの。3歳年下って信じてたみたいだけど私はあなたの1歳年下。いじめられてたのもあなたの前でだけよ?演技だもの。健気な妹アピールしてたら簡単に釣れたわよね。」
「ああ、そうそう。ついでに言うと、そのブレスレットは魔力をほとんど吸い取るんだ。しばらく動けないし、外すわね。」
私の髪をつかんで、無理やり顔を上げさせられた。
「アハッ本当魔力少ない!30しかないじゃない。私なんて1500もあるのに。これで全部かぁ。よっわーい。ていうか、どうやってお金集めたのがわからないのが不思議なんだよねえ。まあ通帳はもう奪ったし暗証番号も分かる。暗者に調べさせたもの。知ってるんだから。この土地も取り押さえたしね。」
「そうそう、私、王子様と結婚することになったんだ。私可愛いもん。あんた私の前では顔違ったわよね。化けてたんでしょ。私の前でいい顔したくて。」
本当は豚みたいに肥えてるくせに、とカラカラ笑う。
「口座のお金はお父様とお母様と私とで分けるの!私達に幸せになってもらってウレシイデショ?でもカルマお兄様って馬鹿だよねえ。私達に従えばメイドの子でも家を継げたのに。」
「メイド…?」
「お母様が嫁いできた頃、お母様そっくりの双子の妹がメイドとして働いていたの。それでお父様、メイドとお母様2人ともに手を出していたのよ。それで、2人とも妊娠しちゃってあら大変。それで子供を産んだ後、メイドを殺して、双子として育てようと思ったの。甘いわよね。メイドも子供も一緒に殺して仕舞えばよかったのに。だからお母様の言うことに抗えないの。」
この子は何を言っているんだろう?
「みんなカレンにたてつくから悪いんだよ?カレンに従えばみんな上手くいくのに。」
「あなたは、殺さずに隣の国の三日月の森に捨てるだけにしてあげる。私ってやっさしーい♡」
どこが優しいんだろう?三日月の森は一度入ったら出られないと言われているのに。そう思って、カレンを睨む。
「何睨んでんだよ、ブス。」
「っつ…ッ」
髪が放され、地面に叩きつけられた。
でもコイツには、昔会ったことがあるような気がした。
「ぁーぁ。むかしいじめてた地味子みたい。」
小さい声だったが、聞き取れた。パチリ、とピースが繋がった気がした。
地味子。前世いじめられてた時のあだ名だ。
何睨んでんだよ、ブス。前世でいじめてられてた時女の子に言われた言葉だ。
確かめよう、と思った。
その自分からいろいろ吐いてくれた人に。
「昔…?」
「前世よ前世。中学の時暗くて地味なブスいじめてた事があったのよ。まあ、あんたには分かんないと思うけどね!」
ああ。
あってたんだ。
「私は選ばれたの。ヒロインじゃないのは納得いかないけど蹴落とせばいいの。
あんたは悪役令嬢だから私がヒロインになった時に邪魔でしょう?なら、フェードアウトさせちゃえばいいのよぉ。
だって、邪魔になるものは消さないといけないもの。
死ぬ直前このゲームやってて転生したんだからテンプレよね。ヒロインと同じ学校に行ったら攻略対象達が私にメロメロになるの。」
私は、この人と同じだったのか。
ゲームの世界って盲目的に信じてて。
でもやっぱりここは現実なんだ。
「アハッ。アハハハハハハハッ。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
「何がおかしいのよ。それとも頭が変になっちゃった?」
「頭がおかしいのはあなたでしょ?リコちゃん。」
カレンがびくりとした。
「何言ってんの?私はカレンよ!」
「そっか。間違えちゃったぁ。ごめんねぇ。前世の名前だったよねえ。あんた今は璃子じゃなくて、カレンなんだよねぇ。」
「なんで?なんであんたがその名前を知ってるのよ?」
「そんなの私の前世であったからに決まってるじゃなぁい。」
「は?」
「久し振りだねえ。私の名前はラピラズ・リュクサンブールって言います。前世では由羅衣って言いましたぁ。
ーー忘れたなんて言わせないよ?」
「なんであんたがいるのよ!?ヒロインは1人で十分なの!私、高校ではあんたをいじめてたからってシカトされてたんだから!私は被害者なの!」
被害者?ずいぶん自分勝手なことを言っている。自分がいじめたからだろうに。
「あんたがいじめだからでしょ。」
「ウルサイ!地味子をいじめて何が悪いの!』
私は、妹と思っていたモノをジッと見ていた。
「そうだ。あんたなんていなくなればいいのよ。あんたがいなくなれば上手くいくの。」
「何自分勝手なこと言ってんの。」
「ウルサイキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロ」
「キエロ。」
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私は、姉を殺して家へ帰った。
これからはあんなお芝居もしなくていいし、お金がいっぱいあるから、好きにできる。
何より、王子様と婚約できた!
家へ着くと、カルマお兄様はいなかった。
私にたてついたんだから当然だけど、完璧な逆ハールートは無理になってしまった。
でも、あの豚のようで、誰かに似た姉はもういないということが嬉しかった。
「お父様、お母様。
私、お姉さんを殺したわ!これで、お金も土地も手に入ったわよ!」
お父様とお母様は、よくやった、と褒めてくれた。
目障りな|姉(豚)は、もういない。