詩 彼女がスプレーを使っている
休憩時間中、俺は彼女のところへ行くと、彼女はスプレーを使っていた。
大きさは手のひらサイズで、中に澄んだ液体が入っている。
「何、それ?」
聞いてみると、彼女は少しはにかんで答える。
「化粧水。顔にスプレーをするの」
「は? 何のために」
「何のためにって、肌が乾燥しないためよ」
そう言うと、、彼女はあぶらとり紙で、顔のテカリをおさえると、スプレーを顔全体にふりまく。
香りはしないが、彼女が気持ち良さそうに目を細め、手で顔になじませる。
つい興味を持ってしまい、
「俺もやっていい?」
と聞くと、彼女がびっくりしたように目を大きくする。
上等の猫みたいだなと考え、彼女の顔をよく見る。
水分をもらったお陰が、白さが際立ち、氷のように澄んで見える。
彼女は少し迷った末に、
「いいけど、女性用の化粧水で大丈夫かな?」
「大丈夫、大丈夫。俺、かぶれたりしないから」
「じゃあまずはあぶらとり紙で、余分なあぶらをとって…」
1枚、手渡された薄い紙。
まるで和紙みたいとさわさわ触れていると、彼女が鏡を差し出してくる。
「ほら、鼻とか額とか、中心にあぶらをとって」
「おう。じゃあ、やってみる」
俺は鏡をてにすると、あぶらとり紙を鼻につける。
「あ、ゴシゴシこすらないで!! 肌が傷つくから」
「そうなのか? どうすればいい?」
「軽く押し当てていくだけでいいのよ」
彼女の教えどおり、あぶらとり紙を押し当てていくと、彼女がそれでいいとうなずく。
ペタペタと張りつくものだなと思い、あぶらとり紙を見れば、色が変わっている。
これが余分なあぶらかと知り、顔をまんべんなく拭いていく。
まるで顔の掃除屋みたいだなと苦笑していると、彼女が、ストップをかける。
「もういい。あぶらとり紙は、ゴミ箱に捨ててね」
「結構、とれるものなんだな。色が変わり過ぎて、まるであぶらを塗ったかのようだ」
「びっくりした?」
彼女がえへへと笑い、スプレーを渡してくる。
「あとはこれを顔に吹きつけて、なじませるの」
「分かった。スプレーはどこで買ったんだ?」
「100円ショップ。意外と、色んな大きさのスプレーがあるのよ」
「へえー。じゃあ、早速」
スプレーを噴射させると、その気持ち良さといったら。
まるでシャワーを浴びたような、細やかな感触と清涼感。
次々と吹きかけると、彼女が聞いてくる。
「どう? 気持ち良くない?」
「すごい気持ちがいい。洗顔した後みたいだ。あとは手でなじませるんだよな?」
「そう。軽くね」
俺は言われるまま、手で顔を軽く触れていく。
水をもらった魚のように、肌が生き返ったように感じる。
鏡を覗くと、見た目は変わらないのだが、自分の目には生き生きしているように見える。
「はい、終わり。どうだった?」
「気持ち良かった!! 俺も作ろうかな?」
「じゃあ、帰りに100円ショップと、ドラッグストアに寄らないと。楽しみだね」
「そうだな。どれがいいか、教えてくれ」
「うん!!」
彼女が嬉しそうなので、微笑み返す。
すると、先生が来たので、慌てて言う。
「また後で」
手を振ると、彼女も振りかえしてくれる。
帰りが楽しみだ。




