【第10話:ザルクの地下に眠るもの】
ザルクの工房は、毎日の生産と交易で少しずつ安定していた。
油果油や乾果、簡易パン――孤児たちは熟練の手つきで作業をこなし、ガランは砂漠での輸送も支えていた。
ある日のこと、アヤネは工房近くの地面を掃除していた。
そのとき、土に混ざる小さな光る鉱物に目が留まった。
「……これは……鉱物?」
小さな石片を手に取り、光にかざす。
かすかな輝きを放つその鉱物を見て、アヤネの胸に確信が湧く。
(ザルクには、まだ埋もれた資源がある……!)
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地下資源の確認計画
夕方、工房の作業を終えた孤児たちとガランを集め、アヤネは提案する。
「皆、聞いてください。工房周辺の地面で鉱物を見つけました。ザルクの地下にはまだ資源が眠っているかもしれません」
ガランは目を輝かせ、拳を握る。
「俺たちの町に、そんな宝が眠っているのか……!?」
孤児たちも興味津々で、目を輝かせる。
「調べてみたいです!」
アヤネは冷静に計画を立てる。
安全第一:少人数で試掘が必要だ。
採掘方法:簡易道具で土を掘り、資源の種類を確認。
記録:鉱物の場所・量・質を詳細にメモ。
活用方法:交易や工房での生産にどう役立てるか分析。
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翌日、アヤネ、ガラン、数名の孤児で試掘を開始。
砂埃が舞う中、鍬やスコップで慎重に掘り進める。
「ここは硬いな……」
ガランの力強い腕で土を掘り起こすと、光る鉱石が姿を現す。
「やっぱり……!」
アヤネは笑みを浮かべ、手袋で鉱物を慎重に取り出す。
孤児たちも興奮しながら、少しずつ掘り進める。
試掘の結果、地面には小さな鉱脈が複数存在することが確認された。
アヤネはそれをメモに記録し、今後の活用計画を頭の中で組み立てる。
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夕暮れ、砂漠の風に吹かれながら、アヤネは考える。
(この資源を活かせば、ザルクの価値は飛躍的に上がる……交易だけでなく、工房の生産にも大きな影響があるはず)
ガランも満足げに頷く。
「お前の頭脳で、この町はもっと強くなるな」
孤児たちは誇らしげに土を払いながら、わくわくした表情で鉱物を見つめる。
こうして、ザルクの地下に眠る資源を確認したことで、新たな経済展開――鉱物を活用した工房の拡張と交易戦略――への道が開かれた。
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