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おっさんテイマー、もふもふ魔物と辺境ライフ  作者: はぶさん


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第十三話:モフモフの来訪者と、癒しの実(後半)

フワフワウールがゴブコの差し出した草を食べた瞬間、森の中の張り詰めた空気がふわりと和らいだ。リリの無邪気な声と、村人たちの温かい視線が、その小さな魔物を取り囲む。

【心を開くモフモフ】

フワフワウールは、ゴブコがくれた草を食べ終えると、俺が置いた**『ハチミツパン』**の方へ、おそるおそる一歩、また一歩と近づいた。その小さな鼻をクンクンと動かし、香ばしい匂いを嗅いでいる。そして、意を決したようにパンに食らいついた。

『おいしい! もっと! もっと!』

プニからの念話は、喜びと興奮で満ち溢れていた。フワフワウールがパンを食べるたびに、その白い体がわずかに膨らんだように見えた。

「よっぽどお腹が空いていたんだな」

俺は、そっともう一つパンを差し出した。フワフワウールは、今度は警戒することなく、俺の手から直接パンを受け取った。そのフワフワした毛が指先に触れる感触は、まさに綿菓子のようで、思わず顔が綻ぶ。

村人たちも、その光景を温かい目で見守っていた。グレンは、「まさか、魔物がユウイチロウさんの手から直接食べるとは……」と感嘆の声を漏らし、アイリスは、「なんて可愛らしいの!」と目を細めていた。

リリは、フワフワウールに「モフモフ」とあだ名をつけ、その白い体をそっと撫でようとした。フワフワウールは、最初こそビクッとしたが、リリの優しい手に、すぐに身を委ねた。リリがモフモフの頭を撫でると、フワフワウールは気持ちよさそうに目を細め、喉をゴロゴロと鳴らした。それは、まるで猫のような仕草だった。

『お兄さん、このモフモフ、気持ちいいって! リリちゃんのことも大好きだって言ってる!』

プニからの念話に、俺は思わず笑みがこぼれた。魔物と人間、そしてテイムしたゴブリンたちとの間に、新たな絆が生まれようとしている瞬間だった。

俺は、フワフワウールを撫でながら、プニに念話で語りかけた。

「プニ、このモフモフを、俺たちの仲間にしたい。一緒に畑を耕し、村を豊かにするのを手伝ってほしいんだが……」

プニは、「うん!」と力強く頷いた。

『モフモフ、お兄さんたちと一緒なら、お腹いっぱいたくさん食べられるって! それに、プニも寂しくないから嬉しい!』

フワフワウールも、プニの言葉に反応するように、俺の手に頭を擦り付けてきた。これで、新たな仲間が加わることが決まった。農作業に役立ちそうなモフモフの仲間が増えることに、俺は心躍る思いだった。

【癒しの力の検証】

新しい仲間、フワフワウールも加わり、畑の作業はさらに活気づいた。フワフワウールは、その小さな体からは想像できないほど器用に、地面の柔らかい部分を小さな角で掘り返し、土を耕す手助けをしてくれた。プニが「ポポルって呼んであげて!」と念話で伝えてきたので、そのモフモフの新しい仲間をポポルと名付けることにした。

午後の休憩時間、ルナは真剣な表情で光る作物の実を手にしていた。グレンの腰の痛みを和らげたあの実の力を、もっと詳しく検証したいのだろう。

「ユウイチロウさん、グレンさんの時のように、その力が一時的なものではないか、あるいは副作用がないか、もう少し詳しく調べさせてください」

ルナの言葉に、俺は頷いた。奇跡の力だからこそ、慎重にならなければならない。

ルナは、村の子供たちの間で流行している、軽い風邪の症状を訴える少女を連れてきた。彼女は、咳を繰り返しており、顔色も少し悪い。

「メイ、少しだけ、この光に触れてごらん?」

ルナが優しく語りかけ、光る実をメイの額にそっと近づけた。七色の光が、メイの顔を淡く照らす。すると、メイの咳が、少しずつだが治まっていき、顔色もわずかに明るくなったように見えた。

「あら……メイの咳が、楽になったみたい……!」

メイの母親が、驚きの声を上げた。ルナは、慎重にメイの脈を取り、呼吸の状態を確認した。

「まだ完全ではありませんが、確かに症状が緩和されています……! これは、本当に……」

ルナの顔には、感動と、そして薬師としての喜びが満ち溢れていた。彼女の長年の夢が、今、目の前で現実になろうとしている。

夕暮れ時、畑には満ち足りた疲れと、清々しい達成感が漂っていた。村人たちは、新たな仲間となったポポルを囲み、そのモフモフの体を撫でていた。ポポルも、警戒心を完全に解いたようで、村人たちの手に甘えるように擦り付いている。

ルナは、光る作物の実と、古文書を交互に見つめていた。その顔には、これから始まるであろう、さらなる研究への決意が宿っている。

「ユウイチロウさん、この実を、もっと増やせる方法を考えなければなりません。そして、その力を、村の皆のために、最大限に活かせるよう、努力しましょう」

ルナの言葉に、俺は力強く頷いた。この奇跡の力は、この村を変えるだけでなく、この世界全体を変える可能性を秘めている。

夜空には満月が輝き、辺境の森からは虫の声が聞こえてくる。村の灯りは、温かい家族の象徴のように、闇の中に点々と輝いている。

俺の異世界での日々は、まだ始まったばかりだ。しかし、優しいルナと、可愛いプニ、力持ちで頼もしいゴブリンたち、そして新しく加わったモフモフのポポルという、かけがえのない仲間と共に、きっと素晴らしい生活を築いていけるだろう。この小さな村が、俺と魔物たちの手によって、いつか豊かな楽園になることを夢見て、俺は夜空を見上げた。希望の星が、一つ、また一つと瞬き始めた。

明日は、光る実の増殖方法についてルナと話し合い、そしてポポルと共に、新たな畑の開墾を進めることになるだろう。この村の未来は、今、確実に動き出している。

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