きみが欲しい
掲載日:2026/05/31
「きみが欲しい」
突然の愛のプロポーズ。
彼氏の住むアパートで朝食を作っている最中だった。
前々から結婚しよう結婚しようと言ってきた事が功を奏したのかと物思いに耽っていると、気付かぬうちに手で掴んでいた卵を握りつぶしてしまった。
「――ああっ、もったいない……」
「そんなことよりも! もう一回言って! さっきの!」
小首を傾げ、なんのことやらと不思議がる。
決心して言ってくれた言葉を忘れるなんて忘れん坊さんめ。
しょうがない、復唱してあげますか……。
「きみが欲しいって、愛のプロポーズをくれたじゃない……。もう一度ちゃんと言って欲しいの」
三テンポくらい考えた後、ポンと手を打つ。
「勘違いしてるな。俺はプロポーズのきみが欲しいじゃなくて、卵の黄身が欲しいと言ったんだ」
「ええっーー! そんなぁ……プロポーズじゃないのかぁ……」
「ふふ」と可愛らしい笑いを漏らした彼は、ズボンのポケットから四角いを取り出し、机に置いた。
「冗談だよ。君が欲しい。俺と結婚してくれ」
「――はい喜んで!」




