第1話 今日はいい日だよね
両手を縛られたリアムは、小突かれ河原に両膝をついた。
「既製品の出荷 基準で商売でき、、ない よね。そこは しっかり、やっぱり ね。銃身から作らないと、ね」
もごもごと、おかしなしゃべりが続く。
「カタナってあるでしょ。しってる?あれだよね、鋼。いい音すんだぁ。やっぱり、ぼくもほしいな。でも、ぼくの、筒だからね」
「筒が薬爆で、音だすでしょ。ぼくはね。その音を聴くんだよ。そう。音が気に入らないとどうすると思う?」
「訊いていない」
「捨てちゃう」
「音が一つだけあんだよ。弾が喜ぶやつ。ぼくはね。弾に艶がでる溝をほれる。そうすると弾は輝きながら、飛んでくれる。7.3秒。ぼくはね。その弾にみとれながら、生きているんだよね」
「ぼくの人生は、6秒から8秒の間だけにあるんだよね。生きていると感じるんだよね」
うれしそうに、時にうっとりと話し、そして目を潤ませる。
最後に、自分はそんな弾に打ち抜かれる夢をみると、そうして死ななければいけないんだよね、と言った。
「選べない」
「だれも、いないんだよね。ぼくがぼくを射撃できないんだよね。撃って、走って、胸を張って当たりを見届けたいな。ぼくはね。そんなに速くは走れないからね」
「黙れ」
鳴きやまない梢の小鳥の声がだまして、こぼれ日が風にゆれている。すきぬけるような青藍に雲はなく、今の空の高さをはかり知ることはできなかった。
「今日はいい日だよね?」