理解への執着
亜里抄は理想の女性だった。
僕に興味を示した最初の女性であり、僕が理解しようとした最初の女性だ。あの出会いの後から、僕と亜里抄は学校では一緒に過ごすことが多くなった。
「私はきっと前世は巫女さんだったと思う。新藤君にはずっと不思議なオーラを感じでたんだ。思い切って声かけて良かったよ。新藤君と友達になれて良かった」
その日もゼミが終わった後だった。僕は政治学のゼミに所属しているのだが、ゼミだけは特に真面目に出ていた。そんな僕を亜里抄はずっと見ていたみたいだ。
「友達?そんな言葉久しぶりだよ。何だか嬉しい。新藤君じゃ恥ずかしいからこれからは聖也って呼んでくれよ」
いつも一人の僕は自分の名前を呼ばれるのに慣れていない。まして、友達という言葉を聞き、動揺した僕はとっさにこんなぎこちない言葉で応えた。
「何だか変なの。じゃあ、これから聖也って呼ぶね。そういえば、聖也っていつも一人だね。友達や彼女とかいないの?結構、私の周りの女の子は聖也のことイケメンって言ってるよ。」
僕は、また、戸惑った。友達や彼女の定義って何だ?僕を理解してくれる人がこの世にいるのか?
「いや、めんどくさいだけ。一人が楽なんだよ」
僕にしては精一杯の強がりだった。
「これからも聖也とは友達でいたいな。ずっと一緒だよ」
何だか僕は照れてしまった。同性の友達すらほとんどいないのに、異性から友達って言われることに抵抗があったからだ。
「ああ、ずっと一緒にいれたらいいな。亜里抄は特別だよ」
これは動揺した僕の必死の言葉であり、本心だった。亜里抄なら僕を理解し、受け入れてくれる。そんな期待感が湧きあがってきた。まるで、子どもの頃にクリスマスの夜にサンタクロースを信じて待っていたときのようなドキドキ感だ。これが恋なんだって。




