第10話 ベルリンの動き
「もぐっ……んで、ベルリンからはなんて言われたんだ?」
たらこパスタを口に放り入れながら、エビのドリアを食べている亜里沙に落ち着いた今のうちだと言わんばかりに仕事のことを尋ねる。
彼女はおしぼりで口の周りに付いた料理の食べかすを拭う。「ぷはぁ……」と、水を飲んで一息ついてから口を開いた。
「――はい、上はにわかには信じることはできないと言ってたけど、とりあえずスポンサーや企画立案者に説明は通して貰ったよ。しばらくの演奏会や公演、ヨーロッパツアーは中止だって」
ベルリンからの意外な解答に対して一瞬耳を疑った。そんなにあっさりと行くとは思っていなかったからだ。俺は二人の間に置かれたピザへと手を伸ばす。
「――そっか、でも、よく上がこんな現実味もないことを聞き入れてくれたな」
「はい、でも、急な中止でかなり抗議や説明を求めるファンの声が上がったんだって……ノアさんに関することは全て体調不良にして押し通して乗り切ったみたい」
もぐもぐとマルゲリータピザを食べながら話を聴く。イタリアのベネツィアで食べた高級ピザと食べ比べたら劣るが、こっちはこっちで日本的なまた別の違った味がして良い。
「まあ、今はそうするしかないだろう――でも、その言い訳もいつまで持つかねぇ……まあ、俺も自分がどうしてこうなったかなんて理由なんてまったく分からんし、なんともできないしどうしようもない。亜里沙、他に指示とかあったか?」
「ううん、特にないって代表は神からのプレゼントだと思って休暇を楽しんで欲しいって、十三歳の少女になったんだから子供らしく遊んでてもいいよーだって」
「十三歳ってどんな設定だよ……まあ、そっか、でも、あのじいさんの割にはやさしいな? 一つ、何か要求ぐらいは――」
「うん、あるよ。私はノーコメントだけどノアさんのセクシーショットが欲しいんだって」
「――は?」
亜里沙の耳を疑うようなことを聴いて持っていたピザをポトリと落としてしまう。言葉を失うとはこのこと。なんて言えばいいのか分からない。
あのじじい――ドイツの音楽界のお偉いさんだからって命令していいことと悪いことがあるだろ? 妙に優しいと思ったらそう言うことか……そういえば、ロリコン疑惑を掛けられてたなあのじいさん。
落としていたピザの残りを口の中に放り投げるとむしゃむしゃとかみ砕くように食べる。そんな様子を見ていた亜里沙はコップを片手にカクっと首を傾げる。
「――どうするの?」
「どうするもこうも送るわけないだろ。だいたい、俺は男だ。中身が男の少女のセクシーショットなんか誰が欲しいんだって話」
「でも、見返りがないとベルリンに連れ戻されちゃうかもよ?」
「やれるならやってみろ。俺はどこだって逃げてやるからな。日本でもアメリカでもどこにでもな。セクシーショットなんて冗談じゃあない」
そう言ってコップを持って立ち上がるとドリンクバーコーナーに向かって移動――しようとしたその時だった。亜里沙が俺のことを呼び止める。
「あ、あと代表は絶対に病院に行って欲しいって」
「病院? まー、確かに体のことだからそっか……じゃあ」
「待って! あと、もう一つ――引退のことも考えておいてだって」
「引退? うん、分かった――……って、えええっ!?」
亜里沙にとんでもないことを言われて飛び上がってしまう。引退って……音楽界を去れってことだろ!?
「おいおいおいおい、実質のクビ宣言……急すぎだろ……」
「私も休止でいいと思うんだけど。ノアさんほどの実力者をクビにするなんて」
「あ、はぁ~、意図は分からんがどういうこっちゃ……とりあえず飲み物取ってくる」
俺はそう言って亜里沙の前から去ると店内を歩く。まさか、クビ宣言貰っちゃうなんてなぁ……ショックなのは事実だけどこれで俺は晴れて無職。毎日が休みだーっ! ――嬉しくねぇ……
小娘になった24歳に何ができるのかと。まあ、貯金はあるから生きてはいけるけど……なんか違う。落ち着かない足取りでドリンクバーを目指す。
そこにはたくさん人がいて列ができていた。アイドルのライブってヤツで人が増えたせいか。俺は一番後ろの方に並ぶ。
う~む、店内に掛かっているドイツの名曲もゆっくりとした曲調だけど心は落ち着かない。作曲者ってなんだっけこれ? えっと、確かメンデルの――
「ねぇ、ちょっと!! そこどいてくれる――!?」
こんな報告ばかりですが――ヒューマンドラマの日間五位を取ることができました! まずは本当にみなさんありがとうございます! 本当にブクマや評価などの応援があって今があります。何度も言いますが本当に感謝しています。
ですが、正直に申し上げますとこの話を出すときの予想以上と言いますか。もう、言葉が出ないというか……今、本当にさまざまな感情で頭の整理が追い付いていません。
もちろん、こんなにもたくさんの人に見られるということは嬉しいことであり、みなさんに感謝するべきことだと分かっています。ですが、逆に少しプレッシャーを感じています。たくさんの人に見られているということは緊張もしますし不安もあります。
しかし、ここまで応援されたのならもはや後ろ向きではいられません。文章力やストーリーの構築は現段階ではあまり上手でないかもしれませんが出来る範囲で向上を努めていきたいと思います。投稿もたくさんしていきたいとも思ってます。
最後になりますが、ここまで来れたのも応援あってのおかげです。本当にごありがとうございました。そして、ここまでのご愛読本当に感謝します……!




