魔王編.1
この物語はものすごい流行の中で逆流を無理やり作る話です。
少なくない方々にとっては不快になるかもしれません。
ご注意ください。
<0幕>
僕は見ていることしかできなかった、、、
目の前で僕の父は手も足も出せず、ただただ蹂躙されていく。
僕の父は第13代魔王ルカエマ、
歴代の魔王達には並び立つものがいないほど戦に強い魔物と称された。
その父が、突如として現れた勇者に一つの傷も与えられないのであった。
「なんだ、この程度か。この世界では魔王と言ってもネズミ程度の攻撃しかできないのだな。」
物陰からでは表情が見えないが、
父の攻撃を真正面から受けるその男がそう言うのが聞こえた。
表情を見なくてもわかる。
きっと顔色一つ変えず淡々と攻撃を無力化しているのだろう。
父の魔力が底を尽きかけているのがわかる。
このままでは父は負けてしまう、、、どうしたら、、、
もし僕に力があればあの男を背中から襲い、父に力を貸すことができるのに、、、
歯を食いしばりただ見ていることしかできない。
この戦いに加われば一瞬で致命傷を受けてしまうのが本能でヒリヒリ伝わる。
体はまるで動かない、僕の目は言うことを聞かず父がただやられていく姿を鮮明に脳裏に焼き付けていく。
「なぜだ、、、なぜ、私の魔法が通らないのだあ!貴様は何者なのだ!!」
全身全霊をかけた父の魔力を圧縮した魔法攻撃が幾度となく繰り出される。
地を這い鳥肌が立つほど冷気が伝う氷の魔法、天井を貫く雷の魔法、
空間を埋め尽くす程、熱気を孕んだ炎の魔法
そのどれもが恐ろしい殺気を持った極大攻撃であることは間違いない。
だが一つとして勇者の張った防御障壁を破ることが出来ない。
「おのれ、おのれっ、おのれええぇ!!」
父の慟哭に似た、大きな叫び声が耳をつんざく。
耳を塞ぎたい、あんな父の声を聞いたことがない、どうしたら、、、
ついに父は死を受け入れる時がきた。
魔力が尽きたのだ、、、ウゥッと父がその場に膝から崩れ落ちていく。
「ほう、魔王とやらは簡単に勇者の前に跪くのだな。ほらどうだ、今なら貴様に謝罪の余地をやろう。」
「ちょっ、ちょっと!あんた、これでもこの世界の最強の魔王なのよ!?少しは敬意を払いなさいよ、、、」
勇者の一行なのだろうか、不思議な雰囲気を持つ女が勇者に釘を刺す。
「ふんっ、お前が最強の魔物と言うから散々準備して臨んだというのに、、、この世界の女神というのも当てにならんな。」
勇者は毒を吐く。
「なんですってっ!!あんたっ、ここまで私がどれだけ力を貸してきたtgqwktっ」
勇者は途中まで言いかけた言葉を封じ込めるように女神という女の頭を鷲掴みして左に流した。
さて、と言うと勇者は父に向き直った。
「貴様は少なからず人間に害なす存在だからな、ここで始末する。」
そう言うとふっとその左手に持った刀を振り下ろした。父の頭はその地に落ちた。
ーーー
僕はしばらく呆然としていた。
階段の隅から見下ろすと大広間には勇者一行と父だったものが横たわっている。
何事かやりとりをしている様子だ。
すると一行の一人が僕に気付き、近くに駆け寄ってきた。
「どうしてこんなところにいるの?ちょっと、ちょっとっ!?」
獣族に似た尻尾を持った小柄な女が僕に必死に声をかけているのが見える。
僕の視界は徐々に狭くなり、周りの音は遠くなっていく。
ついに目の前は真っ暗になる。僕は気絶した。
目が覚めると樹の木目が目立つ天井が見える。そばには記憶の最後に映ったあの女が座っている。
「あれ、気がついた?」
「気がついたみたいだな、、、」
「ちょっとお医者様を読んでくるね!」
あの時いた勇者一行の姿が僕を囲むようにして見える。
女神と呼ばれていた女は部屋を出て行ったようだ。
タイミングを重ねて、勇者は口を開いた。
「お前、あそこで何をしていた?
お前のような人間の子供があんなところにいるなんて怪しすぎる」
勇者の問いに対し一瞬、体が固まる。
人間、、、?人間だって?僕は魔王の子だぞ、、、何を言っているんだ、、、
訳がわからない、、、どう言うことだ?頭の中がぐるぐる回る。
勇者がまだ何か言っているが全く耳には入ってこない。
次第に部分ごとに耳に入ってくる言葉が増えていく。
頭が回転のスピードを落としていく。聞こえてきた単語を重ねていく。
すると一つの事実を理解した。
『こいつらには僕が人間にしか見えないんだ、、、』
どうしてだ?体の中にある魔力は一つとして変わらない。
姿は人に近いとはいえ、奴らがこの魔力に少なからず気付かない訳はない。
ーーー
勇者一行は一通り話終わったのだろうか、僕の周りから姿なくなった。
考えに考えあぐねている間に周りが見えなくなっていたようだ。
だがその時間は無駄ではなかった。答えが導き出されたのだ。
小さな声で僕は無意識に呟く、
「僕の力は周りに魔力を感知させない、、か。」
ちっぽけだな、、、、乾いた笑いがこぼれると僕は目を伏せた。
<0幕終>
ひねくれ者が必死に拙い文章で書き上げる物語です。
時々しか書くことが出来ません。
読むのはすごく大変だと思います。挿絵とか入れられたらいいんですが。
批評は絶賛大募集です。
勉強しないといけない部分があれば進んで勉強します。
メンタル弱いです。
凹みながら作業するので遅々として物語は進まないかもです。
すみません。
一幕ずつ書き進めます。
短い幕を重ねて物語を進めます。
小説だなんて大層なジャンルで区切るのは恥ずかしいです。
あしあらず。