9️⃣ 雪は何処にいるんだ?
(ふう、雪が何処か分かんないけど、絶対ドア付近だよなぁ……)
普段なら、満員電車に乗って、兄貴と離れてしまっても気になる事は無かった。でも、今日は違う、中身は男だった雪成であるが、見た目は女の子……それも、アイドル級に可愛い女の子だからだ。
(まさかとは思うけど、雪が痴漢とかにあってねーだろうな……)
一輝は、クラスの女子達が、俺が乗る電車で痴漢に良く会う話をしていたのを思い出し、雪の事が心配になっていた!
でも、中身は男だった雪成である。痴漢にあっても、声を出すとか、腕を掴むとか……何かしらリアクションするだろう……。
(あぁ、でも、やっぱ心配だなぁ!)
ドア付近に目を向け探す……次の駅に到着すると、数人が降りた瞬間に、俺はドア付近に無理やり移動をする。乗り込む人が多く押されてしまったが、ラッキーな事にドア付近に追いやられた。
目で探すと、雪を発見した! 此方をめっちゃ見ているのが確認出来た。
(すっげー見てくるな……大丈夫かな?)
電車が動き出すと、雪の表情が変わった……何かされてんのかな? 雪の後ろにはスーツ姿のおっさんがいるけど……。
(やっべぇ、おっさん雪の事触ってるじゃんか……)
まさか、本当に痴漢に遭遇するとは思っても無かった。しかも、雪は何もリアクションすらしないでいる……周りの奴は気づかねぇのかな? 助けないと駄目な状況だった。
(俺が助けてやんなきゃ! )
雪の近くへと無理やり移動し、声をかける事にした。
「雪おはよう! 今日もすごい混んでるね! この電車痴漢が多いらしいけど、大丈夫だったか?」
俺は話しながら雪を引き寄せると、抱きしめてやった。
痴漢してたおっさんは、罰が悪そうに次の駅に到着すると降りていった……。
とっ捕まえて、現行犯逮捕したかったが、悔しいけど、俺は男のくせに出来なかった。
「一輝……! あ、あのね、私のこと助けてくれてありがとう……! 凄く怖くて声が出せなかったの」
「そっか……怖かったよな! 俺が傍にいなきゃいけないのにさ、居なくてごめんな雪……」
「きゅう……! 本当ならあんなの捕まえるか、撃退してるのに! 何でだろう……怖くて出来なかった」
「うん、角に追いやられて触るなんて、とんでもない野郎だったな。今度から俺絶対に雪の傍にいてやるからな!」
「めっちゃ嬉しい……私も一輝から離れないように電車乗るね!」
ポンポンと頭を叩いて兄貴……姉貴を撫でてやった。




