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8️⃣9️⃣ ぎょえー!

「……」


「私は雪ちゃんにとって、極めて身近な存在なんだけどやっぱり分からないみたいだね」


「うーん、沢山考えてみたんだけど、貴方が何者なのか全然検討もつかないわ」


「でも、今は学校だから詳しくは言えないのよね……誰かに聞かれても困るからね」


(何よそそれ!)


「ちょっと、教えてくれても良いじゃないの?」


雪は席から立ち上がり、隣に座る彼女の机を片手てバンと叩いて手をついた拍子に、彼女の手に触れてしまった。


わざとでは無いけど、とっさに手を退けて謝った。


「……あっ、あの、ごめんなさい……」


「ふふふっ、手が触れたわね。でも全然大丈夫よ! じゃぁ、私の名前教えるわね。多分其れで色々分かるはずよ」


「名前で分かるの?」


「うん、分かると思うわ、だから教えてあげるね。と言っても、私の名前分からないままなのは雪ちゃんだけなのよ!」


何故か彼女は小声で話してくる……。


「うっそー、何で皆知ってるのよ!?」


「ふふふっ、私の名前はいつき。ずっと前から雪ちゃんは私の事を知ってるわよ」


そう言って適当なノートを取り出すと、自分の名前を書いてくれた。


そこには一輝(いつき)と書かれている。


「ぎょえー!」


雪は大声を出して驚いてしまったが、頭ん中でピントがあったかのように、直ぐに理解出来た。


「えっえっえっ、嘘、嘘、じゃ無いよね?」


「やだなー、嘘ついてどうすんのよ」


「じゃぁ、雪の……えーっと妹ってこと!?」


「ちょっと、さっきから声がでかいから……静かに話してくれる! お姉ちゃん頭可笑しくなったと思われるから、今日は静かに過ごしてよね」


「お、お姉ちゃん! あ、そうよね。私がお姉ちゃんだもんね……えへへ、了解でーす」


心臓が飛び出るんじゃないかってくらいの勢いで、叫んでしまったけど、まさか隣の席に座っている美少女が弟だったとは……。


(あ、今は妹か……何だかややこしいなぁ)


家を先に出た時は完璧弟だったはずなのに、一体何があったと言うのだろうか? 数時間足らずの間で女の子になるなんて……。


「あ、お姉ちゃん! 聞きたいこと色々あると思うけど、家に帰ってからにしてね」


「う、うん、分かった」


其れからは、弟のことで知りたいことばっかりで、雪はちっとも授業が頭ん中に入って来なかった。


ただひたすら黒板に書く先生の文字をノートに移すだけで精一杯で、身体がソワソワして仕方なかった。


(はぁー、疲れた。気になって仕方ないから早く終わらないかな)


でも、まだ二時間目の授業が終わったばかりだった。今日はとにかく時間が長く感じる。


「あのさ、雪ちゃんにお願いがあるんだけど……」


(珍しいな……弟からお願いって何だろう?)


「……ん? どうしたの?」


(弟がもじもじしている……これってあれかな……)


「あははっ、あのさ、トイレに行きたいんだけど……一緒に付いてきて貰っても良いかなぁ?」


(……やっぱり!)


「あー。トイレね! う、うん良いよ」



__トイレ__


この階のトイレだと、一年生の女子のたまり場的場所になっている。


こんな場所が溜まり場になるなんて最初はびっくりしたけど、今は慣れた。


でも、まだ弟は慣れてないから、いきなりここのトイレを使うのは可哀想だろう。


そう思って下の階にあるトイレに行くことにした。


「ねぇ……何でわざわざ下の階のトイレに行くのよ?」


「良いから、良いから、早く行くよ」


そう言って、下の階のトイレに行った。やっぱり誰もいない!


「ほら早く行ってきなよ! 我慢出来ないんでしょ……ここなら私以外誰もいないから」


「うん、お姉ちゃんありがとう……でも恥ずかしくて……」


「ふん、ふん、わかりみが深いよ。雪も最初トイレ恥ずかしかったからね! でも生理現象は慣れないと駄目何だから頑張って」


「お姉ちゃんも最初は恥ずかしかったんだね!」


「そりゃそうだよ。でも、今は慣れたよ」


「あははっ、慣れるんだね。じゃぁ頑張んなきゃ! トイレ行ってくるね」


「うん、うん、早くトイレしなさい。良い、終わったらトイレットペーパーで拭いてくるんだよ」


え?って顔をしてたけど、もじもじした弟は、恥ずかしそうに頬を染めながらトイレで用を足し戻ってきた。


「で、出来た」


「偉い、偉い!」


何だか弟が可愛くて頭を撫でてあげた。










読んで頂きありがとうございます☆

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