8️⃣2️⃣ 午後のテスト終了
──午後のテストも終了──
今日は、美優ちゃんと久しぶりに早く帰るので、一輝と大誠とも一緒に帰ろうかと思い声を掛けてみる。
「んー、今日は無理だな! バイトだから」
「てへへ、残念! 大誠テストの日までバイト入れなきゃいいのに。じゃぁ、一輝は一緒に帰れるの?」
「俺もパス、ちょっと先生に用事あるから、お前ら先に帰ってて良いよ。こっちは時間かかるかもしれないから」
「一輝用事あるんだね。残念! じゃぁ、私は先に帰ってるね!」
えへへ、と雪は笑った。
──放課後──
美優ちゃんと教室を出る時だった。先に出た雪だけが危うく走ってきた誰かにぶつかりそうになった。
「きぁぁっ」
走ってきた相手は、通り過ぎることなく、雪を避けて立ちすくむと、私の顔を見て声を掛けてきた。
「やだぁ、びっくりしちゃったよ! あ、雪ちゃんじゃない。美優ちゃんも一緒にいたんだね! ところで体調良くなったの?」
目の前に立ちすくんだ相手は、隣のクラスの久美ちゃんだった。
「うん、まぁまぁかな……。心配してくれてありがとう」
「まだ無理したら駄目だからね。辛かったらすぐ美優ちゃんに言うんだよ」
「……うん」
せっかくだから、久美ちゃんとも一緒に帰りたかったけど、久美ちゃんは他の子と帰る約束をしているらしい。
急いでいたのは、今日までの提出物があって、職員室に行こうとしていたからだった。
「またね!」
そう言うと、久美ちゃんは居なくなった。
雪と美優ちゃんは、下駄箱で靴に履き替え一緒に帰る。
「そういえば、今日学校来たら雪ちゃんの靴が下駄箱にあったけど、早くに学校来てたの? 教室には居なかったけど……」
「うん、まぁねぇ」
「そっかぁー、早くに来てたんだね! じゃぁ、雪ちゃん早くに学校なんか来て何してたの?」
唯一、生徒の中で一輝と美優ちゃんだけは、雪が元男の子だった事を知っている。だから、美優ちゃんには嘘をつく必要もないので、雪がホルモン注射を打つ為に早く学校にきていたことを話した。
「其れで、早く学校来てたんだね! でも、まだ続くだなんて大変だよね」
「うん、でも、雪が女の子でいるために必要だからね! もう、男には戻らないって決めたから」
「やっぱり男の時と今とは何か違うのかなぁ? ちょっと気になる」
「全然扱いが違うよ! 女子には先生の接し方も優しくて、あんまり怒られなくなったよ!」
「ふふふっ成程! 先生の接し方って違うんだね!」
「そうなんだよ! 其れにね、女の子になってから、お化粧したりファッションとかとても楽しいんだよね。短いスカートは最初恥ずかしかったけど、今は慣れたから全然平気だし、後、男には無いレディースdayがあったり、色々お得な事も多いしね」
「そっかぁー、分かりみが深いね!」
「えへへ、だから美優ちゃんずーっと仲良しでいてね」
「うん、良いよ! 雪ちゃんがずーっと女の子なら、女子会とか、温泉とか一緒に楽しめるね。レディースdayに映画いったり……。大変だけど応援してるから明日からも頑張ってね」
「うん、ありがとう」
「皆には内緒にしとくね! 雪の秘密知ってて嬉しいな」
美優ちゃんが駅に着くと、誰にも見られないようにそっと雪の唇にキスをすると、戸惑う雪に「また明日ね」と言って駅で別かれた。
(美優ちゃんとの関係って……友達?)
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