5️⃣8️⃣ 里瀬由美と月野真白
朝ベッドから起き上がれず、横になったままの状態で、雪の方へ身体を向けると、雪がまだ眠そうな目でこっちを見ている。
目があったけど、向き合ったからといって、何て声を掛けたら良いか分からなかった。
「雪、おはよう」
「うん、おはよう」
またいつもの朝が来てしまった。朝は嫌いだな……とりあえず、いつも通り挨拶を交わす。
「一輝が大好きだよ! 何か心配事でもあるの? うなされてたから腕枕してくっついちゃったよ……えへへ」
「んー、まぁ大丈夫! 心配してくれてありがとう」
「あっそうだった、私ね、今日自分のお弁当作ってみようとお思うの! でも、全部じゃないよ……。とりあえず卵焼きだけでもチャレンジしようかなって! 一輝の分も作ってみて良い?」
「作ってくれるの凄く嬉しいから頼むよ!」
オッケーと答えながら、パジャマ姿のままキッチンへと走って行く雪の後ろ姿を一輝は目で追う。
雪が髪を揺らしながら部屋を走り去って行く時に、シャンプーなのか、女の子特有のものなのか、ほのかに良い香りがした。
一輝は心の中にあるモヤモヤしていた気持ちが、ほんの少し和らいだのが分かった。
(ま、色々焦る必要何てないよな)
☆
学校に行くと、雪は驚くことにクラスの人気者になっていた。 クラスの女子達からも男子達からも挨拶されている。
気付けば、ギャルグループの女の子達に取り囲まれていた。
「おはよう雪ちゃん! 今日も元気だねー」
「えーっと、黒瀬由美さんおはよう!」
「おはー、雪ちゃん!先週出された書き取りの宿題やってきた?」
「うん、月野真白さんおはよう! 宿題はとっくに終わってるよ」
「さっすがー、雪可愛いー! 見せて」
「……!?」
「今、ギャルだから、やって来てないと思ったんでしょ」
「えへへっ……それは……」
「んなわけないじゃん! 自分で言うのも可笑しいけど、こう見えて頭は良いんだからね。 こんな宿題序の口よ!」
「はぁ……」
そうだった、この学校は成績優秀な奴しか入れない学校だったから、なんでギャルが居るんだろう!? って入学早々疑問があったけど、皆より更にスカートも短くして、ちょっと馬鹿っぽい格好はしてるけど、皆頭は良いんだった。
(わざとこんな外見にしてるのかな?)
「真白はね、こんな外見だけど、この学校の入学試験では学年で三位だったんだよ。しかも、クラスの中じゃ一位何だからね……」
「由美ちゃん……それは秘密にしといて下さいませ!!」
「えーっ、雪になら教えても良いじゃん!」
「あの、凄く頭良いんですね! 知らなくてごめんなさい」
人は外見に惑わされる生き物だけど、外見と中身は全く違うって事を今雪は実感した。
「ねぇねぇ、雪ももう少しスカート短くしなよ! 可愛いよ! 其れとさん付けしなくて良いって」
「分かった由美ちゃん。でも、さらに短くするのはちょっと……見えそうだから……」
「意外と大丈夫だよ! ほら真白も短いの履いてんじゃん」
「へへー! 私も可愛くなりたくてギャル勉強中……。短いからたまに見えてるかもだけど……一応気をつけてるよ」
(ええー見えちゃうの! たまに!?)
外見とは違い勉強できるのに、ギャルのファンションセンスだと、絶対真似出来ないと思えた。
(多分ギャルとは住む世界が違うよぉ)
「これからもっと仲良くなりたいから仲良くしてよ。これから宜しくね」
「真白とも仲良くしてね。雪ちゃんよろしく!」
「あっ はい、よろしくね!」
突然雪は、ギャルと友達になった。
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