5️⃣4️⃣ スタートした
班ごとにカレー作りが始まったのに、中々動こうとしないでいる大誠と美優の見つめる先には、邪魔になるのか、長い髪をゴムで、ひとつに束ねている雪がいた。
二人して見とれているが、早く取り掛からないといけない!
(あーあー、何で雪のやつ今頃髪いじってんだよ! でも、雪のうなじが……)
嫌々……俺まで見とれてる場合じゃなかった。
時間は限られており、一応採点までされるから手を抜くことは許されない。
「早く取り掛からないと大変だぞ! 採点されるんだから……」
この班の班長を任されてる一輝は気が気じゃなく、皆に声を掛ける。
(あいつら大丈夫か? まさか俺にばっかりやらせるんじゃないよな……)
「はーい、雪ちゃん頑張りまーす!」
雪が最初に返事をした後、続いて二人から返事が返ってくる。
雪が男だった時、今日のカレー作りでは自分が火起こしの担当になると思っていたけど、自分の担当が料理になってしまった。
今まで料理なんか全然してこなかったから、いちいち全部の作業がとろくなる。幸い美優ちゃんと一緒だから、教えて貰えるけど、それでも作業が遅い。
料理は女の子になったからといって、簡単に出来てしまうスキルでは無いらしい……。
「ま、まぁ出来なくてもいっか……えへへへ」
「駄目ですよ、雪ちゃん、料理は出来た方が良いんですよ!」
「も──美優ちゃんが野菜切ってくれたら良いじゃーん」
「良いですか、雪ちゃん、これはただのカレー作りじゃないんですよ」
「えーっ?」
「これは、私達の評価に繋がるんですよ! 大事な成績です」
「ふ──ん……そんな重要な行事だったっけ……」
美優ちゃんも成績は気になるらしい。
「はい……そんな行事です! カレー作りはチーム戦なんですから頑張って下さい」
「……えっ……」
「聞いてましたか?」
「あ……うん……チーム戦! 勝負ね!」
「はい! 良い点取りましょ──!」
(美優ちゃん……気、気合いが入ってる……)
それにしても、美優ちゃんは手際が良すぎる。そういえば、自分のお弁当作ってるって言っていたけど、こんなに出来るってことは……。
(まさか、この日のために練習してきたのかな!?)
「雪ちゃん、大丈夫!?」
「え……えっと……」
「私の真似して、包丁でじゃがいもの皮むきしなくて良いんですよ。皮むき機使ってください」
「そ、そうなんだ! えへへ……」
女の子って、料理出来た方が良いのかな? 出来なくても困らない気もするけど……周りを見ると、何故か私に視線が集まってるのがわかった!
(ううっ……何で私のこと皆で見てんのよ!)
読んで頂きありがとうございます。




