㊻ 拓斗に伝える
人はどうして、好きになった相手に告白するんだろう。
其れも、あまりにも突然、あまり接点が無かったり、友達だったはずの人からの告白は、戸惑ってしまう。
雪は学校に行くのが憂鬱で仕方なかった。それは相手に返事をしないと駄目だからだ。
「憂鬱で仕方ないなぁ」
「まぁいいじゃないか……」
人生は色々経験だからね、かわりに俺が返事してやりたいけど、其れは不可能だ。
朝目覚めたのが早かったので、ベッドでダラダラしていたが、そうこうしているうちに、我慢できなくなってきた。
雪のふっくらした唇は目の前にあったが、それは遠慮して、こめかみの辺りにキスをした。
「そうだね、私頑張るね!」
雪は頬を染めて答えた。
☆
教室に入ると、まだ早い時間帯のせいか、クラスには誰もいなかった。
数分して教室に入ってきたのは、雪に告白している拓斗だった。
「あ、俺トイレ行ってくるから……」
そう雪に伝えると、俺はトイレに行く用もないのに教室を出て、わざわざ二人きりにしてやった。
「拓斗おはよう」
「雪、おはよう! 朝来るの随分早いね!」
「うん、今日はたまたま目が覚めちゃったからね……」
「そうなんだ……ところで今聞くのもあれだけど、返事はどうかな?」
「沢山考えたんだけど、拓斗とは付き合えないです……ごめんなさい」
雪は丁寧に頭を下げて断った。
「あははっ、良いよ大丈夫。無理だって知ってたよ! 他に好きな人いるんでしょ……何となくだけど、そんな感じがしてたからね!」
「うん……でも、その人とは付き合えないんだけどね」
「何それ、どんな人か気になるなぁ……あ、でも、答えなくて良いよ! 教えてくれてありがとう、これからも宜しくね!」
「えっ……」
「ああ、クラスメイトとしてさ、これからも普通に仲良くしてくれよな!」
「うん、分かった」
一輝が教室に戻ってくると、教室にはもう半分程来ていて、椅子に座っている雪は笑顔を取り戻していた。
「えへへ、心配し過ぎてたけど大丈夫だった。これからも仲良くしてねって言われよ」
「そっか、良かったじゃん」
「後は森川先輩だけになったけど……もっと緊張するなぁ!」
「先輩のは手紙書いて渡せばいいんじゃないの?」
「うん……そうだね!」
そういえば、森川先輩からは、紙切れを渡されたんだった。
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