3️⃣5️⃣ 雪の気持ち
「私ね、拓斗と、森川先輩にはきちんと断ろうと思ってるんだけど、断ったら二人共傷つけちゃうよね……」
「まあなあ、そうかもしないけど……」
「私、其れで傷つけちゃうことが怖いの!」
「うん……」
「それに、大誠みたいに拓斗とは関係壊したくないんだよね……ずっと話せる関係でいたいの」
「だけど、断るのは仕方ないことだからね……きっと理解してくれるよ!」
最悪の場合、関係は壊したくなくても、今まで通りではいかないことだってある。口も聞かず、無視される仲になるかもしれない。
「私、断るのって気が重いな、さっき自分の部屋でシュミレーションしてたんだけど、全然上手く出来なかた」
「そんなこと、シュミレーションしなくても大丈夫だよ。顔をつき合わせて話すんだから、雪の素直な気持ちを、相手に伝えるだけで充分だよ!」
「……うん……」
「気が重くなってるだろうけど、誰にでもいい顔なんて、できっこないんだから」
しばらくすると、雪はお得意の居眠りを始めた。
このままだと、自分の部屋に行かずに、俺のベッドで一緒に寝ることになってしまう。
「雪、ここで寝たら駄目だそ!」
「……」
「雪、本当に寝ちゃったのか?」
「……」
声を掛けるが、雪はとても疲れてるのだろう、全く目を覚ます気配が無かった。
(仕方ないな……今日は一緒に寝ることにしよう……。それにしても、寝顔可愛いよな)
雪の安らかな寝姿を、一輝はずっと眺めていた。
透き通った頬に、長いまつげ。通った鼻筋に、ふっくらとした唇。
一輝はキスしたい衝動に駆られた。
時間だけが経過していく……。
少ししてから、唇にキスをする勇気は無かったけど、起きない雪のおでこに、そっとキスをした。
(おでこならギリギリセーフかな……内緒にしておこう!)
華奢な鎖骨の上にかかる髪の毛を触り、それから、お姫様抱っこで持ち上げて、俺の隣にそのまま移動してそっと寝かせると、布団を掛けて一緒に寝ることにした。
雪は移動する最中も目を覚ますことなく、眠り続けた……。
一輝は、横になると、隣にいる雪を見つめ、寝姿が、お姫様のように可愛いなと思いながら眠りについた。
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