㉘ 拓斗
モテモテになると告げられ、不思議な気持ちになったけど、せっかく女の子に生まれ変わったんだから、人生で一度くらい、「モテちゃって困るのよね」と言ってみたいものだ。
そんな事を考えながら、雪が教室に戻ろうと応接室を出たところで、同じクラスの坂本拓斗に出くわした。
「拓斗じゃん、おはよう! こんなところで何してんの?」
「今日は制服にネクタイして来るの忘れちゃってさ……仕方なく職員室に借りに行ってたところ! 」
「拓斗が忘れ物するなんて珍しいね……何時も優等生じゃん!」
「そんなことねーよ! 教科書とか忘れ物した時は、他のクラスから借りてんだから。それより、そっちはどーしたの?」
「えへへ……私はちょっと担任の上原先生と話があったんだよ!」
「そっか、それにしても、雪は何時も可愛いよな……」
突然可愛いと言われて雪は胸がドキッとしてしまった。何故か突然高鳴る胸……。
(これは可笑しい……絶対やばい! 私どうしたゃったんだろう!)
学年一モテてて、勉強もスポーツも出来て、誰とでも仲良く慣れる完璧な奴だって認識だったけど、女の子になったせいなのか、二人きりでいる今、胸に手を当てると、心臓が凄くドキドキしてるのが良くわかる。
男だった時は、拓斗とは同じグループじゃないけど、一輝と一緒に、今やってるアクションゲームの話とかちょいちょいして盛り上がったりした。
でも、雪が昨日女の子になってからは、まだ拓斗とは会話すらしていない……というか、何故か何時も、周りに女子が集まるせいか、近づこうとすると、他の女子が凄くこっちを見てくるせいで、近寄り難くなったし、話し掛けづらくなった気がする。
そもそも、昨日女の子になったばっかりなんだから、男として拓斗のことを意識した事も無い……それなのに、ドキドキが止まらなかった。
「ちょっと……いきりなんなのよ! 冗談はよしてよね…あははっ」
「冗談じゃないよ! 入学してからずっと、クラスにとっても可愛い女の子がいるなって思ってたんだ」
「嘘でしょ……」
「嘘じゃないよ! もし良かったら、俺と付き合わないか? もっと雪のこと色々知りたいんだ」
突然告白されて、雪はどうしたら良いか分からず戸惑ってしまった。
(ふぅ、どうしたら良いんだろう!)
「あ、あの……ちょっと考えさせてもらっても良いかしら!」
「うん、分かった! 突然言われても困るよな! ゆっくり考えてくれて良いから、俺待ってるから……」
雪はその場で答えが出せ無くて、拓斗からの告白を持ち帰ることにした。
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