㉖ 繋いだ手を離さないでね
二人共、何時も通りに自転車に乗って駅まで行く、雪は短いスカートで自転車を漕ぐのにはまだ慣れない。
風で見えそうになりつつも、雪は結局スカートの中に短パン等は履かなかった。
(だって私はせっかく可愛い女の子に生まれ変わったんだもん…)
元に戻れないなら、雪は、今の可愛い自分を楽しむって決めたんだった。
昨日、美優と一緒にトイレに行った時、スカートの中のこともこっそり確認したけど、別に履いてないって言ってた。
(だから、私も真似るんだもん……。)
改札口を通ると、一輝は透かさず、雪の手を握ってきた。
「キャッ! ちょっと、一輝どーしたの?」
「……」
不意に手を握られたことに、ドキッとして驚いてしまい、雪はその手を振り払ってしまったけど、一輝はもう一度握ってきた。
「ぎゅっ……」
とたんに、雪は、昨日痴漢に会ったことが頭を過ぎった。昨日は、満員電車に乗った時、一輝と離れ離れになってしまったのだ。
その後、一人きりになった雪は、初めて地獄のような車内を経験することになったのだった……。
(もう怖い思いはしたくない! 離れないように一輝にしっかり握ってもらおう!)
雪が手を、払わないでいると、一輝はポピュラーな手の平つなぎではなく、5本の指を絡め合う恋人繋ぎをしてきた。
(ちょっと、何でよ! 意味わかんないんだけど ……普通が良いのに、誰かに見られたら恥ずかしいじゃん!)
雪は嬉しい気持ちと、恥ずかしい気持ちが入り交じりながら、一輝にツッコミたかったけど、手を繋いだまま、急いで階段を降りていくから、何も言えないままホームへ向かう事になった。
一輝が私と離れない様にしっかり手を握ってくれている……。
「雪、 今日は昨日と同じとこには乗らなで、ずらして乗ろうぜ!」
「うん、そうする」
「今日は俺から離れんなよ」
「えへへ、ありがとう。私の手をずっと離さないでいてね」
ホームで電車を待っている間も、ずっと手を繋いでくれていた。そして、電車が到着して乗り込む時もずっとこのままだった。
押し込まれて乗り込むと、またドア付近になったけど、今度は一輝と離れることは無かった。
電車に揺られる30分間の間も、一輝はずーと手を繋いでいてくれた。
一輝は、駅に到着して、改札口を出ても手を離さないでいてくれる。
「何か、私のために色々ありがとうね」
「良いよ気にすんな……俺にしかお前を守ってやれないからな……」
「うん、ちょっと恥ずかしかったけど、手を繋いでたくれて嬉しかった、でも、ここからは同じ学校の生徒が周りにいるから、手を離してもらっても良いかな?」
「おう、そうだな! ずーと握ってたぜ」
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